十四朗亭の出納帳

アニメの感想、ゲームホビーの感想など 作品のジャンルにこだわらず書いていく予定です,SSとか書いてます

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十四朗

Author:十四朗
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狼天狗

sirosumiさんからのリクエスト椛霖です。
正直後半何書いてるのか分からなくなってきました、しょうがないね。
椛は鍛えてるから筋肉好きなのかなーっと考えてたんですが………
ただこれだけは言いたい、モミジモフモフ。

[狼天狗]


犬走椛、森近霖之助






緑の木々に覆われた妖怪の山の中を木から木へ跳び跳ねて移動する影が一つ。
その影の主は少し大きめの気の木の天辺へ飛びつくと
キョロキョロと2,3回見渡し次の木へ飛び移った。

腰にはしなやかな反りが入った刀が腰に収められ背中には盾をしょっている。
おそらくは歩哨中の白狼天狗だろう。
白狼天狗は目と鼻ががいい、
妖怪は総じて五感が鋭いものだがこと視力と嗅覚に置いて白狼天狗に勝るものはいないだろう。
何せ白狼天狗の眼は千里を見通すと言われている歩哨にはもってこいだ。

ふと木の上の白狼天狗の動きが止まった、何かを見つけたようだ。
その白狼天狗は木の上で頭の上の耳をピンっと立たせ大きく目を見開く。
眼の中の虹彩は大きく開け放たれ、その先は広大な山の一点に注がれていた。

「あの服装の配色と微かな刻み煙草の匂い………またあの人ですか」

はた目から見ればただの山の一部にしか見えないその部分を見て何か悟ったのか
軽い溜息を一息つくと足に力を入れてさっきまで自分が視線を向けていた方角へと跳ぶ。
少なくても彼女、犬走椛にとってこの事態はあまり好ましくないものであった。





先ほどの様に木から木へ飛び移りながら移動する事約五分ほど。
椛はさっき木の上から見ていた場所へ来ていた。

そこは穏やかな渓流が山の段差によって小さな滝になっているところで、
このを川ラインとして侵入者か侵入者でないかを判断する川の一部だ。

そんな国境線とも言ういべき場所で若い男が呑気に滝壺の岩肌に腰をおろして
釣りをしているのを先ほど椛は見つけたのだ。

誰かは分かっている、魔法の森の入口で古道具屋を営んでいる森近霖之助だ。

霖之助は後ろから近づいてくる椛の様子に気づかないのかまだ釣りを続けている。
いや、この男なら気づいていても同じだろう。

「今日は釣れますか?何度言ってもこんな所に釣りに来る店主さん」

呆れた様子で椛が声をかけると霖之助の方も悪びれる様子もなく。

「あぁ君か、見つかったのが知り合いでよかったよ他の天狗だと色々面倒だからね。
 それと今日は入れ食いだよ魚籠の中を見てみるといい」

霖之助がそう言うので椛がチラッと魚籠の中を覗いてみると
大小合わせて十匹ほどの魚が魚籠の中で跳ねたり暴れたりしていた。

「これだけ釣れると天狗様にも分けてあげたい気分だよ、
 この山の主は天狗様だからね、ありがたいありがたい」

「思ってもない事を言うのは止めてください、
 大体貴方に天狗様なんて言われると寒気がしますよ」

「それは失敬、もう止めにするよ」

椛の態度がおかしかったのか不意に霖之助の口元が緩んだ。
こうしているとただの友人同士の皮肉の言い合いに見えるが
当の椛は仕事で来ているのだ、面倒な事は避けたい。

そんな事を椛が思っていると霖之助の持っている竿の先が小さく揺れた。
そしてその次に竿が大きくしなり始めた。

「おっと!当たりだ!椛そこのタモを取ってくれ」

「あぁ!はいはい!これですね」

霖之助両手で竿を引いているおかげで手がふさがっている霖之助に代わって
椛が彼の隣に置いてあったタモを取る。

「大きいな、僕が岸まで引っ張るから君はタモですくい上げてくれ」

「はい、ってなんで私がこんな事を……」

「今日一番の大物だよ、そら見えた!」

霖之助の言葉と同時に糸が引っ張られていた水面がバチャバチャと音を立てて乱れた。
水しぶきのせいででハッキリとした大きさは分からないが
この音と水しぶきからしてかなりの大物と言う事は分かった。

