十四朗亭の出納帳

アニメの感想、ゲームホビーの感想など 作品のジャンルにこだわらず書いていく予定です,SSとか書いてます

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十四朗

Author:十四朗
(じゅうしろう)と読みます
ロボとか好き東方も好き
趣味の守備範囲は日々拡大中
東方の霖之助SSが主流です
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不死者と妖怪と半妖が一人ずつ

今回は妹霖。
そういえば初めてです妹霖。

長く生きるからこそ、同じ事を嫌う。
そんでもって、長く生きているから妹紅はマイペース。
だいたいそんな感じ。


『不死者と妖怪と半妖が一人ずつ』


妹紅、ミスティア、霖之助









私、藤原妹紅は死んだ。
竹林で胸元から股下までざっくりと切り裂かれて死んだ。
私を殺した相手は憎い憎い、積年の恨みを五乗してもまだ足りない程憎い相手、蓬莱山輝夜。

私と輝夜の、行われる度にルールと武器が違う殺し合い。
その際に、私は輝夜に嫌味の一つでも言ってやろうと思って近づいた。
口を開いて、大きく深呼吸、次の瞬間には一晩寝ずに考えたとびっきりの皮肉が飛び出すはずだったのに。
なのにアイツはそれを聞きもしないで、私の胸に隠し持っていた短刀を突き立てると、そのまま力任せに切り裂いた。

私に言わせてみれば、そんなのは論外。
不意打ちは今まで輝夜が百二十回。私が百十九回。
計二百三十九回やって、飽きてしまった戦法だ。
不意打が戦いの選択肢に入らなくなったにも関わらず、不意打ちをするんなんて優雅じゃない。

仮にも姫と名乗るなら、それぐらいの配慮はして欲しい。
これで私が輝夜に失望した回数は初めから数えて二千九百八十五回目。
態々切り口が酷くなるように、刃こぼれした短刀を選んで、
刃が骨や肉、内臓に引っ掛かる不快感を与えてくれたのも得点が高い。

とりあえず、今日の私はそんな風にして死んだ。
破れた心臓から血がどくどく溢れて、中途半端に傷つけられた肺のおかげで呼吸は苦しいし、
裂けて内臓が溢れ出たお腹は痛いわで、散々。慣れっこだけど。

私のお腹をでたらめに切り裂いた輝夜は笑いながら永遠亭へ帰って行った。
忌々しいけど、その日は輝夜が勝者だから仕方が無い。

切り裂かれてから大体四半刻後、ようやく私は死ねた。
蓬莱人だから本当の意味で死んでないけど。

その日はたまたま上手くいかなくて、蘇る事なく死んじゃいました。
なんて事はなくて、結局その後はいつも通り蘇る。いっそ死ねれば楽なのに。

蘇った後は、痛いのを我慢してとりあえずこぼれ出た内臓をお腹の中に戻して、
炎で傷口を焼いて無理やり接合した。
炎で傷を接合するのは気を失うぐらい痛いけど、死なないだけましだからいい。
傷口が塞がってもまだしばらくは歩けそうになかったから、
後はそのまま寝転んで歩けるようになるまで待った。

そうしたら段々痛みが引いてきたので、
「輝夜の奴。死なないけどいつか殺してやる」とお決まりの文句と共に、
私は立ち上がってとぼとぼと自宅に帰った。

帰った後は上も下も全部脱いで素っ裸になって畳の上に寝転んだ。
寝てばかりだけど、酷い殺され方をした時は寝るのが一番だと私は分かっているから、
ただひたすらそうしていた。

体の方に目をやると、胸から股先まで、無理やり炎で接合された傷は痛々しく横たわっているのが分かった。
これは少々酷過ぎる。最近酷い死に方をしていなかったから、これには参った。

弾幕ごっこは死に対する感覚が鈍って仕方がない。
時々跡形も残らなくなるけど、中途半端に死ぬより、
跡形も無い方が割と綺麗なものだから、死んでいる気がしない。

どれくらいの間そうしていただろうか。
私はいつの間にか眠っていて、目を覚ました時には明け方になっていた。
胸に手をやって、昨日の傷をなぞるように指を這わせる。

何も無い。火傷の感触も、汚く切り裂かれた傷口の感触も。
眼をやってみると、胸からお腹に掛けての部位には何も残っていなかった。
生きている。癪に障るが私は生きている。

