十四朗亭の出納帳

アニメの感想、ゲームホビーの感想など 作品のジャンルにこだわらず書いていく予定です,SSとか書いてます

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十四朗

Author:十四朗
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ロボとか好き東方も好き
趣味の守備範囲は日々拡大中
東方の霖之助SSが主流です
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7.62mmの衝撃

『7.7mmの隙間』の続き的な鈴霖。
鈴仙は銃の似合う子、そんでもって嫉妬深い子。

銃火器に関する描写は難しいです。
ガチのミリ好きに笑い飛ばされる程度には。
だってミリ好き怖いんだもん!
空薬莢の飛び方をスローで見てニヤニヤしてる連中なんだもん!


『7.62mmの衝撃』


霖之助、鈴仙、にとり







開け放たれた銃の機関部にクリップで八つ一纏めにされた弾薬を詰め込んで、機関部が弾薬を咥え込むのを確認すると、
年季が入ってやや黒ずんだ曲銃床を肩に当てて構える。
構えるだけでまだ引き金には指を掛けない。
人差し指をピンと伸ばして引き金とは無関係な位置で留めておく。

鈴仙の体を支える二本の足は肩幅よりも少しだけ大きく広げられ、
腰と肩に力を入れて、反動に備えているのが分かる。

鉄と木材で構成された小銃はすらりと長く、
機関部の膨らみと銃床へ至るラインの細さは西洋のグラマラスな女性をイメージさせる。

一見すると、ついこの間同じようにこの場所で試射をした小銃と似ているが、
鈴仙にとってはまったくの別物と言っていい。

体に密着させた時の感触が違うし、重さも僅かにこちらの方が重い。
全長がほぼ同じなだけにどうしてもその僅かな重さが際立つ。
この僅かな違いはボルトアクション式か半自動式の違いによるものだろう。

撃つ度に排莢、薬室への装填を自分で行わなければいけない代わりに、
簡素で高い薬室密室性を持ち、信頼性と命中精度の両面で強みのあるボルトアクション式。

装填のみを自身の手で行い、排莢と薬室への装填を自動で行ってくれる代わりに、
機関部の複雑化や、それが招く故障、機能不全による信頼性の低下。
高コスト、本体重量の増量等不安を抱えてしまう半自動式。

どちらかと言えば鈴仙が好むのは前者のボルトアクション式だが、
使えと言われれば半自動式でも渋々だが使用する。

特に今回は自分の方からお願いして撃たせてもらっているのだ、
それなのに半自動式だから撃ちたくありません、なんて理由は通らない。

初めて香霖堂で銃の試射をして以降、
鈴仙は時々香霖堂を訪れては、こうして修理した銃の試射を請け負っている。

元軍人としての性のようなものだろうか、こうして銃に触れて、
引き金を引いている間は心底リラックスした状態で、自分を保つ事ができる。

慌ただしい日々の職務、かといって非番の日には特にする事がない。
上等なドレスを身に纏ってダンスクラブにでも出かけたい気分だが、
生憎幻想郷にそんな気の利いた場所がある訳もなく、
こうしていつもの服で乾いた発砲音と硝煙の匂いに身を委ねるのが、
鈴仙・優曇華院・イナバにとっての充実した非番の過ごし方となっていた。

大きく息を吸い込んで、吐き出さずに肺の中で留まらせる。
目標は三つ。
以前と同じく森の中に佇んだ木に赤いチョークでマーキングされた部分が目標だ。
だが今回は以前と違い、目標が三つある。

およそ十五メートル程先の地点に一つ、二十メートル先にもう一つ。
最後のもっとも遠い目標は三十メートル先に佇んでいた。
まず第一目標は十五メートル地点に佇む一番近い木。

片目を瞑り、迷いなく引き金を引く。
甲高く、乾いた発砲音が森の中に響いて、野鳥が慌てたように羽音を立てて木々の間から飛び立った。
鈴仙はそれに構わず今度は立て続けに三発発射した。
連なって響く発砲音と右斜め上へ不規則な機動を描きながら飛んでゆく空薬莢。

