十四朗亭の出納帳

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十四朗

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7.7mmの隙間

そういえば銃火器って描写したこと無いなー
と思って書いてみたSS。
描写の練習的な意味合いが強いですね。

本当に鈴仙って銃の似合う女の子ですね!
ちなみに続きそうで続かなさそうで続きそう。


『7.7mmの隙間』









久々に手にした小銃の感想は重たいの一言に尽きた。
木製銃床を肩にぴったりと当て、二つの腕と全身の力を以て支えてもその感覚は拭えない。
こんなにも重たい物だっただろうか。以前ならばもっと軽々と使えたはずなのに、それこそ体の一部の様に使いこなせたはずだ。

軍務から何十年も離れていれば流石に鈍るか。
鈴仙・優曇華院・イナバはそう心の中で苦笑いをすると、揺れる照準をなんとか固定して引き金を振り絞った。
狙いは現代の単位で表すのなら三十メートル先にある大木に赤いチョークで記された的。
大きさとしては人が両腕で作る輪っか程の大きさだが、この距離から見ると人の頭ぐらいしかない。

引き金を引いた瞬間、薬室で爆発が起こり爆発によって発生したガスが鉛の弾を押し出し、弾は渦状紋の溝が刻まれたバレルの中を回転しながら発射されてゆく。
銃口から発砲炎と共に飛び出した弾丸は目視不可の速さで対象へと命中すると、乾燥した大木の皮を突き破り小さな穴を開けた。
耳を劈く発砲音は耳当て型の耳栓によってある程度遮られたが、発砲の反動は上半身を思い切り後ろへ押し、鈴仙の体を軽く仰け反らせた。
森の木々に留まっていた鳥達が銃声に驚いて飛び立つのが分かった。だが耳栓越しではその騒がしい鳴き声や羽音は殆ど遮られてしまって何も聞こえない。

周囲の音に集中を揺さぶられなくていい。やはりこうした静止目標を狙う時に耳栓は欠かせない。
鈴仙の白い手が薬室後部に取り付けられたボルトを握り、
力強く引っ張ると薬室から金属の咬み合う動作音と共に空の薬莢が排出され、
また元の位置に押し込むと新しい弾薬が薬室に装填されつつ閉じた。

排莢、装填の動作に迷いや手馴れていない部分は見受けられず、全てが自動であるかの様にスムーズに行われた。
銃の心臓部と言っても過言ではない薬室を無闇に露出させるのは故障や動作不良に繋がる。
特に屋外では無数の小さな塵が空気中に漂っているので尚の事気を使わなくてはいけない。
しかし、だと言ってただ素早くボルトを動作させればいいという訳ではなく、
きちんと装填が行われているかどうかも確認しなくてはいけないので、ボルトアクションを満足に扱うには熟練した腕が必要となる。

扱いに関して面倒の多いボルトアクションだが、鈴仙はボルトアクション方式で稼働する小銃を好いていた。
単純な機構で整備も楽だし、耐久力、信頼性、精密性、どれをとっても自動式小銃よりも優位に立っている。
それに何よりも自分で撃っていると言う感触が好きだ。
引き金を引き、排莢をし、次弾を装填してまた引き金を引く。その一連の動作を全て自分が行う。
排莢から次弾装填までを自動化した自動式小銃と違い、この動作は撃ち出す弾丸一発一発に命を吹き込む。

攻撃という行為は何処まで行っても全て人の手によって行われなければならない。
そういった信念が深く心の中で根を張っているから、そんな事を思うのだろう。

一発目よりも短い時間で照準を合わせると、二発目が発射された。
火薬の炸裂する乾いた轟音と、そんな轟音を置き去りにして飛び出した銃弾が大木に命中し、
鈴仙は先程と同じ様に銃のボルトを操作して排莢、装填を行った。

心なしか反動は先程よりも軽く感じられる。体が昔の感覚を思い出してきたのだろうか。
一発目よりもスムーズに反動のエネルギーを大地へと受け流したおかげで照準の修正はずっと早く行える。

戻り始めた感覚に任せて三発目、四発目、五発目と続けざまに発射した。
発砲音の余韻が森中に響き渡り、やがて再び無音が支配する空間に戻ると、
鈴仙は耳栓を外し首に引っ掛け背後で一連の光景を全て見ていた森近霖之助に「どうですか?」と問いかけた。

「質問したいのは僕の方なんだけどね。どうだったかな? 動作に問題はなかったかい」

「特に問題は見つかりませんでした。手先が器用なのは知っていましたが、銃の整備も出来るとは思いませんでした」

「教本の知識だけでやったことだよ。ここには銃その物だけでなくそれに関するものも流れつくからね」

鼻の奥を刺激する火薬の匂いが辺りに漂う。
懐かしい香りだ。この匂いは服に染み込みやすく、落ちにくいが、久々に嗅ぐと懐かしく感じる。
セーフティーを掛けた小銃を腰の辺りで支えながら、鈴仙は霖之助の方へと歩み寄る。