上から軽く上着を羽織り、自棄酒でもしようと思って、
家の食料庫を覗いたけど、運悪く酒だけがなかった。
不運だ。都合がよすぎるぐらい不運だ。
長く生きていればこんな事態に百回は遭遇するけど、
大事なのはそれを怒ったり、悲しんだりせずに、他の手立てを考え実行する事だ。
それはある種才能みたいなものだが、よっぽど要領が悪くない限り嫌でも覚える。

仕方なく私は下着と淡い水色をした浴衣を着用して家を出た。
夜雀の屋台ならこの時間でもなんとかやっているだろう。
気が立っていた私はその日、気に入らない竹を竹炭に変えながら、夜雀の屋台へと向かった。

朝日の山吹色が世界を染め上げる中、忘れられた様に佇む夜雀の屋台は、
竹林のやや開けた場所に鎮座していた。
移動式の屋台に、小さな椅子が四つ。

決して私のお尻が特に大きい訳ではないが、
この店を切り盛りする夜雀のサイズで作られた椅子は、
どう頑張って座ろうにもお尻がはみ出してしまう。
客商売をするのなら客に合わせた椅子作りぐらい心得て欲しい。

提灯の光に照らされた屋台の客席には人が一人座っていいる。
暖簾に遮られて全貌は分からなかったが、
どこかで見た事のある青い服を着ていた。

私は暖簾をくぐり、席を一つ分空けて、小さな椅子に腰掛けた。

「おはよう。ローレライに森近」

腰掛けて、私は一番最初に挨拶をした。
相手は空席を一つ挟んだ右隣に居る森近霖之助と、この店の女将ミスティア・ローレライ。
すぐにローレライの透き通った声での挨拶と、森近の素っ気ないくすんだ声での挨拶が返ってきた。

「まだ注文とか出来る?」

「はい、出来ますよ藤原さん。
 珍しいですね、朝方にいらっしゃるなんて」

「でも、今までにも無かったことじゃない。
 多分これからも、この店がある限りはこんな時間帯に来ることがあるかも。
 冷酒と蒲焼お願い」

注文を受けたミスティアは、すぐに出せる冷酒とサービスで胡瓜の浅漬けを提供して、
新たに八目鰻を焼き始めた。
胡瓜の浅漬けは少し塩気が強かったが、酒の肴にするには丁度いい塩加減だ。
食べなくても死にはしないけど、物を食べるという事はいい娯楽になる。

死ねない体の私にとって、生命活動の維持に必要な行為は全て娯楽だ。

「お客は僕で最後だと思ってたが、君が来るとはね」

私が一口だけ口をつけたコップを下ろしたところで、
隣りに座った森近が話しかけてきた。

森近はこの竹林を抜けて、
もっとずっと歩いた場所にある魔法の森で古道具屋を営んでいる。
ボサボサの白味が強い銀髪に、明かりを反射すると怪しく光る金の目。
服装はいつも大陸系の青と黒が基調となった服を着ていて、痩せた背の高い人物だ。

ついこの間、確か十五年程前に初めてこの屋台で会って以降、顔を合わせては話をする程度の仲だ。
親しいといえば親しいが、私と森近共通の友人である、
上白沢慧音が両者を同時に食事へと誘った時以外に、私達が出会う事はまず無い。

私は森近の方を見ずに、ただ八目鰻が焼けてゆく様子を見つめ、香りを楽しみながら答える。

「今日は死んじゃったのよ。輝夜に殺されちゃった。
 だからこうして憂さ晴らしをする為に飲みに来た。
 いつも通りと言いたくないけど、いつも通りよ。
 私としては、なんでアンタがこんな時間まで飲んでるのか気になるけどね」

