十四朗亭の出納帳

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十四朗

Author:十四朗
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四畳半慧霖-バイト編2-

やった!久々に慧音の登場だー!
メインヒロインキタ!
およそ四話ぶりの慧音復帰!
とはいえ出番自体はあんまりなかったり。

最近だと岡崎教授が可愛くて好きです。
ストロベリー岡崎。


『四畳半慧霖-アルバイト編2-』


霖之助、蓮子、岡崎、慧音







「霖之助さん」

「何だい蓮子?」

「私、とんでもない事に気付いてしまったの」

「ほほう」

いかにも重大そうに話を切り出した蓮子に、
霖之助は店の商品を整理する手を止めて、彼女の方を見た。

よっぽどやる事がないのか、彼女は大抵の時間をカウンターで過ごしている。
当然、店主である霖之助も普段はカウンターに居るのが常なので、
自然と二人は隣り合って店にお客が来るのを待つのが、ここ最近の香霖堂の風景だ。

「それはね……いらっしゃいませって早口で言うとエアロスミスに聞こえるのよ!」

「……ラジオカセットコーナーはもう少し規模を広げてもいいな。
 CDも聴けるラジカセは中々人気がある」

どうせくだらない事だろうと決め込んでいた霖之助は、すぐに視線を棚に戻して、
ラジオカセットコーナーの整理を再開した。

ラジオもCDもカセットも聴ける便利な道具、
ラジオカセットレコーダーはラジオもCDもカセットも時代遅れになると共に、人々の生活から姿を消した。
だがこうして一世紀以上を経た今、骨董品として人々に求められるようになった。

幻想郷の科学水準から見れば最新機器過ぎて満足に使用する事も叶わないというのに、
こちらの世界では贅沢な事だ。

とはいえ、そういう事情があるから、
霖之助はこちらの世界でも幻想郷に居た頃と同じ様な商品を扱う事ができる。

この世界は幻想郷よりも圧倒的に人口が多いので、
態々不便な古道具を買おうとする酔狂な連中に不足はなかった。

「ちょっとぉ! 無視すんな!」

まったく相手にされない事に業を煮やしたアルバイトの宇佐見蓮子が、
立ち上がって怒声と共にビシッと霖之助を指さす。

いい加減、他人に指を指すのは止めろと言いたくなるが、
これは怒った蓮子の癖みたいなもので、言ったところで直らないだろう。

無意識に取る行動を簡単に抑制出来るのなら、人間はもっと我慢強いはずだ。

「はぁ、分かったよ構えばいいんだろう、構えば」

「すっごい馬鹿にされた感じなんだけど」

腕を組んで膨れっ面の蓮子に構わず霖之助は続ける。

「君の言う通り、いらっしゃいませがエアロスミスに聞こえるとして、
 そこに何の意味があるんだい?
 ただ単にやる気のない店員がいらっしゃいませを早口で言っただけじゃないか。
 というか、そもそもエアロスミスなんて大昔のバンド、知ってる人の方が少ないよ。
 あぁ、でもこの店に訪れるような人物なら知っている者も多いか」

「霖之助さんが知ってるじゃないの。それに私も知ってるわよ。
 まぁ、メリーが聴いてたのを少し聴かせてもらっただけだけど」

えへんと薄い胸を誇らしげに張られても霖之助は対処に困る。
蓮子をアルバイトとして雇ってからというもの、
退屈することはなくなったが、毎日疲れる程騒がしい気もする。

「エアロスミス~」

「……君、最初からエアロスミスと言っただろう?」

「言ってない。早口でいらっしゃいませって言った」

「言った」

「言ってない」

「言った」

「言ってない」

くだらない口論をしていた蓮子と霖之助の間に、ドアベルの音が割って入った。
まだ霖之助に噛み付こうとしている蓮子をほっぽり出し、霖之助はやって来たお客の方へ顔を向けた。

「いらっしゃいま……」

「エアロスミス~」

まだ言うか、口には出さず目線だけで訴えかけたが、蓮子自身は涼しい顔だった。

「あら、宇佐見。アナタどうしてこのお店に居るの?」

「って、教授!? 出たな教授!」

「出たなってアナタ……人を化物みたいに。
 あ、私が魔女っぽいって事かしら」

「魔性の女だから魔女で合ってると思います。
 ちなみに私が香霖堂に居るのは、ここでバイトしているからですよ」

店に訪れたのは紅い大学教授、岡崎夢美だった。
いつも通りの上下が紅い格好でドアを潜ると、カウンターの近くで立ち止まった。
相変わらず、括れた腰に手を当てて優雅に立ち振る舞う姿がよく似合う。

