十四朗亭の出納帳

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十四朗

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『れーむちゃんおしょうがつ』

今年はじめてのSS投下。
そろそろ2月ですがお正月の話です。
遅れた理由としてはまぁ……ACとかやってたからですかね。


『れーむちゃんおしょうがつ』


霖之助、霊夢












「あけましておめでとうございます」

「……あ、あぁ、おめでとう」

「ほんねんもよろしくおねがいします」

「う、うむ、よろしく」

「どうかした?」

不機嫌そうに睨みつける目線はいつも通りのまま、霊夢が首を傾げた。

「いや、君が普通に香霖堂にやって来て普通に新年の挨拶をするとは思わなくてな。
 いつもの君なら僕の顔を見た瞬間に食べ物でも強請ってくるものだが」

「おばさんにお世話になっている人にはちゃんとご挨拶しなさいって言われた」

「そうか。素晴らしい、正論じゃないか。
 君のおばさんがいつもこんな調子ならいいんだがな」

「私は嫌って言った」

「なんだと」

「そしたらこれくれた」

手にした風呂敷を広げ、中から箱を取り出す。
箱の表面には全身金色の人形が描かれており、
それが玩具の箱である事は容易に想像がついた。

「なんだいこれは?」

「がんぷら」

「がんぷら? ……あぁ、プラモデルの事か。家にも何個かあったな、そういえば」

「かっこいい」

「格好良いか? 全身金色で趣味が悪いな」

「趣味が悪いと言ったな? おのれ」

霊夢が手にしたお祓い棒で霖之助の頭を殴る。
表情はまったく変わっていないが一応怒っているようだ。

「割と痛い。分かった、撤回する。撤回するから止めなさい」

「何故素直にごめんなさいと言えんのだ」

「怒るタイミングと言葉が不明瞭だからだ」

「坊やだから?」

「僕は坊やと言われるような歳でもないよ」

「これが若さか」

「若いつもりもない」

「新しい時代を創るのは老人ではない」

「まぁ、若者は次世代を担う存在だね」

「ならば今すぐ愚民どもすべてに叡智を授けてみせろ」

「エゴだなそれは。それに僕は幻想郷に住む人々を愚民だと思っていないよ」

「私も思っていない。確かに愚かな人はいるかも知れないけどそれは一部だけ。
 一部が愚かだからといって幻想郷に住む全ての人間が愚かだと断定する事は出来ない。
 それは幻想郷に住む人間という生物の一側面でしかないのだから」

「フムン。君は相変わらず難しい事を言うな」

「はくしき……ひゃくしき?」

「博識。博麗霊夢の以下略」

「出資者は無理難題を仰る」

「別に難しい事でもないと思うぞ僕は。
 本当に、君は賢いんだか抜けてるんだが分からないな」

「賢しくて悪い?」

「別に。知識に貴賎はないと僕は考えている。知る事は人の本質的な喜びさ。
 だから君は今まで通り何かを学べばいい。僕としては常識を学んでくれると嬉しいかな」

「まえむきにぜんしょする」

その気もないのに霊夢が頷いた。

「霖之助さん」

「なんだい?」

「これ作って」

模型の箱を差し出して霊夢がそう言った。
突拍子も無い提案だが、霖之助ももう慣れた。
霊夢に丁寧な態度を求めるだけ無駄な期待だろう。

「自分では作らないのか? 
 こういうものは自分で作ってこそ楽しみがあると思うが」

「むずかしい」

「確かに、君には少し難しいかな」

「作って」

「しかしそれは君のものだ。
 僕が作ってしまってはそれを君に贈ったおばさんとしても不本意だろう」

「じゃあ一緒に作って」

「一緒にか……」

こういう場合、霊夢は霖之助の膝の上に座って作業を見ているだけで手伝ってはくれない。
それで一緒に作っているというのなら些か不公平だ。

「君はそれで構わないかい?」

「構わない。霖之助さんと一緒に作る。一緒に作ってくれないと――」

「退治する」

「そう退治する。がんぷらを作らない愚か者は、地に這いつくばって消えてもらう」

「フムン。退治されたくはないな」

「じゃあ作る」

「一緒にね。よかろう、一緒に作ってやろうじゃないか」

「説明書通りに作っていますとは阿呆の言う言葉」

「説明書無しには作れないぞ」

「おのーれ」

両腕を上げて霊夢が抑揚なく叫ぶ。
「荒ぶる巫女のポーズか?」等と霖之助は考えた。

「さてと、とりあえずこんな具合に話がまとまったところでだ。
 霊夢、お腹は空いていないかい?」

「そういえばお腹空いた。今日はまだご飯食べてない」

「空腹の霊夢が食事について何も要求してこないとはな……よほど贈り物が嬉しかったのか」

「なに?」

「何でもない。さて、霊夢。実は手違いでおせちを多めに作ってしまってね」

「わざとらしい」

「分かっててもそういう事は言わないのが暗黙の了解だ」

「分かった」

「えー仕切り直すとだ。
 もし良かったらその多めに作ってしまったおせちを一緒に処理してくれると助かるんだが。
 食べてくかい?」

「無論。お餅さんはあるの?」

「あるよ。煮るなり焼くなり好きにどうぞ」

「お雑煮さんがいい」

「じゃあ雑煮にしようか」

「味はお味噌さん」

「はいはい、了解っと」

バタバタと両腕を騒がしく動かす霊夢を抱き上げ、台所へと向かう。
まだまだ霊夢については分からない事ばかりだが、
とりあえず食事の話をすると喜ぶ事ぐらいは容易に想像がついた。