中々良好な連射性能だ。
鈴仙が撃った計四発の弾は、逸れることなく的のほぼ中心部を射ぬいていた。
思っていたより精度が良く、半自動式の割に狙った所へスムーズに打ち込める。

次に鈴仙は二十メートル先の的へ二発撃ち込み、
すぐさま照準を三十メートル先の的へ向けて二発撃ち込んだ。

八発全て撃ち切ると、最後の空薬莢を排出した後に、
弾薬を一纏めにしたクリップが金属と金属が触れ合うような音を立てて機関部から排出された。

軽い空薬莢よりも低い放物線を描いて地面に落下したクリップは、
地面に当たるとまた甲高い音を立てた。

速射と言っていい程のスピードで放たれた四発の銃弾は全てが命中。
三十メートル地点の的に残った弾痕が、やや外側に逸れているのを除けば完璧といっていい。

撃ち終わると自動的にホールドオープン状態で静止し、
次の弾薬を求めている様子は、鈴仙にこの銃が効率を重視した軍用の小銃である事を否応なしに実感せた。

耳栓の役割を備える耳あてを外して、鈴仙は肺に溜め込んだ空気をゆっくり吐き出す。
生物にもホールドオープンというべき状態があるのなら、
まさにこの状態の事をいうのだろうと鈴仙は思う。

「相変わらず見事だね」

耳あて型の耳栓を外しながら、
いつもの仏頂面を少しだけ緩めた霖之助が鈴仙に話しかけた。

「最後の一発が少し外に逸れました。
 調子にのって引き金を引く間隔を短くしたせいですね」

「できると思ったからそうしたんだろう?」

「どちらかと言えばカッコつけですよ」

鈴仙がややシニカルに浮かべた笑みは霖之助に対してではなく、自分に対してのものだった。
他人が見ていると自分の得意分野で張り切ってしまうのは誰にでもある事だが、
職業軍人気質な鈴仙にはその部分がどうにも気になってしまう。

どんな状況であれ最も優れた働きができなければいい軍人とは呼べない。

「まぁ、問題なく作動しているのならそれでいいよ」

「でも売らないじゃないですか。きちんと動作しても霖之助さんは銃を売りません」

「売っても使えないしね。弾がない。
 この銃の弾だってさっき君が撃った八つでワンセットのカートリッジが三つだけ。
 使えない道具を売ってもね」

「それに幻想郷は平和ですし」

「違いない」

他人の庭に入ってきて、挨拶がわりの発砲でお客様の気分の侵略者が居ないこの土地は本当に平和だ。
妖怪と人間が緩く対立し、戦いを模した遊びで大抵の物事に決着がつく。
誰も死なない、誰も傷つかない。
平和過ぎて誰もが剣を手に取り、銃を構える事を忘れてしまったのではないかと錯覚してしまう。

そんな場所で人を殺す道具の試し撃ちをして喜びを感じている自分は、
精神異常者とまではいかないにしても、かなり変わった存在なのだろう。

「ところで霖之助さん」

「なんだい?」

「何か不思議な感じがしませんか」

穏やかな笑みを浮かべていた鈴仙は、その言葉と共に表情を硬くして霖之助に問いかける。

「というと?」

「見られている感じです。
 木にとまっていた鳥達が、銃声に怯えてどこかへ逃げ出してしまったのに、
 それとは違う何かが一匹だけ私達を見ている、そんな感じです」

「考えすぎじゃないのかい? こんなものを見てなんになるんだい」

「そういうのが好きな連中……とかどうです?」

ブレザーのポケットから先程の銃弾を一纏めにしたクリップを機関部に叩き込み、
鈴仙は的があった方向とは別の、鈴仙が立っている位置から見て反対側に向けて銃口を向けた。