「いらっしゃい岡崎」

「ハロー香霖堂さん。来ちゃった」

「あーなんかその言い方エロティック!
 それに何でいつの間にか二人とも敬語じゃないじゃないの!
 何でそんなにフランクなの!」

「おとなのじじょー」

気怠そうに岡崎が答えた。

「それよりも宇佐見。アナタどうしてそんな格好してるの?」

「うぇ? あぁ、これですか。制服です、一応」

フリルの付いた純白のエプロンの裾を摘んで、
蓮子がくるりと一回転して見せる。
スレンダーで無駄な肉付きのない蓮子がそんな動きをすると、
本当に軽やかに見えた。

「馬子にも衣装ね」

「うわ、すっごい馬鹿にされた気がする」

「気がするじゃなくて、馬鹿にされたんだよ蓮子」

真顔でそんな事を言う蓮子に、霖之助は冷ややかな訂正を加える。
彼女は頭が悪い訳でも、頭の回転が鈍い訳でもないのに、時々酷く危うげだ。
そこが多分、宇佐見蓮子の個性なのだろう。

比較的しっかりしているマエリベリーと一緒にいて丁度いい具合になる。

「それで、今日は何か入用で?」

「そうそう、CDでも買いに来たのよ。
 アンティークナイフはこの前買ったばかりだから、
 連続でナイフが欲しいと言っても、いいもの入ってないでしょ?」

「確かにね。まだ君の好きそうなナイフは仕入れてない。どんなCDがいいんだい?」

「そうねークラッシックやジャズもいいけど、今日はロックがいいわ。
 宇佐見の言ってたエアロスミスとか」

「教授もエアロスミス知ってるんですね」

「えぇ、一応データで曲も持っているわよ」

「それなのに買うんですか?」

「現物で聴くのが嗜みよ。 
 ドライブする時はCDでしか音楽を流さない主義なの」

「へぇー風情があっていいですね」

この世界では、どんなに古い音楽でも自宅に居ながら簡単にデータファイルだけを入手する事が出来る。
最新の音楽なんかは電子マネーを支払って購入しなくてはいけないが、
古い音楽、岡崎の探しているエアロスミスなんかは、著作権の期限がとっくの昔に切れているので、
実質無料で入手できる。

それでもCD収集等という趣味が存在するのは、
収集癖というものが思った以上に人の精神に根付いているからなのかもしれない。

「うーん、やっぱりいいわね」

霖之助の事をまじまじと見つめて、岡崎は納得した様に呟いた。
勝手に自分一人で納得されても、霖之助には何の事だかさっぱり分からない。

「ハンサムな男は好きよ」

「はぁぁぁぁ!? この紅生姜女! 今な、な、な、何て言ったの!?」

うっとりしたような岡崎の言葉に、蓮子の怒声が響いた。
何故岡崎がうっとりしているのかは分からないし、どうしてそこで蓮子が怒るのかも分からない。
女三人寄れば姦しいというが、これでは三人寄らなくても十分姦しい。

少なくとも自分の妻はもっと厳かだ。
溜息をつきながらそんな事を霖之助は思った。

「ハンサムな男は好きよ、と言ったのよ。
 それよりも何? 教授に対して紅生姜女ってどういう意味かしら?」

「あ、すいません……つい口が先に出てしまって」

「紅生姜とはとことん失礼な名称ね。
 自分だってティラミスみたいなカラーリングしてるくせに」

「何をぉ! 私が駅前のケーキ屋でほろ苦大人のスイーツを謳いつつも、
 その地味さと微妙に苦すぎる味のチョイスで、
 いつも売れ残っているティラミスみたいだって、そう言いたいんですか教授は!」

「言ってないと思うよ蓮子」

霖之助としては、言い争いなら別の場所でやって欲しいし、
そもそも蓮子と岡崎が互いを罵倒する例えがどうもしっくりこない。
紅生姜もティラミスも、そんなに悪い物ではないはずだ。

「それに駄目ですよ、霖之助さんには奥さんがいるもの」

「あら、結婚してたの? 私にはそんな事これっぽっちも教えてくれなかったじゃない。
 酷い、私を騙してたなんて」

「機会がなかっただけだ」

大げさに落ち込んだふりをする岡崎は、まったくと言っていい程堪えていない。
常に不規則に変化して、岡崎夢美という人物の形を捉えさせてくれないその態度が、霖之助はどうも苦手だった。