「なぁ霊夢」

「なに?」

「今年もよろしく頼むよ。君のおかげで最近は香霖堂も賑やかになった。
 何か困ったら僕に言うといい、出来る限りしてやれる事はしてあげるから」

「………」

「まぁなんだ、特に深く考えなくてもいい。
 君は君のままで、いつも通りにしていればいいんだから」

霊夢の動きが止まった。だらしなく両腕を垂れ何かを考えているようだ。
人間らしく思い悩んでいるのだろう。あの霊夢が。
これは成長なのだろうかと霖之助はふと思う。

初めて霊夢と霖之助が顔を合わせた時、
霊夢は思い悩むなどという思考処理の誤作動をするような子供ではなかった。
体はまだ未熟でも巫女として、妖怪を狩る者として完成された力が霊夢にはあった。

今の霊夢にはそういった巫女として機械的に妖怪を処理する為の機構が無いように思える。
霖之助が与えた愛情や優しさに触れて、霊夢は変わった。
以前と違い情に流されるようになった。なってしまった。

無論今まで通り妖怪は退治している。
博麗の巫女としての責務は滞り無く果たされているのは間違いない。
しかし今後も同じようにその責務を果たせるだろうか。

ひょっとしたら心を閉ざし、
非常に徹して戦わなければならない相手が突然現れるかもしれない。

そうなった場合、霊夢は恐怖や嘆きを抱かずに戦えるだろうか?
霖之助が与えたものが霊夢の戦いを邪魔してしまうかもしれない。
霊夢の中で芽吹いた感情が、霊夢の生み出した人間性が、いつか何処かで霊夢を殺す。

そんな強迫概念めいた考えが、霖之助の脳裏をよぎった。
霖之助は今まで九分九厘の確信を持って霊夢に愛情を注ぎ、可能な限りの優しさを与えた。
彼女がおばさんと慕う女性を一緒に探すと誓った。

果たしてそれは正しかったのか。

おばさんなる人物は霊夢が巫女として、巫女らしくある為に彼女の前から消えるのではないのか。
甘さも優しさも無くし、無慈悲な巫女として役目を果たす為に不確定要素を取り除いた。

人らしく子供らしく生きる事と巫女らしく博麗らしく生きる事。
相反する二つの生き方を両方取る事など出来ない。
そんな生き方は都合が良すぎる。

良心で霖之助は彼女に自由な生き方をして欲しいと願う。
しかし一方で幻想郷に生きる者として、
幻想の住人として彼女には巫女であって欲しいとも願っている。

その両方で板挟みになり、
ひょっとすると自分が霊夢を壊しているのではないかという疑念が生まれた。
おばさんを探してやると約束したにも関わらず、
そんな疑念は否応なく霖之助を苛む。

「霖之助さん」

「……ん、何かな」

「ねぇ、今年も一緒に居てくれる? また服を作ったり、おはぎ作ったりしてくれる?」

霊夢に心の中を見透かされているようだった。
揺らいでいた心を言い当てられ、当惑してしまった。

「君がそうしたいと言うのなら。そうする事によって君が君でいられるのなら、いいよ」

「そう。なら一緒に居て霖之助さん」

何かをしてやると言った事はこれまで何度もあった。
霊夢の方からも何かをしてくれと頼りにされていたし、
そういった事は霖之助が可能な範囲で付き合っていたつもりだ。

だがこうして「一緒に居て欲しい」と言われたのは初めての事だった。
食事や風呂、寝床を要求する事はあっても、霊夢が霖之助を直接的に求める事など、今まで無かった。
彼女は変わった変わった。変わってしまった。霖之助が変えたのだ。

事の善し悪しは分からない。
この変化は吉兆なのか凶兆なのか霖之助にも、霊夢にもそれは分からない。
だが彼女が他者との繋がりを求め、他者を感じる事で満足する事が出来るのなら。
霖之助は彼女の変化を見守ってやってもいいと思えた。
善果か悪果かは霖之助が決める事ではない、決めるのは霊夢自身だ。

巫女としての博麗霊夢ではなく、ただの霊夢が決めるべき事なのだろう。

「今年もよろしくお願いします」

「こちらこそ。今年もよろしくお願いします。そしてこれからもね」

Comment

幼女にガンプラをあげるなよwwwww
  • by:すかいはい
  •  | 2012/02/01/08:49:17
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