十四朗亭の出納帳

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十四朗

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れーむちゃんあらわる

ひょんな事から書くことになったろりれーむの話。
霊夢って幼い頃は結構無口で無愛想な子だったと思う。


『れーむちゃんあらわる』


霖之助、霊夢











森近霖之助が魔法の森の入り口で商売を始めてからもう十年になる。
正確には十年と少しだが、そう変わらないだろう。
当初は妖怪と人間が都合よく訪れられるようにと思ってこの土地に店を開いたのだが、
目論見は外れ、結局はどちらにも見向きされないような店になってしまった。

その事に付いて少し残念とは思うが、特に悲観しているわけでもない。
一人の時間が増えればそれだけ自分の時間が増えるということだ。
だから霖之助には一人でいることなんて苦でも何でもなかった。

朝起きて一人分の朝食を用意して食べ終われば片付けて店を開ける。
店を開けている間は一応店の方にいるが、本を読んだり道具を弄ったりと好きなように過ごす。
昼食は食べたり食べなかったり。気がつけば昼過ぎなんて事も有るので食べないことの方が多い。
夕方になれば店じまいと夕食の後に風呂に入り軽く晩酌なんかをして床に就く。

殆ど世捨て人みたいな生活をしているが、
これでもちゃんと道具屋として社会に立っているはずだと霖之助は思っている。

その日は何時ものように店を開け、本を読みながら店番をしていた。
春の穏やかな空気を味わうためにカウンターの窓は少し開けてある。
桜はまだ蕾が柔らかくなってきた程度だが、後一週間もすれば順調に開花し始めるだろう。

どこにでもある春先の風景。取り立てて珍しいと思うようなものはない。
だが一つだけ、霖之助が気になっていたことがあった。
もしかしたらこれは霖之助の気のせいかもしれないが、なんだか今日は誰かに見られている気がする。

それは気のせいであって欲しい事柄だが、もし気のせいでなかったのなら。
つまりは実際に誰かが霖之助を見つめているのだとしたら、それはそれで一つの問題になる。
面倒な問題なんて真っ平御免だが、やはり日常を覗き見られるというのは不愉快なものだ。

とりあえず霖之助は周囲を見渡した後、背後を振り向いてみる。
そこには何も無い。
僅かに開けられた窓から春の風が流れこんでくるだけで何も無い。

霖之助は特に何も反応せずまた正面を向き本に視線を落とした、
振りをしてまたすぐに窓の外へと視線をやる。

すると窓の外には大きな蝶々のような赤いリボンがひょっこりと顔を出していた。
窓の外に何も居なかった時と同じように霖之助は無反応だったが、今度はすぐに視線を本に戻さない。
すると窓の外に居るであろう人物は目線を上げ、まだ霖之助がこちらを向いているかどうか確認してきた。
勿論霖之助とばっちり目が合う。

目が合うとその少女は無言のままに姿勢を低くして窓の外に隠れた。
この間双方に言葉のやり取りはない。
どうしょうもないまでにシュールな空気が流れ、現実感を希薄にさせる。
自分はまだ眠っているのだろうか、ひょっとしたら春の陽気がこんな馬鹿げた夢を見せるのかもしれない。
だがこれは現実だ。しっかりと霖之助は朝食を食べたし、今読んでいる本は昨日から読んでいた箇所からの続きだ。

とりあえず霖之助は「そこの君」と声を掛けた。

「何をしているのか知らないけど、君はお客なのかい。お客ならそこの扉から入ってくるといい」

再び窓から少女は顔を出した。
黒い髪を赤いリボンで一つに纏め、首から下は白い服を着ていた。
まるで巫女が着るような服だ。
それより下は見えないので確認しようがなかったが、もしかしたら赤い袴を履いているのかもしれない。

目は形の良いツリ目で、やや赤みを帯びた色をしていた。
そんな目で霖之助のことをジトーっと見つめている。

「とにかく覗き見は感心しないな」

「覗き見違う。監視」

「監視だって? 僕を?」

「このお店と貴方を」

「どうしてまたそんな事を」

少女は首を少し傾けて考えた後口を開いた。

「おばさんに言われたの。あそこのお店には半妖が住んでいるから監視しなきゃ駄目よって。
 半妖は何をするか分からない存在だから監視しなきゃ駄目よって」

「そのおばさんって言うのは誰なのかな? 君の保護者……つまり君と一緒に暮らしている人なのかな」

「違う、おばさんとは別に暮らしてる。おばさんは私にお仕事をくれるの」

ここまで聞いたがさっぱり何のことだか分からない。
まったく要領を得ない答えばかりが返って来て、何が何だかさっぱりだ。
とりあえず彼女が『おばさん』と呼ぶ人物に言われて、
ここに来たのは分かったがそのおばさんなる人物との関係も不明だ。