「まぁ、奥さんがいるなんて些細な事よねー
 今は分かち合う時代ですもの」

「だから駄目だって言ってるじゃないですか!」

「なんでさっきから宇佐見が反論するの?」

「うぇ!? そ、それはぁ……奥さんがいる男性から略奪愛なんて……ハレンチです」

「私ハレンチ好きよ。今度一緒にポルノ映画見に行く?
 面白いのよーアレ。SMモノが特に傑作でね」

「行きません! 私までエッチな女になっちゃうじゃないですか!」

「男だって女だってエロイわよ! ナメてるの?」

霖之助には最初の議題が思い出せない。
思い出す気にもなれず、ただ淡々とお茶とお茶菓子の準備を進めた。

あの日、蓮子とマエリベリーの大学まで岡崎に商品を届けに行った日。
岡崎は霖之助に意味深な質問をした。
霖之助から何らかの情報を引き出そうという目論見が有ったとも受け取れる質問。

それを気味悪く感じた霖之助は蓮子を引き連れて、
足早に大学を去って以降、岡崎とは会っていなかった。
時期にして二週間程度と言ったところか。

一度不気味だと思えば、中々自分の方からその相手に動けなくなる。
マエリベリーの時もそうであったし。
岡崎に至っては、二度と会いたくないと思った程だ。

改めて考えてみると少々臆病過ぎる。
見知らぬ土地で警戒するのは悪い事ではないかもしれないが、
こうも警戒してばかりでは人々全てが怪しくなってしまう。

人が人を疑うのは簡単だが、人が人を信じるのは本当に難しい。

「お茶がはいったよ」

「あら、ありがとう香霖堂さん。
 あ、親しみを込めて霖之助でいい?」

「駄目です!」

「だから宇佐見はいちいち割って入らないでちょうだい。
 恋人でもない癖になんなのよもう」

「こ、恋人ぉ!? 恋人違うわ! 
 私はこんな若白髪朴念仁無表情根暗眼鏡美男子を恋人にするぐらいなら、セイウチを恋人にするわ!」

「ん? 蓮子、最後の方で褒めなかったか?」

「うるさい! 褒めてないわよ、働け穀潰し!」

働いていないのは君の方だろう、と返したかったが、
火に油を注ぐ事態になりそうなので止めた。
霖之助は湯呑みの茶を半分程啜り、CDコーナーからエアロスミスのCDを取り出した。

エアロスミスはこの時代においても、比較的人気のあるバンドで、
洋盤CDの愛好家ならばこぞって買ってゆく。
出回っていた数が多い事もあり、CDをコレクションし始めるにはうってつけのバンドと言えるだろう。

とはいえ、香霖堂は中古CDショップではない。
あくまでも古道具屋だ。
CDばかりに力が入っている訳でもないし、
そういった趣味のお客達はCD屋でCDを買う。

棚に並べられた年代も、歌手も、ジャンルもバラバラなCD達の中から、
『I Don't Want To Miss A Thing』と書かれたCDを取り出した。
他にも見渡したが、このCD以外にエアロスミスのCDは見当たらなかった。

「岡崎、お生憎様だが一枚しか見つからなかったよ。
 I Don't Want To Miss A Thingという曲だが、これでいいかい?」

「えぇ、いいわよ。私この曲好きだもの。
 どんなに甘い夢を見たとしても、君が恋しいだなんて素敵よね」

「ぼらぼらぼらーさぁさぁ、CD買ったらちゃっちゃと飛んでいっちゃってくださいよー」

しっしと蓮子が手を払う。
よっぽど岡崎と一緒に居たくないのだろう。
よくこんな感情を抱いたまま、大学の講義が受けられるものだ。

「いいじゃないの宇佐見。少しぐらいゆっくりしていったって。
 あ、霖之助さんお茶のお代わり」

「私がいれます」

「霖之助さん、お代わり」

「私がいれるって言ってるでしょぉー! 話を聞けぇ! この紅生姜!」

「また言った! 宇佐見アンタよっぽど単位落としたいようね!
 私を紅生姜と呼んだ輩は例外なく単位をブチ落としているのよ」

「過去にも呼ばれた事があるのか……」

ぼそっと呟いた霖之助の言葉は二人には届かずに消えた。

「この年増紅生姜!」

「売れ残りティラミス!」

are2.jpg

カウンターを挟んで加熱する二人の子供っぽい討論に愛想を尽かして、
自分の右手に巻かれた腕時計へと眼をやる。時刻は十二時前。

今日は慧音が非番の日なのでそろそろ昼食を持ってきてくれる頃合いだ。
霖之助はいつも弁当でいいと言っているのだが、
慧音は冷たい弁当よりも作りたての温かい料理を店まで持って行きたいと言って聞かない。