「僕はついさっきまでミニ八卦炉の整備をしてた。
 それが終わって、少し一人で美味しく酒でも飲みたかったからここに居る。
 不満かい?」

「いやまったく。そうよね、そんな理由よね。
 アンタはいつも道具の整備を終えたらここに来るわよね。分かってたわ」

「なら何で聞く?」

「この前はそうだったから、今回もそうだとは限らない。
 ひょっとしたら今日は思いを寄せた相手に振られて、
 それで今こうして自棄酒を呷っているのかも」

「不正解」

「だと思った。けど、万に一つぐらいはその可能性があるかもしれない。
 生きているという事は可能性に弄ばれるという事よ。
 とびっきり後ろ向きな意味で」

コップに半分以上残った冷酒を一気に呷る。
そして私は酒臭い息を一気に吐き出した。
急速にアルコールが体に回り、少しクラっとした。
思えば先程、胡瓜の浅漬を口にするまで何も食べていなかった。

空きっ腹にアルコールは余り褒められた行為とは言えないが、
悪酔いして気持ち悪くなるだけで死にはしない。そう、死なない。

「今日と明日がまったく同じだったら、きっと世界中の人が首を括る。
 大きな変化を望まない連中は、不変のものも望まない。
 ローレライ、冷酒お代わり」

実のところ、変化について私が語るのは可笑しな話だと思う。
だから私は変化について語るのではなく、変化について騙っている。

「けれど、僕達はいつもと同じ理由で出会った。
 多分このままだといつもと同じ様に別れるだろう。
 君にとってそれは、いつもと違う出来事だと?」

「違うわね。ほんの少しでも違えば、物事は違う。
 鍵穴には、その鍵穴に合わせて作られた鍵しか入らないように、
 今という鍵は今という鍵穴にしか入らない」

「千年生きて、そう考えるようになったのかい?」

「そうよ。長生きの秘訣は毎日を少しでも違うものにする事と、
 気の長い賭けをする事。
 そうすれば長生きしてても退屈じゃなくなるわ。
 まぁ、これは健康法じゃなくてただの生き方なんだけど。不死者限定の」

「意味ないじゃないか」

「ひょっとしたら森近もいつか不死者になるかもしれない。
 可能性だけなら、僅かばかりある」

「嫌だな、不老不死は。
 よし、僕がもしもそうなったら君に教わろう」

「何を?」

「不老不死の死に方を」

「簡単よ、死ねばいいの」

「死なないから不死なんだろう」

「死んで、死んで、死にまくるの。
 幾百、幾万、幾億回死んで。ただひたすらに、生命活動を止めさせ続けるの。
 どんな精密な機械でも、いつかは不具合が起こる。
 その起こるかもしれない不具合に賭けて、死に続ける。
 自らネジを巻く人は永久機関の生きた見本、死なない人間なら尚更ね」

「その方法は試してるのかい?」

「勿論。今日も輝夜に殺された。けど、私の体は元通り。
 胸から股までばっさり裂けたのに元通り。残念な事に死ねなかった」

「残念だね」

「とっても。私はこれを千年続けた。でも死ねない。
 ひょっとしたら明日死んだら、そのまま蘇らないかもしれないし、
 千年経ってもまだ死ねないかもしれない。
 とりあえず時間だけはあるから、死に続けるの。
 幸い付き合ってくれる嫌な奴もいるし」

「いいね、全力で付き合ってくれる仲間というのは。
 でも妹紅、君のいうそれは答えではないと思うよ。
 答えを証明する為の過程でしかない」

「そうね。あ、でももし森近が蓬莱人になったら、一緒に死に続けてあげるわよ?
 私、同じ境遇の人間は優しいから」

「ありがとう。覚えておくよ。
 けど、君は同じ境遇の人物以外にも優しいだろ。
 優しくない人物は、竹林で迷った人を案内したりしないはずだ」

「私が優しい女だったら、世界はもっと優しいわよ」

丁度、八目鰻の蒲焼が焼けて、私の前に置かれた。
炭火で炙られた八目鰻は、まだ表面に塗られたタレの部分がまだぶすぶすと燻っている。
立ち上るタレの甘い香りが食欲をそそった。