彼女のいいからして血縁者では無いのかもしれない。

「そのおばさんは普段君にどんな仕事をくれるんだい?」

「妖怪退治」

「妖怪退治? ごっことか例え的な意味ではなく本当の意味での妖怪退治?」

「本当の意味での妖怪退治。それが巫女の使命であり仕事だって」

「巫女……君もしかして博麗なのかい?」

「うん、私は博麗霊夢」

薄々そんな感じがしていたが、やはり彼女は博麗の巫女だった。
幻想郷に神社は一つしかないし、巫女服と言えば必然的に博麗の巫女以外に着る者は居ない。
けれども不思議なのはどうして霖之助を監視していたかということだ。
霖之助は特に問題視されるような行動はしていないし、博麗の巫女と個人的な繋がりがあった訳でもない。
やはり彼女の事を知れば知るほど謎が深まるばかりだ。

「私は見張るより退治した方が早いって言ったのに、おばさんは何もしていない時に退治しては駄目って言ったの。
 だからこうして見張ってる。本当は退治した方が早いのに」

「うーん、見張られるような事をしでかした覚えは無いんだけどね。
 それにこれからも何かをする予定はないよ」

「怪しい」

「怪しくない」

「だって変な道具いっぱいもってるもの」

「僕の店の商品だ。変だなんて言わないでほしいな」

その時霊夢の方から「ぐぅー」と可愛らしい音が鳴った。
霊夢は特にそれをごまかす様子もなく、ただ顔を合わせた時からずっとしているジト目の表情のままで霖之助を睨んでいる。
思わずため息をつきそうになったが、そこは仕方ないとがまんをして霊夢にこう切り出した。

「そんな疑いの目を向けられるのは不満だけど、
 とりあえず君はお腹が減っているようだしお昼ごはんをご馳走してあげようじゃないか。 
 そしたら僕への疑いも晴れるだろう」

「多分晴れない、怪しいから」

「じゃあお昼ごはんはナシだ」

「晴れると思う」

「どっちだ」

我慢していたため息をとうとうついてしまった。
出会って間もないがこの子の相手は非常に疲れる。
それだけは理解できた。









昼食の献立は白米に味噌汁、ほうれん草の胡麻和えに筑前煮。
筑前煮は昨日の晩から余っているもので、
一人暮らしなのに作り過ぎたことを後悔していたので丁度いい。

「いただきます」

料理を目の前にして霖之助だけが挨拶をした。
霊夢は料理を見つめて不動のままでいる。
なにか不味い事でもあったのだろうか。
ひょっとしたら苦手な食べ物でも並んでいたのかもしれない。

「どうしたんだい霊夢、食べないのかい?」

「食べていいの?」

「勿論。全部君の分だ」

「ホントにいいの? 食べちゃったら返せないわよ。 
 お味噌汁だけとかじゃなくって、全部食べちゃうわよ」

「いいとも。お腹が減っているんだったら食べればいい」

「……いただきます」

やっと手を合わせて食前の挨拶をした彼女は、まず最初に白米を口に運ぶ。
一口、二口と小さな口いっぱいに白米を運んで夢中に口を動かした。
そんなに慌てなくていいのにと言おうとしたが、余程お腹が減っているのだろうと思い結局何も言わなかった。

また一口、口元に運んでは口を動かす。
よくもまぁ、おかずも無しに白米だけであんなに食べられるものだ。

「白いご飯美味しい……」

「普段食べてるだろうご飯ぐらい」

「ううん、いっつも食べてるご飯は白くないの」

「玄米」

「違う、色々入ってるの。大豆さんに、麦さんに、稗さんに……」

「……分かった、分かったから。おかわりがしたくなったらいくらでも言うんだよ」

「いいの?」

「流石に限りがあるけど君一人が満腹になるぐらいは用意してあるから」

「霖之助さんありがと」

ずっとジト目で見つめていた霊夢はその時だけ歳相応の無邪気な笑顔で笑った。
ちなみに彼女が霖之助の名前を知っているのは、やはりおばさんから聞いたかららしい。
心の何処かで気味が悪いとさえ思っていた霖之助はなんだか後ろめたさ半分、
安堵半分といった気持ちで胸が落ち着かなかった。

繰り返すようだが特別以前の巫女と親交を結んでいたわけではない。
だが先代巫女の評判は聞いている。
妖怪退治の腕が良く、よく人里に訪れては里の様子を伺ったりしていた。
もちろんそこでトラブルを見つければ率先して解決したから、里の人々からも親しまれ信頼されていた。