霖之助としても慧音の温かい料理は嬉しい。
勿論それはとても手間の掛かる事なので、
彼女に手間を掛けさせるのは心苦しいと、蓮子に相談したところ、
砂糖を吐いて死ね、と罵倒された。

カラコロとドアベルが店内に鳴り響く。
待ちかねた来訪者がやって来た音だ。
霖之助は視線を上げて、店の入口へ向けた。

「霖之助、食事を持ってきたぞ」

「あぁ、慧音。ありがとう。
 すまない、休みの日も働かせてしまって」

「いいんだよ、霖之助。私が好きでやっていることだ」

すぐさま霖之助は慧音の元へ駆け寄り、手に持った大きな重箱を受け取った。
それから軽く髪を撫でて、お礼を言う。
どんなに親しくとも、礼節を欠いてしまってはいい関係とは言えない。
二人は夫婦間でもしっかりと挨拶とお礼は欠かさずにしている。

「マエリベリーも来るらしい。
 食後のデザートを買ってから行くと言っていたから、
 先に食事を初めてくれて結構だそうだ。
 なんでも美味しいシュークリームを買って来てくれるらしいぞ」

「それは楽しみだ。君はシュークリームが好きだからね」

「あぁ、一緒に食べような」

涼しい風を少しでも呼び込む為に開け放たれた窓から、
夏のそよ風がふわりと舞い込んでくる。
慧音の空色をした蒼い髪がふわりと揺れて、いつも使っているシャンプーの匂いがした。

「ん、お客さん?」

慧音が岡崎に気付いた。
先程まで蓮子と言い争っていた岡崎は、いつの間にか慧音と霖之助の方を見つめている。

「いらっしゃいませ、主人がお世話になっています。
 私、霖之助の妻で慧音と申します」

「あぁ、いえ。香霖堂さんには私もお世話になっています。
 大学の近くにいいお店が出来て大助かりですよ。
 私、古い道具とか集めるのが好きでして」

「大学? あの、学生さんですか」

「いえ、教授です。主に物理学なんかを教えています」

「まぁ、お若そうなのに凄いですね。
 ひょっとして蓮子の通っている大学ですか」

「はい、そうです」

急に猫を被り始めた岡崎と、そうとは知らずに笑顔で世間話を勧める慧音の対比がアンバランスだ。
思えば霖之助と岡崎が初めて出会った時も、岡崎は猫を被っていた。
あの時は、もっと慎み深く、落ち着いた人物だと思っていた自分が恥ずかしい。

それにしても、と霖之助は思う。
慧音の人見知りも大分克服されてきたようだ。
こちらに来てから消極的だった人付き合いも、
蓮子やマエリベリーといった愉快な面々と接する内に、積極的になったのだろう。

いつしか霖之助の胸の内には慧音に対する後ろめたさの様な感情は消えていた。
今はただ、一緒に来て良かったと思える。

「ふぅむ、お昼邪魔しちゃ悪いから帰るわね霖之助」

「食べていかないのかい? 一人増えたぐらいどうってことないよ?」

「言ったでしょ、邪魔しちゃ悪いって。
 奥さん大切にしなさいな。何一つ見逃さないようにね」

今度は蓮子と話を始めた慧音を横目に、
岡崎はすたすたと霖之助が居るドアの前までやって来てそう言うと、
ドアを開けて出て行った。

何かを理解していたような表情だったが、真意までは読み取れない。
その後、岡崎と入れ違いになる形で、
マエリベリーがシュークリームの箱を三つ抱えてやって来たが、
途中で岡崎とはすれ違わなかったらしい。

おそらくその辺の店にでも寄り道したのだろう。

いつもの四人が揃って、カウンターに重箱の料理が広げられた。
玉子焼き、おにぎり、アスパラのベーコン巻き、プチトマト、きんぴらごぼう。
その他にも色とりどりの料理がたくさん詰められている。

早速迷い箸を始めた蓮子をマエリベリーが咎めて、霖之助達は笑いあった。
この時、去り際に岡崎の言った「何一つ見逃さないように」という言葉が脳裏を掠めたが、
結局それの意味するところまでは分からなかった。

Comment

慧音先生を久しぶりに見たような気がする
にしても、岡崎教授はおっかない。


あと、【動物みたいに恋したい】が届きましたー。
厚くてびっくりしました。
  • by:すかいはい
  •  | 2011/03/31/00:31:54
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