十四朗亭の出納帳

アニメの感想、ゲームホビーの感想など 作品のジャンルにこだわらず書いていく予定です,SSとか書いてます

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十四朗

Author:十四朗
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れーむちゃんおねがいする

『れーむちゃんあらわる』の続き。
ろりれーむちゃんは無愛想かわいい感じで。

ジト目幼女って心踊りますよね。


霊夢、霖之助











「服が破れた」

「あぁそうかい」

「直して」

「何で僕が」

「直さないと退治する」

店に入ってくるなり、ジトーっとした目で霖之助を睨んだ霊夢が、
開口一番口にしたのはそんな言葉だった。

あの日以来事あるごとに香霖堂に訪れては、
監視と称して食事をたかり、風呂をせがんでくる。
子供一人が食べる食事の量くらいなら然程気にならないし、
風呂は一緒に入れば手間が少ないので、これといって面倒な訳ではないが、
巫女として他にやる事がないのかと不安に思う事もある。

話を戻すと、確かに彼女の巫女服は所々が破れてもはやぼろ布と言っていい状態だった。
だがそれを霖之助が直してやる理由はどこにもない。
良心に訴えかけるものがあるものの、
霖之助に責任があるわけでもないのでそれは仕方がない。

第一食事や風呂と違って衣類の修繕はコストも手間も掛かる。
日頃から世話をしてやっているのに、
これ以上を求める事に遠慮というものはないのだろうか。

「君は理不尽という言葉の意味を覚えた方がいいのかもしれないね」

「理不尽? 困った時は大人に頼っていいっておばさんが言ってたの」

「じゃあそのおばさんに頼めばいいじゃないか」

「駄目なの。おばさんは私の言うことはあんまり聞いてくれないから。
 自立を促すんだって言ってた」

「頼れと言ったり、自立を促すと言ったり、無茶苦茶だなそのおばさんとやらは」

「おばさんは無茶苦茶よ。よく何も無いところから出てくるの。
 こう、バシュ! ゴォォォォォォォォォォ! てな感じで」

「君の表現も無茶苦茶だな」

「いいセンスだって言われたことがある」

相変わらず無表情ジト目の霊夢は何を考えているのか分からない。
つくづく愛想のない子だと思う反面、
こんなに幼い子供が妖怪退治をしているのだから仕方がないと思うところもある。

霖之助はため息をついて、甘いなと自嘲気味に呟いた。
つくづく自分は子供に甘い。
童女趣味は無いと思いたいが、どうしても小さな子供にせがまれると強く断れない。

子供は裏表がないから、その真っ直ぐな心に良心が反応してしまうのだろう。

「分かったよ、直してあげよう」

「やった、ただ直すだけだとつまらないから改造してね」

「いいだろう。ただし、次からは大事に扱ってくれよ?
 僕だって君の巫女服を直すだけが仕事じゃないんだから」

「保証はできない。戦いの世界は非情だから」

「難しい事を言うんだね」

「おばさんに教えてもらった」

ジト目はそのままに口元だけ緩めた霊夢が答えた。
本人はまだ七歳と言っていたが、随分と達観したような口を聞く。

霖之助が修行時代世話になっていた霧雨店の一人娘も同じような年頃だったはずだが、
それに比べると幼さが少なく、代わりに冷めたような印象さえ受ける。

「服のご要望は?」

「んと、腕が動かし辛い。
 バシュ! ゴォォォォォォォォォォ! て感じにできない?」

霊夢は二つの腕を振り上げて身振りと声で表現してくれたが、さっぱり伝わってこない。
というかさっきのおばさんに関する表現と何も変わっていない。

「えーつまりは腕周りを工夫すればいいのかな」

「創意工夫あるべし」

「……あぁ分かったよ。とりあえず服を脱ぐんだ。
 突貫でやっても出来上がりは夜になるだろうからそれまでは大人しくしている事。
 これが条件だ。いいね?」

「おー」

分かったか分かっていないのか判断に困るような気の抜けた返事だった。









まず破れた部分を塞ぎ、
一旦完璧な状態に仕上げてから霊夢の小さな巫女服を手に取ってまじまじと見つめてみる。

夕日で染め抜いたような緋袴に、それとは対照的に冬の新雪を思い起こさせる千早に襦袢と白衣。
お祓い棒と頭で猫の耳のように揺れるリボンというオプションが有っても中々シンプルな構成だ。

だがシンプルといえど、千早と襦袢と白衣を重ねて着れば、
確かにかさばって動きが取りづらくなる。

せめてどこか一部でも切り取ったり、
別部分として独立させる事が出来れば動きやすくなるのだろうが。

「出来た?」

びょこりとカウンターの向こうから薄紅色の浴衣を着た霊夢が顔を出した。
体の動きにあわせて頭のリボンがピョコピョコ揺れる。
相変わらず猫の如く神出鬼没だ。

「修繕だけはね。それで今改良案を模索している最中だ」

「ちゃんとバシュ! ゴォォォォォォォォォォ! 出来るようになる?」

「君の言うそれが僕にはよく分からないけど、
 つまりは腕周りの動きやすさを追求すればいいんだね」

「うん、そしたらバシュ! ゴォォォォォォォォォォ! できる」

腕をぶんぶん振り回して特に楽しく無さそうな顔で、
楽しそうに言う霊夢とやっはりそれがよく分からない霖之助。

ここまで嬉々として語られると、
理解していない自分の方が異常なのではという疑問に駆られる。

「と言っても簡単じゃないんだよ。
 巫女服ってのは重ね着するからどうしても二の腕や腋の部分が重くなる。
 長い袖もあるなら尚更だ」

「無くせばいいんじゃないの?」

「袖を無くせば見栄えが悪い。腋を無くせば前代未聞だ」

「見栄えぐらいどうだっていいと思うの。
 腋がなくてもご飯は食べれるわよ?」

きょとんと無表情で首を傾げて霊夢が言った。

「巫女服として袖だけは無くしてはいけないと思うんだよ、僕は。
 そうでなくては巫女服でなくなってしまう。
 腋は……まぁ、腋の部分に布の無い巫女服ってのは新しいかもね」

