十四朗亭の出納帳

アニメの感想、ゲームホビーの感想など 作品のジャンルにこだわらず書いていく予定です,SSとか書いてます

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十四朗

Author:十四朗
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四畳半慧霖-バイト編-

そろそろこのシリーズも四畳半蓮霖に改名素べき。
某とある魔術の禁書目録ぐらい慧音が絡まない……
いやほら、慧霖としての進展はもう行くとこまで行っちゃいましたし。

後は蓮子がひたすら頑張る感じです。
前回が割と真面目だったので、今回はギャグっぽく。
ツンデ蓮子。


『四畳半慧霖-バイト編-』


霖之助、蓮子











「お金がない!」

香霖堂の停滞した空気を追い払ったのは、宇佐見蓮子の一声だった。
ギラギラ輝く夏の太陽をバックに、店に来るなりそう叫ばれては、嫌でも店の空気は変る。
最近になって暑さのせいか短くなったスカートの丈や、
大きく空いた胸元を見る度に「未婚の女性が無闇に肌を見せるんじゃない」と、
注意してやりたくなるが、外の世界ではそんな考えも廃れてしまったので、効果がないだろう。

「急にどうしたんだ蓮子」

とりえずは話を聞く。
騒がしくても彼女は霖之助の大切な友人だ。
その話を聞かない道理はない。

「お金が足りないのよ! 
 家賃、光熱費、水道代、食費、洋服代、帽子代、秘封倶楽部の活動費。
 仕送りだけでギリギリ賄っていたけど、夏休みに入ってからは……」

帽子代と洋服代は蓮子にとって別のカテゴリーらしい。
確かに、毎回会う度、似てはいるが違う種類の帽子を被っている。
身なりも、活動的だが何処かシックで上品なところのある蓮子は、
身につける物にはそれなりに気を使っているのだろう。

「遊びに使うお金が増えたと」

「増えたの。なんでかしら」

「よく思い出してみるんだ蓮子。最近何処で何をしたのかを」

「えっと、みんなでプールに行って、映画も観に行って、
 お祭りにも行って、京都の神社仏閣巡りをして……」

「君はプールでは大きな浮輪を買っていたし、
 映画館では山盛りのポップコーンと、値段が高いだけの映画関連グッズを買っていた。
 お祭りでは新しい浴衣を買った挙句、散々遊びまわり。神社仏閣巡りは週に二度のペース。
 これでお金がなくならない方がどうかしているよ」

「そんなぁ! だってみんな同じ様に遊んだのにどうして霖之助さんと慧音さんは金欠じゃないの?」

「僕と慧音は働いているし、何よりも節度を弁えているから。
 マエリベリーはどうなんだい? 彼女は君程豪遊していないけど、
 食費の方は君の倍ぐらいありそうな気がするが」
 
「メリーは仕送りをたくさん送ってもらってるもの。
 知らなかったと思うけど、メリーは結構いいとこのお嬢さんなのよ。
 お父さんが貿易関係の仕事をしているって話してたから、多分そう。
 実家には行った事ないんだけどね」

「お金を出してもらっているんだから、文句は言えないね」

肩を竦めて霖之助は笑うと、カウンターに設置したドリンククーラーから冷えた麦茶を取り出し、
蓮子に振舞った。
香霖堂へ歩いてやってきた蓮子は汗で全身ぐっしょりと濡れていて、
いつも着ている白のブラウスはピッタリと体に張り付き、
下着や体のラインを露骨に表しているのが危なっかしい。

こうした蓮子の身なりを見る度に、
霖之助は心の底から彼女に危機感や自覚があるのかと確かめたくなる。

とりあえずはハンドタオルでも渡して、
髪の毛ぐらいは拭かせてやるのが人情というものだろう。

「とりあえず汗でも拭いたらどうだい? はい、タオル」

「ん、ありがと。これだけ暑いとやーねー汗臭くなっちゃうじゃない。
 あぁ、ひもじいし汗臭いし……一夏の思い出が沈んでゆく」

帽子を外し、わしゃわしゃと黒髪に付着した汗を拭き取る蓮子。
そんな光景が霖之助には、黒猫が毛に付着した水分を拭っているように見えた。

「アルバイトとかはしないのかい?」

「したいけど、バイトでがっちりとシフトを組まれると、 
 私のプライベートに支障が出るじゃない。
 出たい時に出て、出たくない時に出なくていいようなバイトないかなー」

