十四朗亭の出納帳

アニメの感想、ゲームホビーの感想など 作品のジャンルにこだわらず書いていく予定です,SSとか書いてます

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十四朗

Author:十四朗
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ロボとか好き東方も好き
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東方の霖之助SSが主流です
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『痕形もなく』

非R-18でエロスな事がしたいと思って書いたアリ霖。
首筋に付いた歯型とかエロイと思うんです。
相手を貪るような感じで、なんというか筆舌に尽くしがたいエロスですね。

要するに甘噛みっていいですね。
ゲームの方ではなく。ゲームの方はやった事がない。


『痕形もなく』


アリス、霖之助









「たまにはいいわよね、こうして二人で飲むのも」

「悪くはない。だが僕は一人で飲む方がもっといい」

「一人遊びが好きなのね」

「そうかもしれない。僕は今までそういう生き方をしてきたから、そういう風な生き方が板に付いてる」

僕は静かにグラスを傾け、瑠璃色の液体を喉へ流し込んだ。
焼け付くようなアルコールの感触と濃厚なウィスキーの香りが鼻に付く。
アリスはあまり楽しくなさそうに、だが不満もないといった感じで自分も喉へウィスキーを流し込んだ。

「でも知らない生き方もいいじゃない。
何も見えない暗がりを手探りで歩いたって誰も咎めやしないわ。だってそれが自由という事だもの」

「何も見えない事は不自由な事なのにそれが自由なのかい?」

「それが己の意志において行われる行為であるのなら、それはどんな行為であっても自由なのよ」

「暗闇の中でちっとも前に進めなくても、それが自分の選択だというのならそれは自由か」

「自由とは自分の意志、そして何にも縛られずその身を投げ出す事」

「だったら」

僕は空に浮かぶ月を見上げて続ける。
遠くで鈴虫の鳴き声が聞こえ、何処かでフクロウの鳴き声も聞こえた。
だがそれ以外はまったくの無音。世界中に僕と彼女二人だけになってしまったような気分だった。

何も見えない。何も聞こえない。

「僕が一人で生きているのも僕の意志だ。僕の自由だろう?」

僅かに静寂が揺らぎ、再び静寂と闇が世界を支配した。
僕は一人が好きだ、夜中に一人で酒を飲むのも好きだし、一人で食事をするのも好きだ。
他人に構う煩わしさもなく、他人の目が自分を捉えないという環境で僕は好きに振る舞える。

何も問題はない。僕は僕の為に生きて、僕の為に行動する。
誰にも迷惑をかけず、誰も気にしないような生き方。結構じゃないか、誰もが羨む自由な生き方。
一人で生きるという事はそうあるべきだと、僕は常々思っている。

「それは本当にあなたの意志なのかしら」

静まりかえった水面に一石投じるようにアリスが呟いた。

「そうするしかないから一人で居るんでしょう? それしか知らないから、アナタは独りで生きているの」

「何故君にそんな事が言える。君は君で僕じゃない。
君は生まれてから死ぬまで君でしかなく、僕は生まれてから死ぬまで僕だ。
人の生を一本の線にすると、他の線と交わる事はあれどそこからまたズレてゆく。
交わり続ける事なんてない。必ずどこかで離れるんだ。僕達は自分以外の誰かにはなれない。
そしてそれを望んではいけない。自分を否定する事になるから。
 自分自身を否定すなんてとても悲しい事じゃないか」

「霖之助さん」

アリスの白い手が僕の頬に触れる。
張りのある肌、ほっそりとした指先。
僕のほほに触れたその手は美しかった。美しいアリスの手が僕の心を擽り不意に感情を揺さぶる。
一瞬だけだが、僕はこの瞬間アリスを愛おしいと感じた。
暗闇の中で彼女の手を取り、そのまま抱き締めて口付を交わしたいという想いが膨れ上がった。
アリスは僕のそんな行為をどう受け止めるだろうか?