「隠れるのが嫌だって思ったら出てきてくれるでしょうか?」

その言葉と共に、鈴仙は銃口を向けた方向に向けて腰だめで引き金を引いた。
まず一発、銃声と共に弾きだされた銃弾が生い茂った挫創を掠めて森の奥へ消えていった。

反応はない。

そこから二発、三発と少し間隔を開けて撃ち続ける。
四発目を撃ち終えたところで少女のものらしき悲鳴が聞こえたが、それでも構わずに撃ち続けた。

響く銃声、恐怖に歪んだ少女の悲鳴。
七発目を撃ち終えたところでようやく、
「参った! 降参! 撃たないで!」と木陰から声がして、鈴仙はやっと撃つのを止めた。

「ゆっくりと木の影から出てきてください。
 両手を上げて、出来るだけ高く手を上げてください」

「い、いや、私はただ見てただけなんだよ!
 本当に! 全然何にも企んでないから! 興味本位で……」

木陰から姿を表したのは水色のレインコートの様な衣服に、
衣服と同じ水色の髪をした小さな少女だった。
左右で房になるように留めた髪の上には緑色のキャップ。
背中には何がたんまり入っているらしいリュックサックを背負っていた。

それ以外には特に特徴はない。
半泣きの顔に、怯えきった声で冷静さを欠いているのは分かるが、
鈴仙以外の誰が見ても戦闘なんて専門外の非戦闘員に見える。

「背中のリュックサックを降ろして、ゆっくりとこっちへ」

「えぇ!? リュックを降ろさなきゃ駄目なの? 
 べ、別にいいじゃん、特に危険なものは……」

上空に向けて一発、威嚇目的で発砲する。
銃声と共に空薬莢が排出され、薬莢に続いて、
例の甲高い金属音を発しながらクリップが排出された。

すぐさまポケットに残った最後のカートリッジを機関部に叩き込んで、
不審少女へと銃口を向ける。

「はいぃ! 分かりました、分かりました、分かりましたぁ!
 降ろします! リュックでもスカートでもパンツでも何でも降ろしますから!
 降ろしますから撃たないでぇ!」

わとわたと震えながら少女はリュックを地面に置くと、震える足で必死に真っ直ぐ立った。

「ではそのまま私の合図で一歩ずつこちらへ……」

「止めないか鈴仙、彼女は何も危険じゃないだろう。やり過ぎだ」

流石に対応が荒っぽすぎると判断したのか、霖之助が割って入って、鈴仙に銃を下げるように言った。

「隠れて覗き見をしていたんですよ?
 何を考えているか分かりません。
 第一に彼女が何者かということも……」

「彼女は僕の知り合いだ。名前は河城にとり。
 ただのしがない技術屋で、他人を傷付けるような真似はしないし出来ない非力な河童だ。
 たまに外の道具目当てで香霖堂へ来る常連客だよ」

そこまで説明されて、鈴仙はやや不服ながらも銃口を下に向けた。
霖之助が言うのなら仕方がない。
やや過激であった点は自身でも否定出来ないし、威嚇とは言え発砲したのは流石に不味かった。

どうせ木陰に隠れているのだと踏んではいたが、
もしも直撃していたら妖怪だと死にはしないにしても、人間だったら簡単に死んでしまう。
敵方の斥候でもない人間を撃ち殺していい世界ではないのだ、この幻想郷という場所は。

「り、霖之助ぇ!」

ぼろぼろと大粒の涙を流しながら河城にとりと呼ばれた少女は霖之助に駆け寄ると、
そのまま霖之助の胸に飛び込んだ。

「怖かったぁ! すっごく怖かったぁ! うぇぇぇぇぇぇん!」

「あぁ、分かった、分かった。確かにあれは怖い。うん、だけど落ち着いてくれ。
 泣いてばかりだと君がどうして覗いていたのか分からないだろ」

大声で泣きながら霖之助に受け止められて泣きじゃくるにとりに、
「もう二、三発威嚇射撃をしておいても良かった」と鈴仙は少しだけ思った。
威嚇射撃が一発や二発多かったところで死にはしないだろう。