「これ売り物にでもするんですか?」

「欲しいと言われれば売るかもしれないけど、銃なんて幻想郷では扱いづらいものだしね。
 多分欲しいなんて輩は居ないと思う。使うには弾薬が必要だけれど、そんなものここじゃ作ってないから。
 今僕の店にある分が最後だと思うよ」

「おまけに種類も口径もバラバラですしね」

「そう、猟銃ぐらいなら人里でも扱っているけどこいつの弾薬はここにあるのだけ。
 だからこいつは倉庫に行ってまた眠ってもらう事になる」

霖之助は鈴仙から銃を受け取り、銃床を愛おしげに撫でるとそう言った。

この銃と出会ったのは半刻前の事だった。
鈴仙が薬の補給とめぼしい雑貨の買い足しに香霖堂へ訪れるとカウンターでボルトアクション方式の小銃を分解し整備している場面に出会した。
木製の遊底や銃床は所々が黒くくすんでいて、最近の物とは言い難かったが、
その分霖之助は丁寧に各部を掃除したり、オイルを差したりしていたので先程の様に問題なく稼働する事ができる。

軽い挨拶だけをしてその作業を見つめていると、胸の奥から言いようのない感情が沸き上がってくるのを感じた。
懐かしさとも違う。興奮にも似ていて、それとはまったく別の方向へ向かう感情。
衝動と言った方が正しいそれを鈴仙は上手く噛み砕けないまま、銃の整備が終わった霖之助に試射をさせてくれないかと申し出たのだった。

怪訝な顔つきで「扱えるのかい?」と尋ねてきた霖之助に、
先程彼が組み直した銃を再び分解、再構成する姿を見せつけて黙らした後に弾薬と赤いチョークを受け取り裏庭へと出た。

久々に銃を撃った感想はとにかく懐かしいという一点に尽きた。
昔はほぼ毎日の様に銃を分解して整備をし、目標へ向かって引き金を引き続け、終わればまた分解、整備を行った。
そういう時期が鈴仙には有ったのだ。現在の様に生物の命を救う為の技能を磨いているのとは逆の技能。
生物を死に至らしめる技能を磨き続けた毎日が有った。

「使わないのであればどうして修理したり、直したりするんですか?
 これは武器ですよ、人殺しの道具なんですよ」

頭の中に有る一番素朴な疑問を霖之助に投げかける。

「ナンセンスだと思うかい?」

「正直かなり。それに貴方に人殺しの道具は似合いません。
 貴方はもっと穏やかな、他人の役に立つ道具を好んで扱うイメージがありますから」

「道具の差別はしないよ。どういう用途でも道具は道具、等しくこの店で取り扱うものだ。
 それに銃が人殺しの道具だと言うのも可笑しな話だろう。
 銃は勝手に誰かに狙いを定めて撃ったりはしない。そこには確実に人の意思や操作がある。
 殺すのはいつだって使用者なんだ。どんなに自動化されても、どんなに遠くから殺せるようになっても、道具に罪はないよ」

柔らかい笑顔を作って笑う霖之助に釣られて鈴仙も笑ってしまった。
彼の哲学には一理あるし、それに納得してしまっている自分も居る。
確かに引き金を引くのも、何に銃弾を撃ち込むかも、決めるのは使用者だ。

木の的に向かって引き金を引くのか、人の頭部に向かって引き金を引くのか。
そこに有るのは悪意か善意か、それとももっと別のものなのか。
そんな事銃には関係ない。きちんと整備されているのなら正しく動作して、狙いが正確ならその射線にある物を撃ち抜くだけ。

ある意味で銃はどんな部下よりも忠実に働く。
だから兵士にとって一番の相棒になれるのだろう。

「それに壊れていたり、整備が必要な道具を僕は見過ごせないよ。
 君だって怪我人を見逃せないだろう? 医者の卵として」

「参りましたよ。確かに見逃せませんね。貴方って、本当に……」

「本当に?」

「正直な方ですね」

「そうさ、僕は素直な半妖、森近霖之助だから」

カラカラと笑う霖之助はその後鈴仙をお茶に誘った。
鈴仙はそれを快く了承すると二人で縁側へ向かう。

本当にいつ来てもこの店は飽きない場所だ。
来る度に忘れかけていた事を思い出させてくれる。
胸の隙間を少しずつ埋めてゆくように。

Comment

#No title
そしてうどんげは霖之助の一番の相棒になると信じてます。
あ、それとうどんげに霖之助の他の銃もメンテナンスしてもらうといいと思います。
  • by:道草
  •  | 2011/01/24/22:54:29
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