十四朗亭の出納帳

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十四朗

Author:十四朗
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趣味の守備範囲は日々拡大中
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四畳半慧霖-岡崎夢美の真相 前編-

ネット再開してまず第一の更新はやっぱり四畳半!
大体後四話ぐらいで終わりですかねー
繋ぎが思いつかなかったので今回は前後に分けます。

岡崎始動!
きをつけてだれかがうぉっちゆーせなかかりきををおいつめてるぅー

振り向いたら負けですね。


『四畳半慧霖-岡崎夢美の真相 前編-』


霖之助、蓮子、岡崎





「デンプシーロールって食べ物みたいよね。
 バタークリームがたっぷり詰まったロールケーキみたい」

「だとしたらマエリベリーが好きそうだね」

「そうそう。
 だからこの前メリーにデンプシーロールを食べに行きましょう、って言ったの。
 そしたらメリー、ジョギングに飽き足らずボクササイズでも始める気なの?
 なんてつっこまれて、とっても恥ずかしかったんだから」

「君の場合、女子ボクシングの階級はアトム級かな」

「なに? 鉄腕? 私のパンチは鉄腕だって言いたいの、霖之助さんは。
 鉄腕だったらバーディー級だと思うけど」

「そんな階級はないよ、蓮子」

段々と慣れ始めた蓮子の唐突なボケに、緩い返しをしながら、霖之助は店の窓から外を眺めた。
時刻は午後七時前。そろそろ店仕舞いの時間だ。
今日も部屋の方で慧音とマエリベリーが夕食の用意をして待っているらしい。
蓮子がバイトで入っている日は二人の帰宅時間が同じなので、このように四人が揃って食事を取る事が多い。

午後四時過ぎに送られてきた携帯のメールによると、
今日はビーフシチューらしい。
あの二人が作ったビーフシチューとなると楽しみだ。

「毎日楽しくお喋りしてー美味しい御飯食べてー熱いお風呂にはいってー
 あぁ、幸せねぇー」

「幸せが疑問かい?」

自身の現状をいまいち自分のものと感じ取っていないような口ぶりの蓮子に、霖之助が質問した。

「疑問を抱かない人間に待っているのは緩やかな死だわ。
 疑問がなければ、誰も世界が五分前に始まったかもしれないなんて考えないし、
 自分が水槽の中に浮かぶ脳味噌で、それに電極を差し込んだだけの存在だなんて疑いもしない。
 別に目の前の出来事を否定しろと言うつもりはないわよ。
 けど、大切なのは疑ったり探求したりする事に飽きない事だとは思わない?」

「言えてるね」

肩をすくめて霖之助は答える。
あと十五分待って客が来なければ今日は店仕舞いにしよう。
霖之助はそう思って、懐から煙草を取り出すと、それを咥えた。

「私が火をつけてあげる」

蓮子がそう言って、自分のポケットから銀色の本体に、
二頭の赤い馬が後ろ足で立ち上がって王冠を支えているロゴが刻まれたライターで火を付けてくれた。
軽くフィルターを吸って、その後肺まで深く吸い込んで、最後は口から紫煙を吐き出す。

「ありがとう。やっぱり君は気が利くね。
 僕が探偵なら助手にしたいくらいだ」

「私は探偵役の方が好きよ」

「確かに、君はいつも探偵みたいな格好をしている」

今日の蓮子は、首元には赤いリボンのついた長袖のジャケット。
チョコレート色のスカートに今は被っていないが、スカートと同じ色の帽子。
セミロングの髪を片方だけをリボンで束ねたシックな格好をしていて、
そこに落ち着いた黒色のポンチョを羽織っていた。