「うんとね……ひっく……うんと、最近山の天狗達が香霖堂から凄い音がするって言ってたんだ」

「あぁ、うん……まぁ、こういう事をしているからね」

「それで霖之助が何か面白い事をしてるんじゃないかと思って来てみたら……」

「試し撃ちの真っ最中だったと」

「そうそう。でも私の知らない女が居たから、声が掛け難くて」

「どうも、知らない女です」

霖之助の胸から顔を上げたものの、
いまだに霖之助と密着状態にあるにとりに対して、
鈴仙はぶっきらぼうに挨拶をする。

「彼女は鈴仙・優曇華院・イナバ。
 修理した銃を時々撃ってもらって意見を貰っているんだ。
 少し無愛想なところがあるかもしれないが、根は良い娘だよ」

「悲鳴を上げて怯える相手に何発も撃ち込むのに?」

「威嚇射撃ですよ。当てるつもりはありませんでした」

「嘘だ! あんな的確に私が隠れてる場所めがけて撃った癖に!」

言い寄るにとりに対して鈴仙は仏頂面で、極めて事務的に返した。
こんなに煩いのなら本当にあと二発程撃っておいてもよかったのかもしれない。

「でも霖之助が銃を持ってるなんて知らなかったな、私」

「彼等も役目が終われば他の道具と同じようにこの場所へ流れつくからね。
 もっとも、定期的に流れつく様子を見ていると、
 銃そのものの役割が無くなって流れつくというよりは、
 新型の銃に役割を奪われて流れつくと言った方が正しいかもね」

「外の人間は戦争が好きだからねー、河童の里にもたくさんあるんだよ。
 そういうのが好きな河童は銃が流れ着く度に大喜びしてる。
 多分、そこにいるこわーい兎さんと同じく」

「私は別に新しい銃が流れ着いたからといって大喜びはしませんよ。
 本当ならこんな半自動式よりも、ボルトアクション式の方が好きですし」

「何その趣味……まぁ、いいや。
 ねぇねぇ、霖之助。私にも銃を見せてよ」

「興味があるのかい?」

「うん! 里にある銃は他の河童の間で取り合いになってるから中々触れないんだ。
 でもここなら里にもない銃がたくさんあると思うし」

「銃はあっても弾がないんだよ」

「だったら交換条件!
 私が里にある弾薬を持ってきてあげるから、その代わり私にも銃を触らせて!」

「なるほど……そうすれば試射をする時に限られた回数しか撃てないという事もなくなるし、
 今は弾薬の無い銃も積極的に試射出来る……鈴仙君はどう思う?」

「どう思うも何も、私に決定権はありませんよ。
 アナタのお好きにどうぞ」

相変わらず顔が近い霖之助とにとりからプイッと視線をそらして、やや投げやりに鈴仙が答えた。

「分かったにとり、じゃあその取引を飲もう」

「取引だなんてそんな他人行儀な。私と霖之助の仲じゃん!」

「そうか、そう言ってくれると助かる」

鈴仙はムスッとした顔で、空に銃口を向けると、そのまま遠慮なしに引き金を引いた。
乾いた発砲音に続いて空薬莢が地面に落ちる音。

「ひゃうぃ!? な、何さ! まだ不満!?」

「いえ、この銃は一度弾薬を装填すると後から取り出せないみたいなんです。
 だから全弾撃ち尽くさないと倉庫にしまえないなと思って」

「だ、だったら一言ぐらい言ったら!」

「そうですね、それはすいませんでした」

ちらりともにとりの方を見ずに鈴仙は空に向けて次々引き金を引く。
連続した発砲音が七回響き渡り、
最後の発砲音の後にクリップが排出されて地面へと落ちた。

クリップは地面に落ちていた空薬莢に当たり、
今までよりも大きな金属音を鳴らしてイレギュラーバウンドすると、鈴仙の足元で止まった。

爽快な排莢音の割には煮え切らない胸の内が気持ち悪い。
鼻につく硝煙の匂いでさえ腹が立つぐらいだ。

だが彼との距離はこれから埋めればいい。
ひっそりと静かに隠密行動を常とする狙撃手のように近づき、確かに仕留める。
そんな風にゆっくり確実にやればいいだけの話だ。

Comment

#No title
嫉妬の視線っていいものですよね!
にとりと鈴仙の水面下の戦いが続くことを期待しつつ。
  • by:道草
  •  | 2011/05/19/23:10:24
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