離してと言って僕を拒否するだろうか?
もしくは何も言わず受け入れてくれるだろうか?

互いに体を抱き寄せながら、長い時間を掛けて何かを確かめるように交わす口付を、
彼女は許してくれるだろうか。

そこまで考えて、僕を冷ややかに見つめる視線に気づいた。
アリスのものではない、その視線を送っているのは僕自身だった。
正確には僕の中に存在する僕。独りで生きるのに慣れた冷たい自分だった。

分かっている。僕は分かっている。
さっき自分の口で宣言したばかりだ。

僕は一人きりで生きるんだ。一人で生きてゆくのが僕の意思なんだ。

彼女は素晴らしい女性だ。
優しく差し出されたその手で僕を胸の中に抱き入れ、
一晩中自分をさらけ出しても受け入れてくれるだろう。

熟れた林檎のように紅い唇に僕の唇を重ね、
口内を犯すように舌を侵入させても、今の彼女なら受け入れてくれる。
心地良く、気持ちよく僕の内面を溶かし心を熱く焦がしてくれるに違いない。

だからこそ、僕はアリス・マーガトロイドという少女にこの身を委ねる訳にはいかなかった。
きっと僕は彼女に絡め取られてしまうから。飲み込まれて、堕ちていってしまうだろうから。

そっとアリスの白い手を掴んで頬から引き離す。
止めてくれと懇願するような態度と共に、彼女の温もりから遠ざかった。

「怖い? 絡め取られてゆくように心が重なるのは」

「怖い? どうしてそんな事を言うのかな。僕は何も怖がっていない。
 言っただろう。僕は自由に僕一人で生きてゆくと」

「いいえ怖いのよ。霖之助さんは怖いの。
 私が怖い。いえ、優しさが怖いの。
 何よりも甘美で、耳元でそっと囁く優しさが怖いのよ」

「唐突に向けられる優しさには警戒するよ。
 善意は利益のない場所には生まれないから。
 益のない場所に降って湧いた優しさを飲み込む事は出来ないよ」

「そう、純粋な優しさや好意には喰らいつけないのね。
 ねぇ、どうしたら私にその身を預けてくれるのかしら。
 唇に毒を塗って来たのとでも言えばキスの一つぐらいしてくれる?」

「ひょっとしたら今も唇に毒が塗られているのかもしれない。
 甘い言葉で僕を誘って僕を殺そうとしているのかもしれない」

「じゃあ確かめてみるといいわ。優しく、愛おしくキスをして確かめてみるといいわよ。
 そしたら全て分かる。毒が塗られていても塗られていなくても、全て分かる。
 私とアナタの事が全部分かるわよ。アナタが心の底で何を求めているのかもね」

「君は何が知りたいんだ。何を求めているんだ」

「アナタ」

引き離したアリスの白い腕が今度は僕の胸元にするりと入り込み、胸元を少し緩めた。
手はそのまま右上へと向かい、するりと肩の部分の布を脱がし僕の右肩を露出させた。
殆ど無抵抗でアリスの行動を見つめ、夜風に晒された右肩で夜の冷たさを感じる。

熱を帯びたアリスの指先が鎖骨から首筋をなぞり、胸板へ移動するとまた鎖骨をなぞった。
その間僕は抵抗せずに、ただアリスの指を肌で感じ、指先を眼で追った。

アリスは僕に正面から寄りかかるようにして僕の肩をただ指で撫で、
僕はそんなアリスを腕と上半身の力で受け止める。

彼女は軽かった。体重といったものを殆ど感じさせないよう程、彼女の体重というものは軽い。
反面、吐息は熱を帯びていて露出した肌にじんわりと染み、僕の鼓動は少しずつ早くなってゆく。