椛はえい!っとタモを水へ沈め一気に魚をすくい上げた。
タモの中で暴れるのと魚自身の重さのせいでよろめきかけたが腕と足腰の力で踏みとどまる。

「よくやった椛、君のおかげだよ僕一人なら取り逃していた」

タモを持った椛の頭にポンポンと手を載せ、すぐに椛から魚の入ったタモを受け取る。
頭に手を載せられた瞬間椛の耳と尻尾ががピン!っと立ったのに霖之助は気がつかなかった。

「そんなことはどうでもいいんです、いい加減山に入ってきて釣りをするのはやめたらどうですか?」

プイっとそっぽを向いて岩肌に腰掛ける椛、
それからさっきの手の感触を忘れ去るようにブンブンと頭を左右に振った。

「まだ君達の領地を侵してはいないよ、まぁ魚の取り過ぎと言うのなら考えるが…」

まだビチビチと勢いよく跳ねる魚に悪戦苦闘しながらも口にかかっている針をはずして、
吊るしてある魚籠の中へ放り込む霖之助、
満足げな顔をしているので今日はこれくらいでお開きにするのだろう。

「そう言う問題じゃありません、山に住んでる者以外が何の警戒も無しに
 軽々しく山に入ってくるのが問題なんです!
 それは私達天狗のプライドや沽券に関わるんですよ。
 大体釣りぐらいならふもとの湖でも出来るじゃないですか。」

「うーん、ふもとは駄目だね。うるさいのが絡んでくるから釣りどころじゃない。
 それにここは穴場なんだ、いい物は手放したくないのが性分でね」

「呆れた、私なんかはうるさくないんですか?毎回毎回こうやって絡んでくるのに」

「特に何も感じないな、仕事に忠実でかわいいものじゃないか」

かわいいの言葉に反応して椛が勢いよく立ち上がる。
かわいいという言葉に慣れていないのか相当面喰らった様子だ。

「か、かわいいって何ですか!!言っておきますがこれは仕事で!うひゃぁ!?」

「椛?一体…」

何がと言い終えるより早く霖之助の後ろで派手な水しぶきと水の音がした。
慌てて立ち上がった椛が岩に生えた苔に足を滑らせて落っこちたらしい。
夏とはいえど渓流の水は冷たい。
霖之助は急いで川へ落ちた椛を引き上げにかかった。






パチパチと音を立てる焚火のまわりに先ほど木の棒を刺した魚を囲むように並べ、
背の方が火に当たるよううに焼いてある。

椛はそんな光景を俯いたまま眺めていた。
先ほど川に落ちたのでずぶ濡れになった衣服は焚火の近くの木の枝に吊るして乾かしてある。
よって今の椛は下着姿なのだがそのままでは抵抗があるだろうと
霖之助が自分の上着を脱いで貸してくれた。
椛も最初は断ったが霖之助がその格好はまずいというのと下着姿に対する羞恥心から、
やむおえず借りる事になった。
椛より身長の高い霖之助の上着なので上から羽織るとぶかぶかで少々不格好だが、
これを羽織っていれば膝上辺りまで隠れるので椛にとってまぁまぁ満足と言えた。

(情けない………せっかく注意しに来たと言うのにこのザマはなんなんだろう。
 注意する相手に川から引き上げてもらって服と昼食の世話までされてる………あぁ情けない)

霖之助からもらったおにぎりを頬張る
外にまぶしてあるゴマ塩と中の梅干しが効いていて中々美味しいが椛の表情は晴れない。

「何時までむくれてるんだい?ほら焼けたから食べるといい」

そんな椛の表情を見かねた霖之助が焼けた魚を椛に渡した。
程よくついた焼け目と魚の身が焼けるいい匂い。
ご飯のお供が欲しかった椛は言われるがままに手を出した。

「ありがとうございます、貴方が釣った魚なのに御馳走になっちゃて」

「別にいいんだよ、こんな場所に来なければ君が川に落っこちる事もなかったんだ。
 その原因を作った責任は少なからず僕にある。
 だから気にしなくてもいいよ、僕も気にしないしね。」

気にしない、その言葉が椛に重く圧し掛かる。
霖之助にとってそれは別に魚やおにぎりをあげた事に対してだろう。
だが椛にとっては自分がこんな失敗をすることを気にしないと言っているる様に思えた。

そして何より、自分がこんな恰好で居る事を気にしないと言っているようにも受け取れた。

(私がこんな格好になっても目のやり場に困っている様子はないし……
 私って女として認知されてないのかなぁ)