私はローレライの屋台に来ると、毎回決まってこれが食べたくなる。
冗談やお世辞抜きで彼女の作る蒲焼は美味しい。

ただ、私はこの蒲焼を食べる時と食べない時がある。
毎回来る度に食べていては繰り返しになってしまう。
単純な注文の反復、変わらない味、食後の同じ感想。

それを嫌って、私はこの店で時々八目鰻を食べない時がある。
だからローレライは私に「いつものメニューですね」なんて言わないし、
私もそれを求めていない。

私が欲しいのは毎回違うものだから。

「さて、じゃあ僕はそろそろ帰ろうかな」

空のコップを、カウンターに置いて霖之助がそう言った。

「あれ、もう帰っちゃうの?」

「朝一で魔理沙がミニ八卦炉を取りに来るからね。
 とりあえず帰って、酔いでも覚ましながら過ごすよ」

「私としてはもう少しお話ししていたいなぁ。駄目?」

「駄目じゃないけど」

「じゃあ座って飲み直そうよ。半分ぐらいは奢るから」

「駄目じゃないけど、ミニ八卦炉を僕が手渡ししないと魔理沙が怒る」

「私の機嫌と可愛い妹分の機嫌を天秤に掛けたら、妹分の方が重いか」

肩を竦めて、私は溜息をついた。
この男はストイックに見えて冗談みたいに甘い。
そこが良い所でもあるし、良くない所でもある。

「ねぇ、森近。私達って一緒に帰った事あったかしら?」

「無かったと思うよ」

「そうよね、無かったわよね」

「だって君の家と僕の店は方向が違うじゃないか」

「そうね。じゃあさ森近。アンタ、私の家に泊まった事は?」

「それも無いよ。一緒に帰った事がないんだから当然だろう」

「ふーん、そうかまだ森近とそういう事をしてなかったわね」

呆れ顔の森近を差し置いて、私は一人で頷く。
そうだ。まだ森近と一緒に帰宅した事は無かった。
これは意外な盲点だ。こんな簡単にいつもと違う事を見つけられるだなんて。

「森近、今日は一緒に帰らない? というか家に泊まっていかない?」

「なんだって?」

「私と一緒に帰って、私の家に泊まって行きなさいな。
 だって私達、お泊りした事ないでしょ」

「いや、どこかおかしくないかい?
 なんとういうか、突拍子もない提案だよ、それは」

「だって、今までやった事が無いのなら、やってみたいじゃない。
 お泊りは嫌?」

「朝一で用事があるからね。
 悪いけど、また今度にしてくれ」

「あっそ、あくまでその意見を通すのね。
 じゃあいいわ、早く帰りなさいな。でもまぁ、このお誘いは考えておいてね」

「機会があったらね」

それだけ言うと、霖之助はお代を置いて、
私の家とは反対の方向へ歩いて行き、最後には見えなくなった。
いつもと違う事を話していたのに、結局終わりがいつも通りというのは癪だが、まぁ仕方がない事だ。
私が楽しいからといって、他人を無理やり付きあわせていい理由なんてどこにもない。

「振られちゃったわ、ローレライ」

「口説き文句が余りお上手ではないんですね」

「それはまぁ、いつもと違う事だからよ。
 さて、私もお酒飲んで八目鰻食べ終わったら帰ろう。
 帰って一人で寝よう。今日は枕をどこに向けて寝ようかしら。
 北がいいかな。死なないけど死人みたいでユーモラス」

「ブラックジョークですか? 藤原さん」

「そう、ブラックジョーク。
 死ぬ死なないを私が口にするだけでブラックジョークよ」

カラカラと脳天気に私が笑って、クスクスとローレライが上品に笑った。

登り始めた太陽が眩しい。
青い空が誇らしげに広がり、縮れた雲が流れる様子を見て、
今日は死ぬにはいい日だと思った。死ねないけど。

私は日々、昨日とは違う今日を過ごそうと努力している。
二日連続同じ物は食べない、同じ衣服を続けて着用しない、
リボンの色はランダムに変える、散歩のコースはてんでバラバラ。

何時になったら死ねるのか分からないから、
私はいつか来て欲しいと願う私の最期の日まで、同じ日々を繰り返さない。
端から見れば同じ様な日々でも、私の中では一つとして同じ物は存在していない。

さて、今日私を殺してくれた輝夜を次はどうやって殺してやろうか。
私と同じ死に方を与えるのは芸がない。
もっと今までにないエキセントリックな死に方をプレゼントしなければ。

まぁ、私も輝夜も死なないけど。

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