たまらなくなって僕はアリスに話し掛けた。
何故こんな事をするのかと。どうして僕にこんな事をするのかと。

「求めていると言ったわ。そして知りたいとも。
 霖之助さん。アナタの事を知りたくて求めたいの」

「関係でも持ちたいのか君は。そんな理由だけで、僕を求めるのか。
 だったら僕はお断りだ。男を欲求のままに求める女性は僕の好みじゃない」

「違うわ。別にそんな関係は要らないわよ。
 情事なんてただの粘膜接触だし、口付けもただの粘膜接触。
 そんな事で相手を求め、知ろうとは思わない。
 もっと深く私は知りたいのよ。霖之助さんの事を深く知りたいの」

「僕は知られたくないし、求められたくもない。
 だいたい、何故その対象が僕なんだ。僕でなくてはいけないんだ」

「アナタが独りだからよ。私と同じく、本質的な意味で独りな存在だから」

そう言うとアリスはゆっくりと唇を鎖骨よりやや上、首筋部分に近づけると、
小さな口を開いて首筋に噛み付いた。
僅かな痛みが皮膚を通して神経に伝わり体が理解する。

僕は声も上げずにただその行動を受け入れていた。
まるで女吸血鬼が今宵の獲物である若い男を誘惑し、
性交直前になってその首筋に噛み付いて血を啜るようだった。

実際のところ彼女は吸血鬼でもなければ血を啜っている訳でもない。
ただ純粋に噛み付いているだけだった。
アリスの綺麗な歯並びが肌を通して感じ取る事が出来る。
舌を使って肌を舐め、水っぽいぴちゃぴちゃという音が耳元で聞こえた。

僕の肩に顔を埋めたアリスの顔は見えない。
どんな顔をして僕の首筋に噛み付いているのかは分からない。
ただ今のアリスが何処と無く楽しそうだという事は感じ取れた。

首筋の痛みと引換に、彼女の欲しがっていたものを分け与えている。そんな気分だ。
不思議と引き剥がそうという気持ちにはならなかった。ただ彼女がそれを求めているから彼女に与える。

奇妙な感覚だった。
先程まで彼女を求めようとしていた僕が、今となっては彼女に求められている。
初めから求めていたのか、それとも僕の言葉がそうさせたのか。

どちらにせよ僕はこうして求められるという事に対して余りにも無知だった。
他人に熱情的に求められるという場面が今までの人生の中で余りにも少なかった。

憎悪を向けられた事はある。友情を交わした事もある。
一夜だけの関係や長続きしない関係を持った事もある。
妹分から信頼という名の父性を求められた事もある。

だがこんなにも、求めるという感情だけで自分を欲されたのは初めての事だった。
僕の妹分は僕に父性というフィルターを介してしか僕を見ていない。
それは僕そのものを求めているとういうよりも、
自らが失ってしまった父性の代わりを求めているのだと僕は感じていた。

だから僕はこの感情と行為に対して何を返せばいいか分からない。
僕自身を純粋に求める行為に対して、僕は何をすればいいのか。

求められるのなら、僕という存在を与える事は出来る。
だがどんな行動でそれを示せばいいのか。
どうすれば彼女は僕が受け入れていると感じてくれるのか。それがよく理解できなかった。

やがて長い長い彼女の噛み付きは不意に終りを告げ、そっとアリスが首筋から顔を離し僕を見つめる。
僕を見つめるアリスの表情は無表情で、僕はそこから何も感じ取る事が出来ない。
僕と彼女の間にあるのはまだ熱を帯びた首筋と、そこに残った歯型だけで、それらは何も語らなかった。

「好きなの。首筋を噛むのって。
 私がまだ小さかった頃、母さんの首筋によく噛み付いて注意された事があったわ。
 痛いし痕が残る。それに下品な行為だから止めなさいって母さんに言われた。
 でも私は止めなかった。母さんが駄目だと分かったら私は自分の腕を噛んだ。
 そうして印を残した。私の印を。私がここに居る印を」

「それを僕に?」

「それをアナタに。こうして私とアナタが一緒に居た事の印を残したの。
 ここでこうして二人で居れば一人じゃないでしょう? 
 暗闇の中に一人ぼっちじゃないでしょう?」