ムッと上目使いで焚火の火を見つめる。
相変わらず揺ら揺らと燃え続ける炎は不思議と飽きが来ない。

(でも私って実際女らしくないかも………
 休みの日だって剣と楯を握って鍛錬してるおかげで手は肉刺だらけで生傷は絶えないし。
 やっぱり汗臭い女なのかなぁ私って。)

ただじっと火を見つめる目には輝きが無く、自慢の耳も尻尾もペタンんとしなだれている。
霖之助から受け取った魚も食べてはいるがその速度は遅かった。

「まだ気にしてるのかい?まったく、君は生真面目すぎるんだよ」

見かねた霖之助が声をかける。
一応彼にもこうなってしまったことへの責任感はあるようだ。

「真面目じゃいけませんか?……私はそれだけが取り柄なんです」

「真面目は結構だよ、
 僕の知り合いには勝手に物を取っていく輩や勝手に人の家のお茶を飲む奴がいる。
 そんなのに比べたら真面目な方が断然いいに決まってるさ。
 だけどね椛、余裕を持つ事は大切だよ。
 その子たちは勝手かもしれないが日々余裕を持って行動しているんだ、
 だから僕の小言ものらりくらりとかわせる。余裕が無い者はただのカタブツだよ椛。」

その言い方は優しく年長者が幼子を諭すような言い方だった。
椛の気が楽になったのかは分からないが、彼女は無言のまま手に持った魚の背中へかぶりついた。
焼きたての熱さと柔らかい身にしみ込んだ塩味が芳しい香りと共に味覚を刺激する。
少な目に振った塩のおかげで魚本来の旨みが生きている。

ふと椛が上目使いで霖之助の方へ目をやる。
椛と同じように魚へかぶりつく霖之助が目に入ったが椛には他の所が目についた。

今霖之助はいつも付けている道具入れ付きの胴当てを取って
上着を脱いでいる状態で、その下にはアンダーとして半袖の黒いシャツを着ている。

普段の霖之助の格好は何重にも重ねて着るタイプの服なので分かりにくかったが、
こうしてみてみると二の腕の辺りや胸のあたりは中々いい具合に引き締まっている。

(しっかりしてそうな胸板だなぁ、硬いのかな?腕も私くらいなら持ち上げられるのかな……)

口の方は食べる事を進めながらも目線を固定してボーっと考える。
霖之助は決して筋肉質と言える程体格がいい訳ではないが彼の身長とのバランスの良い肉付きが少々逞しく見える。

「どうかしたのかい?ボーっとして。火が少しきつ過ぎたかな」

「だ、大丈夫です!すいません!」

「?別に謝られるような事をされた覚えはないが」

不意に言葉を掛けられたので驚いてビクッと反応してしまう。
彼の言うように何も悪い事はしていないのだが誤ってしまった。
おかしな反応をしてしまった事をはははと笑顔でごまかす。

(霖之助さんの言うとおり謝るような事なんてしてないんだけど……なんで謝ってるんだろ。
 それにしても変わった人だな、私の同僚は気のいい奴が多いけどこんなタイプは居ないなぁ)

椛の同僚達は椛が知る限りでは皆気のいい者達ばかりだが、
目の前に居るこの男とは違うタイプだ。
いつも飄々としているようでしっかりしていて、博識でどことなく頼れる。
そんなタイプの奴は椛の知り合いの中には霖之助しか思い当たる節が無かった。

(人の忠告を聞かない奴だと思ってたけど、こんな事をしてくれる辺り案外悪い奴じゃないのかも)

また上目使いで霖之助の方を見つめる。
長めの腕についた力コブや金筋が椛の目に映った。
決して丸太の様に太く荒々しい筋肉の付き方ではないのだが、
どことなく頼りがいを感じる腕だ。父性っとでも言うのだろうか。

(やっぱり私くらいなら持ち上げられそうだなぁ、結構逞しいし)

「魚は美味しいかい?下手に手を加えていないから素材そのままの味で淡白だと思うんだが」

「え、あぁ、はい!美味しいですよ……とっても。 
 すいませんね御馳走になっちゃたり服を借りたりで」

また不意に声を掛けられたので少々どもったが先ほどよりは落ち着いて言葉を返す。
視線を自分の体へ落して今の姿をもう一度確認する。
こうして霖之助と打ち解けてくると、
今のブカブカの霖之助の上着を下着の上へ羽織り
前で紐を止めただけのこの格好が急に恥ずかしく感じる。
何もはおらない下着姿よりはマシだがそれでも先ほどよりは恥ずかしい。