危ないから神社には来るなと本人は言っていたらしいが、
里の人達はせめてものお礼にとよく参拝し賽銭を入れて行った。
だがそれも一年前までの話だ。

一年前、巫女が交代したらしい。
新しい巫女は余り人里に姿を表さず、ただ黙々と妖怪を退治するだけので特に人里と親交を結ぼうとしなかった。
その結果以前と違い里の人々が神社に参る事もなくなり、今では巫女の顔すら知らない人達が殆どだそうだ。
そして、霖之助も先程まで巫女の顔さえ知らない人々の一員だった。

人気が有るか無いかで言えば彼女は人気の無い巫女なのだろう。
感情表現に乏しいし、どちらかと言えば愛想がよくない。
けれども人に好かれるような振る舞いをこんな子供に求めるのは酷な話ではないだろうか。

「そう言えば霊夢。君は一体何歳なんだい?」

「歳? んと……」

箸を置いて両手を使い数を数え始める。
何度か指を折ったり伸ばしたりしてようやく答えを出した。

「七歳」

「七歳? 本当に七歳?」

「うん、このまえおばさんが七歳の誕生日をお祝いしてくれたから七歳」

「それにしては随分悩んでいたけど」

「私の体感時間だと五歳ぐらいだと思ってたから」

「尚更若くなってるじゃないか……それにしても七歳か」

余りにも若すぎるだろうと霖之助は心の中で続ける。
まだまだ遊びたい盛りだろうし、学ぶことだってたくさんある。
それなのにこの子はこうして博麗の巫女の役職に付いているなんて。
霖之助がかつてお世話になっていた霧雨道具店の大将にもこれぐらいの娘さんが居るが、
その子は悪戯好きで歳相応の幼さを持っていて、我侭だけれど子供らしい可愛さを持ち合わせている。

なのにこの子はどうだ。
言われたからという理由だけで霖之助を見張り、そして満足に食事さえとっていない。
行き場のない憤りにも似た感情が胸を塞いだ。
これが博麗の巫女なのだろうか。
自分の人生を犠牲にしてまで幻想郷を管理するのが博麗の巫女の姿なのだろうか。

「霖之助さん」

「ん、なんだい霊夢?」

「おかわりちょうだい」

「いいよ、お茶碗を貸してくれ」

「はい」

霖之助は霊夢から空のお茶碗を受け取り、新たにご飯をよそう。
受け取ったお茶碗にはご飯粒一つ付いていなかった。

「とにかくだ霊夢。僕は悪い半妖じゃないって分かってもらえたかな?」

「分かった」

「よし、ならもう見張る必要はないね」

「だめ、お仕事だから見張る」

「君の言うおばさんがそう言うから」

「うん」

「はー参ったなぁ、僕としても見られるのは好きじゃない」

「でもご飯が美味しいからちょっと見張りの眼を緩めてあげる」

「ほぉ、気が効くね」

「でもご飯が美味しくなくなったら見張りを厳しくする」

「なんだいそれ……というか今後もここでご飯を食べていくみたいな言い方じゃないか」

「見張り」

霊夢が訂正した。

「見張りという名のたかりじゃないか。
 境遇に同情はするけど僕が君に食事をご馳走し続ける理由なんてないよ」

「食べさせてくれないと退治する。
 人間を飢えで殺そうとしたから退治する」

「横暴だ」

またジト目で自分を睨んでくる霊夢に霖之助は今日何度目になるか分からないため息を付いた。
厄介なものを抱え込んでしまった。
自分から動いた訳でも呼び寄せた訳でもないから余計に質が悪い。
それに相手は子供だから本気で煙たがる訳にもいかない。
なんて扱いにくい存在なんだ。

とりあえずはこの子の話をしばらく聞こう。
彼女の言うおばさんという存在も気になる。
そして出来ることならそのおばさんに会って、この子の生活を正させよう。

この不思議な少女の生活を。

Comment

#No title
これは、なんというか、新しい。
そして霊夢かわいい!
霖之助さん養ってあげて!
  • by:peso
  •  | 2010/12/27/23:50:52
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クリスマスと言えば霖之助さんが慧音と朱鷺子と仲良く家族でパーティーしてたりとか、騒がしいのは苦手だから霖之助さんはアリスとクリスマスを二人で静かに過ごしていたりとかするのを妄sゲフンゲフン想像する日ですよね(えっ
霊夢のツケ生活もとい霖之助さんのもう一人の子育てはここから始まったんですね、わかります。そして先代と聞いて「ガタッ」となった自分h(ry
  • by:
  •  | 2010/12/29/02:21:23
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