「僕は一人でもいいと何度も言っただろう」

「いいえ、求めている。アナタは優しいから、自分の欲求に他人を巻き込みたくないだけ。
 それと同時に他人を恐れている。
 今までの自分の経験を勝手に他人に照らし合わせて、自分を求めている相手にさえ恐れを抱いている」

「そんな事は……」

「じゃあ今ここで私を受け入れられる? 恐れず、私をその腕に抱いて私と同じ事をやってみせて。そしたらその言葉を信じてあげる」

アリスは両腕を僕の肩から背中に回し力を込めて抱きついた。
僕の顔を自分の首筋に当て、自分の顔は再び僕の首筋に当たる体勢。
言葉は無かった。ただ行動で示せと彼女は言っているようだった。

それと同時に、僕はアリスの言葉をもう一度反芻する。
他人を恐れている。自分の経験を照らし合わせて、自分を求めている相手にさえ恐れを抱いている。
彼女の言った言葉を何度も何度も繰り返し、飲み込んでその意味を噛み締める。

彼女の言う通り、僕は他者を恐れている。怖いと思っている。
過去の裏切りや増悪を今の人々に重ねている。
心の奥底にある疑心を塗り固めて、僕は他人と何食わぬ顔で談笑している。

空っぽだった。空虚だった。
歪に形作られた僕という存在の中身は何も無い空洞だけが広がっていた。
外側には僕という外見があり、内側には疑うというだけの心が有る。
だけどその中身には何も存在していない。伽藍堂のように空虚で淵よりも深い闇がそこにあるだけだった。

僕はまず自分の抱える暗闇と空虚さに驚いた。
そしてそれを理解して認めると無性に悲しくなった。
膝を抱えて泣き叫びたい気分だった。どうして僕はこうなのか。
どうしてこんな風になってしまったのか。

人を信じるという事さえ知らない自分に絶望し、信じる事を知りたいと思った。
僕はアリスの腰に右手を回し、左手を背中へと回す。
獣が草食獣を捕まえるように彼女をこの腕で押さえ込み、
少しの衝撃で折れてしまいそうな程細い彼女の腰に強く力を込めた。

「そうよ、強く私を求めて。自分の内面をもっと私に見せて。
 きっとアナタは自分の内面に絶望する。真に孤独なアナタは自らの孤独にさえ絶望する。
 けれども今は私が居るじゃない。自分の中にある空洞を私とアナタで埋めていけばいいじゃない、ねぇ」

アリスの声が聞こえる。それが甘く頭の中に響いて脳髄を揺さぶった。
僕とアリスの線が重なり合う。今宵一時だけ、僕とアリスの線が混じり合い一つになる。
やがてその線は交差して離れてゆくのだろう。だが再び方向を変えて互いに近づきまた一つとなる。
付かず離れず。交わって離れてを繰り返してゆくという結果が見える。

つまりは、彼女が僕の空白を埋めてくれるという事だろう。
僕は彼女の腰に回した右腕を引っ込め、首筋まで持ってくるとアリスの胸元で結ばれた赤いリボンを解く。
子供が誕生日に貰ったプレゼントの包装を剥がすように、
僕は彼女が見に纏ったケープを脱がし、リボンと共に剥ぎ取った。

それから僕の時と同じように肩口を露出させ、鎖骨から首筋をゆっくりと優しい手つきで撫でる。
愛撫するように愛おしげに、乾きを癒すように彼女の体を求める。

一見すると華奢な印象を受けるだが、素肌の手触りは柔らかい。
白い皮膚の下には熟れた紅い果肉が詰まっていて、
僕はこれからその白い皮膚を食い破り中の果肉を貪るのだという錯覚すら覚えた。