格好だけ見れば、推理小説で、警察には解決不能と思われた殺人事件の現場にひょっこり現れて、
鋭い推理と、天性の勘で事件を解決していしまう探偵の様にも思える。

「でも探偵は同時に二人も要らないわよ。
 ポアロとホームズは仲良く出来ないわ」

「この場合どっちがポアロでどっちがホームズなのかな?」

「私がホームズ、霖之助さんがポアロ。
 そして霖之助さんは現場に出向いて、僅かな証拠でも残さず調べ尽くす私を見てこう言うの。
 犬じゃあるまいし、ってね」

わんわんと蓮子が楽しそうに吠える。

「もう少ししてお客が来なかったら、今日は店仕舞いだ。
 それまでに今日の売上と、売れていったものを纏めておいてくれ」

「分かったわ、霖之助さん。お安い御用よ。
 さっさと終わらせて今日も美味しいご飯を食べるんだから」

陰りのない笑顔を向けてくる蓮子が、これ以上になく頼もしく思える。
だが、この笑顔がまだ何も知らない、霖之助の欺瞞の上にある笑顔だと考えると、後ろめたい。

自分達が蓮子とマエリベリーの元から去る事を告げようと思ってから、数日が過ぎた。
未だにそれを言い出す機会が見当たらない。
いや、機会はいくらでもある。
けれど、その機会につまらない理由をこねて言い出さないのは霖之助の責任だ。

例えば今、蓮子にこの話題を切り出したとしたら、蓮子は大きなショックを受けるだろう。
ひょっとしたら泣いてくれるかもしれない。
でもそうしてしまったら、今夜の夕食は台無しになってしまう。
それどころかもっと根本的な。自分達の関係性まで壊してしまいそうな気がする。

そんな風に霖之助は思っているから、何時まで経っても二人にこの事を言い出せない。
自分の中にある、自分だけのルールや考えかもしれないが、
自分の中にあるルールや考えを自分以外の誰が守るというのだろうか。

「ぐっどいぶにーん、霖之助。ついでに宇佐見もぐっどいぶにーん」

カラコロと店のドアベルが鳴り、それが鳴り止む前に聴き慣れた声が飛び込んできた。
霖之助はやれやれまたかと、肩をすくめる。
蓮子の方は、野良猫が縄張りに侵入した他の猫を威嚇するように、
警戒心丸出しの眼で声の主を睨んでいた。

「ご挨拶ね、二人とも」

「誰も来なかったらあとちょっとで今日の業務は終わりだったのにぃ、終わりだったのにぃ!」

「お邪魔だったかしら?」

「邪魔ですよ! 大邪魔ですよ! 超邪魔ですよ! 
 まったく、チキンライスに入ったグリーンピースみたいな存在ですね、教授は」

「あら、グリーンピース嫌いなの宇佐見は。
 私は好きなのだけど。趣味が合わないわねー」

「キムチみたいな色合いの癖にグリーンピースが好きとか」

「止めにしないか、蓮子。一応はお客様だよ。
 岡崎も煽るんじゃない。そんな事をする為に来た訳ではないだろう?」

「当然よ。教え子と喧嘩する為に誰が来るもんですか」

豊かに膨れ上がった形の良い胸を張って、
紅い大学教授こと、岡崎夢美は自信満々にそう答えた。
ここ二週間程ご無沙汰だったが、こんな時間になってふらりと現れるとは。

「いやぁ、急に夜のドライブがしたくなっちゃって。
 ほら、みんなが寝静まった夜に窓から空を見ていると、
 とても凄いものを見ちゃったってやつ?」

「そんなアニメみたいな事があるもんですか。
 大体まだみんなが寝静まったような時間帯じゃないですよ」

「それもそうね。
 やっぱり、星が降りしきるペントハウスで宇宙のオルゴール独り聴いてる方がいいのかしら」

「そうしてください。私は霖之助さん達と夕ご飯を食べるんで」

「今日の夕食は何なの?」

「メリーと慧音さん特製のビーフシチュー」

「紅い素敵! 私も食べに行こうかなー」

「来るな! 牛丼屋で紅生姜でも食べてろ!」

「はい、ストップ。ストップだ二人とも。
 君達、僕の話を聞いてないんじゃないのか?」

「無論」

「ごめん、覚えてない」

こういう時だけは息の合う岡崎と蓮子が同時に答えた。
「無論」と言ったのが岡崎で、「覚えていない」と言ったのが蓮子だ。
本当はこの二人、とても仲がいいのではないかと錯覚してしまいそうな程、この二人の息はぴったりだった。

「君達は馬鹿か、もしくは阿呆か」

「宇佐見はともかく、私は馬鹿じゃないわ」

「あ! 今馬鹿って言った! 馬鹿って言ったら馬鹿って言った方がバーカ!」

「今宇佐見も馬鹿って言ったから宇佐見も馬鹿ね」

「教授はまた馬鹿って言ったからもっとバーカ!」

もう止めに入るのは諦めて、大人しくカウンターに設けた自分の椅子に座ると、
吸いかけの煙草を再び口に咥えて一息ついた。

「それで、霖之助。一緒にドライブへ行きましょうよ」

「それはとても難しい。
 僕はこれから夕食だし、それが終わったら風呂に行って晩酌した後眠る予定だ。
 お生憎、ドライブへ行ける程余裕はない。ちゆり辺りを誘って行くといい」