「ないだろう」

「ないんだけどね」

首にタオルを引っ掛けて、蓮子はしれっと言った。
前を向いているのか、後ろを向いているのか、相変わらず良く分からない。

「あぁーここで雇ってくれたらなー
 知り合いだから気安いし、部屋からも大学からも近いし。
 おまけにそんなに忙しくないという豪華特典付き!」

「失礼だぞ。僕はこれでも多忙な身なんだ。
 上客は大抵、店には訪れないで僕を呼び寄せるんだから。
 その度に僕は掛札を閉店に変えて、出かけなくちゃいけない」

「忙しさを知らない男に家庭を支えられるとは思わないから、それでいいのかもねー
 ホントにもう、慧音さんは幸せものなんだから」

「彼女を幸せにできたつもりはないけど、僕は多分幸せだよ。
 今の生活を変えたくないと思う心があれば、それは幸せの証拠だ」

「暑い中で食べる激辛カレーは美味しいけど、暑い時の熱い惚気話は茹だるだけだわ」

蓮子は自分で麦茶のお代わりをコップにそそぎ、一気に飲み干す。
霖之助も自分のコップを取り出してそこに麦茶をそそいだ。
冷えた褐色の液体が、ガラスのコップを満たし、すぐに水滴がコップの表面に薄く付着した。

「とりあえず、バイトの話だけど。
 別に君を雇ってもいいよ」

「へっ?」

素っ頓狂な声と共に、呆気に取られた様子の蓮子を見て、
自分で言い出したのに何を驚いているのかと霖之助は思った。

「さすがに君の休みたい時に休ませるなんて事は無理かもしれないけど、
 そんなにガッチリと入る必要もないよ。
 週に二、三回ってとこかな」

「いや、そうじゃなくて!
 そんなに簡単に決めちゃっていいの?
 ほら、履歴書とか面接とかやったりしなくても……」

「要らないだろ、今更そんなもの」

「要らないかな」

「要らない、要らない」

「そうよね! うん、そうよ。
 私と霖之助さんの仲なんだから要らないわよね!」

グッと拳を握り、強く蓮子は同意した。
そこまで力をいれる事でもないだろうと、ほんの少し呆れたが、
彼女にとって金欠はそれ程死活問題なのだろう。

確かに、この年頃の若者にとって遊ぶ金がないのは大変かもしれない。

「それで、いつから働かせてくれるの?
 私はいつでもいいけど。なんなら研修も兼ねて今からでも」

「働きたくなさそうな事を言っておいて、やる気満々じゃないか」

「それはぁ……まぁ、霖之助さんのところで働ける訳だし……」

「僕がどうしたんだ?」

「いや別に霖之助さんと働けるのが嬉しいんじゃなくて、
 本当に条件が素敵だから張り切ってるだけだから!
 調子に乗るなこの若白髪眼鏡!」

暑さにのぼせた紅い顔で、蓮子がビシッと霖之助に指を指し、
力強い言葉でそう言った。
霖之助にはまったくもって訳が分からない。

「まぁ、君が今すぐ働きたいと言うのならその意志を優先しよう」

「バッチコイ! 接客ぐらい余裕でこなしてやるわ!」

「とその前に」

霖之助は蓮子の肩に手を置く。
不意に肩を掴まれた蓮子は、ビクリと肩を震わせて、ぎこちなく霖之助の方を向いた。

「とりあえずは店員らしい格好をしてもらおうか」







「むぐぅ……ヒラヒラ」

シミ一つない純白のエプロンには、
これまたシミ一つない純白のフリルが付いており、可愛らしいデザインをしていた。
だが可愛らしい衣服、というものに余り縁のない蓮子にとって、このエプロンは少々恥ずかしい。

ただ、霖之助の言う「店員らしい格好」が、メリーの観ていた昔のアニメに出てくる、
『メイド服』という物でなくて本当によかった。
可愛らしい服装だと思うが、
あのフリフリヒラヒラのファンシーな服装を着て霖之助の前に出る気にはなれない。