そわそわしたり顔を赤くしたりする椛に見かねたのか霖之助が立ち上がって
木に吊るした椛の服を乾いているかどうか確認した。
手で触った途端に曇った顔をして首を左右に振ったのでまだまだだろう。

「さっき君が釣り上げるのを手伝ってくれた一番大きな魚を君にあげるから
 早く機嫌を治してくれよ、この状態じゃ僕が悪人みたいだしね」

「あんな大きな魚一人じゃ食べきれませんよ、
 お気持ちだけで結構です」

「手厳しいな、まぁ確かに一人で食べるには大きすぎるか、
 いや、そうだ、うんそれがいい」

立ち上がったまま一人納得しうなづく霖之助。
はたから見れば変人に見えるが十分変人なので椛はあえて口にしない。

「一人でうなづいてますけどなにかいい案でも見つかったんですか?」

「あぁ勿論」

自信満々の笑顔で返された。

「椛、次の非番はいつだい?」

「え、確か明後日だったはずです」

「ならその非番の日に香霖堂へ来てくれないか?とっておきを用意しておくよ」

「とっておき……ですか?」

霖之助の言うとっておきと言う言葉が気になるが、何かしらのもてなしをしてくれるという事だろうか。
しばらくうーんと唸っていた椛だがその日は特に予定が無いので渋々了解した。

そして半刻ほどした後、すっかり乾いた自分の衣服に急いで袖を通し、
手には自分がはおっていた霖之助の上着を持ちお礼を言ってから彼と別れた。
彼は気にしなくていいと言っていたが
この上着も濡れたり砂埃がついたりしていたので椛が洗って返すことにした。







二日後の香霖堂前。
いつ来ればいいと聞いていなかったので
適当な時間に自宅を出て山を下っていたら昼前ごろに香霖堂へ着いた。
手にはキチンと洗濯した霖之助の上着を包んで持っている、準備は万端だ。
ここへは数えるほどしか来た事が無いが
魔法の森の入口にポツンと立っているだけの建物なので迷う事はなかった。

しかし香霖堂への道程よりも椛が気になったのは
魔法の森に入ってから感じる不思議な匂いについてだ。
椛は鼻がいいので森へ入った辺りから煙の匂いが鼻をくすぐるのを感じていた。
その匂いは香霖堂へ近づくにつれて強くハッキリと感じられた。
おそらくこの匂いの発信源は香霖堂の裏手だろう。
煙と言っても不快な匂いではなく鼻から肺へ通る時に不思議な爽快感を覚える。
木の香りがする煙の匂いっと椛は心の中で呼んでいた。

椛は香霖堂の裏手へと回る、案の定そこには霖之助が居た。
モクモくと煙を上げる円柱型の物体の前に木製のベンチを出してきてじっと見つめているようだ。

「こんにちは、霖之助さん。時間よかったですか?」

「おっと、君か。早かったねもう少し遅いとちょうどいい具合にいぶせたんだが」

「それってひょっとして燻製窯ですか?」

椛が煙を上げるそれに指を指して質問する。

「あぁ、ひょっとしなくても燻製窯だよ。
 ただし本格的なものじゃなくてドラム缶と言う外の素材を使った簡易燻製窯だけどね」

よく見ると彼の顔は煤だらけで手も真っ黒だ。
この燻製窯を作ったり火の管理をしたりで大変だたのだろう、額には汗が浮かんでいる。

だが燻製とはよく考えたものだ、これなら魚を腐らせることなく保存が出来る。

「ただ、君も知っての通りこの間は入れ食いでね。
 あの時食べた分を差し引いても結構な魚の量だったんだ」

「つまり作り過ぎたという事ですね」

「まぁそうなるね、さてはてまいったね」

にやっと煤だらけの顔で笑う霖之助。
要は出来たての燻製でも食べていかないかと言う事だ。

「仕方ありませんね、処理を手伝って上げますよ」

椛は尻尾をゆっくりと左右へ揺らしながら霖之助の腰かけている木製のベンチへと座る。
この間はこの男の事を悪い奴じゃないと思ったが少し訂正が必要だ。
この男は中々良い奴だ、そう心の中でうなづいた。

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  •  | 2011/07/16/07:18:40
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