込み上げてくる高揚感を抑えようともせず、僕はアリスの首筋へと噛み付いた。
大きく口を開け、切歯で肌を裂き、犬歯で肉を刺し、臼歯が離さないように挟み込む。
噛んだ瞬間アリスの体が陸に打ち上げられた魚のようにビクリと動いた。

それを両手で抑えこんで、僕は更に顎の力を強める。
まだ終わりじゃない。僕はまだ満足していない。僕の虚無感を君はまだ埋めてはいない。
そんな意味を込めて、僕の歯は更にアリスの皮膚へ食い込み肉を噛み締める。

やがて鉄の味が口の中いっぱいに広がり、血の香りが嗅覚を刺激した。
出血が始まったらしい。アリスの首筋からは血液が滲み出し、僕はそれを舌先で味わいながら舐めとった。
漏れ出した空気が血を啜る音に変わり、血の味と匂いはより強く僕に彼女を求めさせた。

苦悶の声がアリスの唇から漏れる。
苦しそうに、だがどこか淫らな印象を与えるアリスの声。
なめまかしいその声は扇情的な嬌声となって僕の耳へと届く。

肉体的な苦痛を表すアリスの動きと、精神的な苦痛を表すアリスの声。
それらは僕にとって快楽の洪水として脳髄に溢れ出し、内にある孤独感を埋めていった。
他者を求め、ただ純粋に貪る行為がこれ程までに背徳的で高揚感を伴うものだとは知らなかった。

ゆっくりと時間を掛けて霖之助はアリスの嬌声と血の味を味わった。
全ての感覚がアリス・マーガトロイドを感じ、それぞれがアリスを求めている。

味覚はアリスの血液を。生命の源として体の中を駆け巡る血液を味わう。
触覚はアリスの体温と感触を。苦悶と快感の両方に身震いさせているアリスの感触を感じる。
視覚はアリスの動きを。逃れようとする動きと求めようとするどっちつかずなアリスの動きを観察する。
聴覚はアリスの声を。不意に大きくなる嬌声から小さな息遣いまで、全てを捉える。
嗅覚はアリスの匂いを。血の匂いと衣服に付着した香水の匂い。それから洗髪料の残り香まで余すことなく吟味する。

それらは悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように潔く、恋のように甘いものだった。
この言葉は異国の偉人が上等な珈琲に対して贈った言葉だが、僕には今この瞬間を例える言葉はこれぐらいしか思いつかない。
僕は満足するまでアリスを味わうと、若干の名残惜しさを残して彼女の首筋に噛み付くのを止め顔を離した。

首筋には紅く色付いており、唾液と血液が入り交じった赤い液体が滲み出していた。
これが僕の残した印かと感心した反面、痛々しい痕に対して申し訳ない気持ちにもなった。

「痛かったわよ。私そんなに強くしたつもりは無かったのに」

「すまない、つい強くやってしまった。君の反応がとても……良かったから。
 どうも僕はそういうところで歯止めが効かないらしい」

「でもこの歯型って中々消えなさそう。とっても深くて、とっても強いものだから。
 どうかしら、少しは満たされた? アナタの中の空白は埋まったかしら?」

アリスの額と僕の額が軽く当たる。
吐息が熱かった。けれども僕の頭の中は驚く程に冷静で、真っ直ぐに彼女の眼を見つめる事が出来た。
碧い瞳は僕を熱っぽく見つめる。その瞳を見つめていると首筋の噛み痕が疼くような感覚が走った。

「いくらか。でももう少し埋めておきたい」

「私も。もう少しアナタを知っておきたいわ」

にやりと二人で笑って僕達は先程とは違う方の肩を差し出した。
アリスは僕の首筋から鎖骨を撫で。僕はアリスの首筋から鎖骨を撫でる。
確かめ合うように、互いにここに居るという印を残す為に。
自分達は孤独以外もこの腕に抱けるのだという証明を立てる為に。

その為に僕達はこの交わりを楽しむのだ。
跡形もなくなるまで。『痕形もなくなる』まで。

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