もし彼がそういう服が好きだというのなら、ひょっとしたら着てしまうかもしれないが、
彼にそんな趣味はないだろ。
いやあったとしても彼の趣味だし、多少エキセントリックでも、
蓮子は問題なく受け入れるつもりだ。

人の趣味を頭ごなしに否定するのはよくない。
明らかな贔屓目が見え隠れしてはいるが。

「ふむ、やっぱりエプロンを付けた方が店員らしくていいね」

「あのーやっぱり要らないんじゃないかな。
 私あんまりこういうヒラヒラしたの似合わないし……」

「そんな事はないよ。とても似合ってる。
 白が似合う女性は美人の証拠だよ」

「び、美人!? 何ぬかしてるのよこの若白髪駄眼鏡!」

「いや、思っただけの事を言っただけなんだが」

一気に加熱した紅い顔を逸らしつつも、蓮子はビシッと指を差して霖之助を罵倒した。
本当はこんな態度を彼にとってはいけないと分かっているのに、
あんな事を言われるとつい、脊髄反射で言ってしまう。

優しい霖之助は蓮子のそんな態度さえも苦笑して許してくれるので、
それがより一層蓮子を辛くさせる。
いっその事霖之助も蓮子を怒ってくれればいいのに。
そうすれば諦めだってつくし、自然と彼の前から居なくなる事も出来る。

わざとらしくスカートの丈を短くしたり、胸元を開けたり、
汗に濡れて、ピッタリとブラウスが体に吸い付いた姿で香霖堂に来なくても済む。

好かれる努力と嫌われる努力を同時にするというのも変な話だが、
蓮子にはこれぐらいしかいい案が思い浮かばなかった。
現状を引き延ばすだけのどっちつかずな案だというのは分かっている。

だが心地良い現状を楽しむぐらい、許されていい行為ではないだろうか。

「とりあえずは挨拶の練習だ。
 無理をせず、リラックスした状態でいらっしゃいませと言ってみてくれ」

蓮子は空気を深く吸い込む。
それからお腹の方へと力を入れて、

「い、いらっしゃいましゅ!」

「…………」

「ーー~~~ッッ!?」

霖之助は無言でため息をつき、蓮子は声にならない声で呻いた。
居心地の悪い沈黙が二人の間に広がる。
よりにもよって噛んでしまうとは。

「コンテニューしてもいい?」

「どうぞどうぞ」

次こそはと意気込んで、蓮子はエプロンの裾をキュッと握り締め、
また空気を深く吸い込む。

「いらっしゃいませ」

今度は成功だった。
透き通った声が店の中を通り抜け、そして吸い込まれる様に消えてゆく。
成功だ。今のは自分でもそう思えるぐらいにいい挨拶だった。

「うん、よかったよ」

「えへへー私も本気を出せばこんなもんよ」

「次は表情が笑顔だと尚の事いいね」

「むぅ、私笑ってなかった?」

「緊張してたよ。とっても」

「仕方ないじゃないの、声出すことに集中してたんだから」

「まぁでも、肩に力を入れて緊張に表情を強ばらせている姿は、
 見ていて可愛気のあるものだったよ」

「か、かわ! 可愛い!?」

やっと元に戻った顔色が、あっという間に紅くなっていくのが分かった。
わなわなと肩が震え、鼓動が訳もなく早くなってゆく。
この無意識タラシ男は! と胸の中で叫んで、
流石にそれを口に出すのはマズいと既の所で思い留まり、

「この若白髪天然駄眼鏡がぁ! 
 女の子に無闇やたらに可愛いとかいうな! 嬉しいだろ馬鹿!」

と、また指をビシッと差して叫んだ。
そこにはほんの少しだけ本当の気持が入っていたが、
涼しい顔をしている霖之助には全く伝わっていなかったらしい。

彼のこういう鈍い所が嬉しくもあり、悲しくもある。
けど、霖之助はこんな風に鈍くなければ森近霖之助ではない。

彼ならばこの気持にはきっと気付いてくれないだろうから。
蓮子が胸の奥に仕舞った、大切な大切な気持ちに。

Comment

#No title
慧音ェ・・・・・・

蓮霖おいしいです
  • by:G
  •  | 2011/03/18/13:31:13
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#No title
この霖之助さん確実に蓮子口説いてるだろwww
  • by:H
  •  | 2012/03/04/11:10:23
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