「つれないわねぇーお仕事の話もしたいのだけれど」

「教授しつこい! もう店仕舞い前なんだし、今日は諦めたっていいじゃないですか」

「そういう訳にもいかないの。時間がないんでしょ?」

「勿論、閉店前だからね」

岡崎の言う「時間がない」という言葉は、とりあえず今この状況を言い表しているのではなく、
別の差し迫った危機的時間を射抜いている様に感じられた。

相変わらずどこまで知っていて、何を理解しているのかさっぱり分からない。
もし全てを知っているのなら、この女性は何がしたいのだろうか。

とにかく、岡崎と話をするのはいいにしても、ドライブするのは無理だ。
それは時間的な意味と彼女の領域に引き込まれるという意味で。

「また今度ご一緒するのでは駄目かな?」

「実を言うと本当に仕事の話をしたいの。ちょっと探している物があって」

そういうと岡崎はタッチスクリーン式の携帯端末を少し弄ると、端末の画面を霖之助に向けた。

「とっても大事なものよ。代わりのないぐらいにね」

岡崎の端末に写し出されていたのは慧音の写真だった。
昼間のスーパーで一人買い物をしている写真。
表示されている日付は確かに今日のもので、おそらく慧音が昼間買い物に出た時の写真だろう。
確か霖之助と蓮子が昼食を終えた後メールで、
マエリベリーの都合が合わないから買出しは一人で行くと言っていた。

「早くしないと駄目になるわ。そうなるかならないかはアナタに掛かっているの。
 無理な相談かしら?」

岡崎が端末を弄ると次々に慧音の写真が表示される。
野菜売場でジャガイモの値段を比べる慧音。
ビーフシチューに使うワインを選定する慧音。
肉売り場でどの肉がビーフシチューに合うかを考える慧音。

全て無防備で、自分が被写体として狙われているとは考えもしていない姿だ。
多分、被写体として以外にも狙われているなんてこれっぽっちも考えていない。
その気になればいつでも事を起こせる。
そう、岡崎は霖之助に告げているらしい。

ふつふつと怒りがたぎり始めた。
岡崎の手段にではなく、自分の手の届かないところに大切なものをほっぽり出していた事に。

何が彼女の夫だ。何が彼女を守ってやるだ。
寝言を言うな。お前は自分の妻が敵意に晒されているときに何をしていた。

自分の中に存在する否定者に謗られながらも、
霖之助は端末に次々表示される慧音の写真からは決して目を逸らさなかった。

夕暮れ時のアーケード街を歩く慧音。
部屋にやってきたマエリベリーを迎え入れる慧音。
缶ビールを補充しに、一人コンビニへと出向く慧音。

そこまで見せつけられて、ついに霖之助は決心がついた。

「分かった、君の言う仕事の話をしようじゃないか」

「ちょっと! 何言ってるの霖之助さん!」

霖之助を盾にして、蓮子には見えないように岡崎が写真を表示していたので、
彼女にはどうして霖之助が急に気を変えたのか理解できなかった。
いや、この場合しない方がいいだろう。
岡崎が取った手段は間接的だが、訴えはとてもシンプルで直接的だ。

騒ぐな、私の指示に従え。

その命令が左胸にナイフや銃口をあてがわれた様に、重みを持っている。

「先に帰って二人に僕は遅くなると伝えてくれ」

「嫌! 四人で食べないと美味しくないでしょ!」

「蓮子、できるね?」

少しだけ振り向いて、彼女の顔を見つめてそう言った。
慧音を巻き込んでしまったのだ。これ以上誰かを巻き込みたくない。
真っ当な外の世界の住人である蓮子だったら尚の事だ。

「霖之助さん……分かったわよ、伝えておくわ」

「よし、いい子だ」

「でも伝えるだけなら電話でも出来るわ。
 だから、私はお店で霖之助さんが帰るまで待つ」

「蓮子」

意地っ張りな蓮子らしい行動だが、今はそんな意地を張ってほしくない。
今この瞬間、全てを明かしてしまいたい衝動に駆られたが、寸前で自制心が止めた。
ここで熱くなって暴発してしまえば、それこそ岡崎の思うツボだ。