「じゃあ腋無しで。無し無しで」

パタパタと霊夢が浴衣の袖を嬉しそうに振って催促する。
よく見れば表情も若干だが緩んでいるようだ。

一見すると無愛想で無表情で理不尽な少女だが、
時々見せる僅かな笑顔は歳相応の少女のままに思える。
それも当然だろう。なにせまだ七歳の子供だ。

子供だったら悲しい時に泣いて、嬉しい時に笑えばいい。
悲しい時に踊って、泣きたい時に笑えというのは無理な話に違いない。

ただ霊夢の感情の少なさは、
抑圧されたものというよりは、単純にそんな感情を知らないだけだと言えなくもない。

付き合い自体はまだ短いが、彼女は驚く程色んな事を知らない。
通貨の価値を理解せず、友情といった概念を名称でしか理解していないし、
死についても特に恐怖を感じていない。

この年頃の子供がそれら全てを正確に理解しているのが普通だという訳ではないが、
それでも通貨が価値あるものだと分かるし、友情を求め、感じることができる。
当然の事ながら、死を恐怖として理解する事もできる。

だがこの子にはそれがない。
霊夢にとって通貨はそこら辺の石ころと同じで、
友情は理解しがたい感情のこじれであり、
死は動かなくなる事でしかないのだ。

言葉や物、概念から感覚を読み取ることが出来ない、或いはそれをしない。
まるで彼女にはクオリアが存在していないかのようだ。

「手が止まってる」

「む、止まっていたか……
 すまない、服の事について考えていた」

霊夢から指摘されてとっさに嘘をついた。
本当は君の事を考えていたなど、言える訳がない。

「本当に?」

霊夢の紅い目が、普段よりもきついジト目で霖之助を睨む。
まるで瞳の水晶体を通して、
自分のその奥にある脳が送る電気信号から何かを引っ張り出されているかのような感覚だ。
じっと見つめる瞳にはどこか見透かされたようなところがあり、
嘘を自白するまで許さないといった言葉が含まれている気がした。

「でも霖之助さんが言うのなら本当なのね。
 だって霖之助さん私に嘘ついたことないもの」

「まだ知り合って日が浅いのにそう判断するのは早計だろ。
 それに秘密なきに誠なしとも言う。嘘がなければ真実もないよ」

「嘘は私に牙を向かない。何故なら私には嘘も誠もないから」

難しい言葉で煙に巻いてやろうと考えた矢先に、
霊夢からそんな事を言われて面食らった。

とても子供が、七歳の少女が口にする言葉ではない。
意味を知ってか知らずか、霊夢が口にした言葉はとても悲しい物だった。

嘘がない代わりに誠もない存在。

幻想郷の均衡を守るという役割に嘘もなければ、
確かに巫女が存在したという誠も存在せずに忘れ去られる。そんな存在。

それが博麗の巫女だ。
その例についこの間まで人々を妖怪から守っていた巫女の名を誰も覚えていない。
顔だけではなく名前も、声も、好きな食べ物も、格好も。
何一つ誰の記憶にも残っていない。

確かに巫女が居たという存在だけが記憶にある。
この幼い少女もやがてはそうなってしまうのだろうか。
先代の巫女よりも遥かに透明で、
無機質なこの巫女も忘れ去られて巫女という概念だけになってしまうのだろうか。

やがて誰からも思い出されずに、霖之助の記憶からもひっそりと消えてゆく。

「忘れねばこそ思い出さず……」

ぽつりと思考が紡ぎ出した言葉が無意識に口から漏れた。
これは女性が男性に向けて送った言葉だが、
今の霖之助にはこの言葉を口に出さずにはいられなかった。

「何を言っているの?」

「なんでもないよ。なんでもね」

軽く返して手を動かす。
こうしてお喋りをしていては終わるものも終わらない。

「ねぇ、さっきの言葉の意味……教えて」

「さっきの言葉?」

「忘れねばこそ思い出さずってやつ」

「あぁ、あれか……」

巫女服から切り取るラインを大まかに決めた霖之助が顔を上げて霊夢を見つめる。

「忘れることはありませんから、思い出すことなんかありません。
 そんな意味だよ。まぁ、こんな変わったお客忘れたくても忘れられないね」

「忘れねばこそ思い出さず……」

せっかく教えてやったというのに、
霊夢は一人でぶつぶつとその言語を反芻していた。
まったくもって、この子は自由奔放というか、気ままというか。

人に何かを合わせるという行動が欠落している気がする。
だがまぁ、そうでなければさっきの言葉の意味が無いだろう。

忘れねばこそ思い出さず。

Comment

霖之助さんまじ保護者
れーむちゃんおねがいするのリンクがれーむちゃんあらわるになってますよ。
  • by:はんぺん
  •  | 2011/05/13/20:36:00
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