「いいじゃないの、霖之助。待ってるって本人が言うんだから。
 今時こんな甲斐甲斐しいアルバイト居ないわよぉ?」

いつもの口調でしれっと言った岡崎に、霖之助が確かな敵意を持って見つめる。
よくも軽々しく口が聞けたものだ。
侮蔑と怒りが篭った視線をひらりと交わして、岡崎は身を翻すとまっすぐドアの方まで歩いた。

「近くの駐車場に車を止めてあるから、そこまで歩きましょ。
 あんまり長く駐車していると、駐車代上乗せされちゃうわ」

そういって店の外へと誘う岡崎に、霖之助は無言で追従した。
店を出ると体の芯まで冷やす冬の枯れた風が吹いて、
岡崎が「寒いわねー缶コーヒーでも買って行きましょうか?」なんて言ったが、
それを無視してただ歩くようにだけ促す。

「つれないわね。もう私はアナタの敵なのかしら」

「人質を取るのが敵対行為以外の何になるのか教えてほしいね」

「人質というのは一見、卑劣で最悪の行為に見えるかもしれないけど、
 実はもっとも優しい攻撃的交渉手段なのよ。
 上手く行けば誰も死なない、傷つかない」

「人質による意思の決定が誰も傷つけないって言うのか、君は」

「勘違いしないで、霖之助。
 この世に、真に自分の意志で物事を決定している人間なんて稀よ。
 誰もが周囲の意見、自らの状況、上位の立場から掛けられる圧力、
 場合によってはサイレント・マジョリティによって決定を迫られている。
 人質による交渉なんてそれを簡略的にしただけじゃない」

「君には代わりのない大切なものを知らないからそんな事が言えるんだ」

「そうよ」

あまりにもすっぱりと言い切った岡崎に、思わず霖之助の歩みが止まった。
本来ならばこれは揺さぶりのはずだった。
だが、その揺さぶりに岡崎は少しも揺れる事なく、
むしろその言葉を待っていたと言わんばかりの毅然とした態度で答えた。

「代わりなんてものは全てにおいて存在する。それは世界さえもね」

「何を言っている、岡崎夢美」

狂っているのか。世界に代わりがあるなど、狂人の吐く狂言だ。
数十億単位で人間が暮らすこの世界に代わりなど、ありはしない。
誰だってそれぐらい分かる。
哲学でも科学でもなんでもない、当たり前の事として全ての人々が理解できるはずだ。

例え自分がこの世界の住人でなくとも、そう思える。
ここに生きている人々は冷たく、他者に無感想ではあるが、ちゃんと血の通った人間だと思える。

「岡崎夢美。君はどうしようもない狂人なのか」

「狂っていないという言葉は狂人の言葉よ。
 例えこの世界が無くなっても、
 同じ人物が同じ様に生きている世界が無数に存在しているのならば、
 それはこの世界の代わりにならないかしら?」

「君は……」

「理解できて? 森近霖之助。
 定義としてはアナタも私も同じ存在よ。 
 ただ少し、渡った数が違うだけ」

気が付いたら岡崎は霖之助の目の前に佇んでいた。
少し背伸びをしていて、顔の位置は突っ立ている霖之助と同じぐらいの高さにあった。

二人を頭上から照らす街頭の明かりがまるで、舞台の上で浴びせられるスポットライトに思える。

「詳しい話は車の中でしましょう。誰かに聞かれたらそれこそ狂人の会話だと思われるわ」

クスクスと挑発的に岡崎が笑う。
酷い舞台だ。喜劇でも悲劇でもない。茶番劇と形容するには、余りにも自分に踏み込み過ぎた内容だ。
そして、この科学に支配された世界で、二人の存在は拒絶される程ファンタジーな代物なのだろう。

きっと別の世界から来たなんて言っても、誰も信じはしないのだから。

Comment

この岡崎教授はデスノートのキラにみえてくる……

策士すぎだろ、岡崎教授

幻想郷に帰るときに岡崎教授が無理矢理来ると予想
  • by:すかいはい
  •  | 2011/04/25/01:14:49
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