十四朗亭の出納帳

アニメの感想、ゲームホビーの感想など 作品のジャンルにこだわらず書いていく予定です,SSとか書いてます

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十四朗

Author:十四朗
(じゅうしろう)と読みます
ロボとか好き東方も好き
趣味の守備範囲は日々拡大中
東方の霖之助SSが主流です
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拍手SSまとめ・ゆかりちゃん4~6

ウェブ拍手のお礼用SSのまとめです。
いつの間にか結構溜まってた。


『ゆかりちゃん4~6』






『ゆかりちゃん4』





「べつにゆかりはなむたくなんかないわよ?」

「藍から言われているんだ。お昼寝はちゃんとさせるようにってね」

「らんのおせっかいー
 ゆかりはまだまだおきておじさまとお話したいのに」

「起きたらまたしてあげるよ。それにこうして寝るまでの間にもちゃんとしてあげるから」

「むぅ、それならいいかも。ふふ、おじさまだーいすき!」

霖之助の胸元で、布団を半分程被った紫は嬉しそうに体を揺らしてそう言った。
幼児特有の柔らかな感触と、大人に比べて高い体温が何とも心地良い。
こういう抱き枕も悪くないかもしれない。

もっとも、抱きついているのは彼女の方だが。

「今日はどんなおはなしをしてくれるの?」

「質問で返すようけれど、君はどんな話が聞きたいんだい?」

「ゆかりは何でもいいの。こわいお話や、かなしいお話以外ならなんでも。
 だっておじさまがしてくれるお話なんだもん」

「ふぅむ、困ったな。
 注文が無いのが一番対応に困る。相手が何を望んでいるのか分からないからね」

「いけないこと?」

「僕が困るだけで君は悪くないよ」

霖之助は紫の額に手を当て、優しく撫でてやった。
細くて柔らかい金髪と、染み一つない白い肌。
金色の瞳や、整った目鼻立ちも相まって、全てが作り物の様な印象を受けるが、
この温かさは確かに生き物が生きている温かさだ。

毎日元気いっぱいに生きている彼女が作り物の訳が無い、
けれど時々そんな事に疑問を持ってしまう時がある。
それは、たとえ彼女が幼くともこの幻想郷を管理する者、
妖怪の賢者だからだろうか。

「おじさま」

霖之助を呼ぶ声。
それは間違いなく、彼の胸にすがる紫の声だ。

難しい顔をして喋らなくなってしまった霖之助を見て不安になってしまったのだろう。
その声にはどこか不安定なものが有った。

「ゆかりとねるのがいやになっちゃたの?
 ゆかりがわるいこでたくさんわがままを言うから?」

「いや、そうじゃないよ。君のせいじゃない。
 僕は君を嫌ってなんかいないよ。
 ただちょっとね……少し思う事が有ったのさ」

「ゆかりのこと?」

「あぁ、君の事だ。けれども悪い事じゃないから安心するといい」

「うん!」

こぼれんばかりの笑みを目の前で見せられて、霖之助の頬もいくらか緩んだ。
お願いだから、彼女にはこうして笑っていて欲しい。
せめて、せめてこうしている時以外は笑っていて欲しい。

ずっと彼女を笑顔にしてやる事は出来なくとも、自分と居る時だけはこうして……





『ゆかりちゃん5』






「わぁ、おじさまたかいたかい!」

「分かったから余り暴れないでくれよ」

霖之助の方に跨り興奮気味の紫を霖之助は穏やかにたしなめる。
特に変わった事はない、紫を預っている時にはよく見られる光景だ。

一緒に冷えた冷麦を食べたり、天気が良いので庭先で遊んだり。
特に変わった点はない。
しいて言えば以前よりも紫が霖之助に甘えるようになった事だろうか。

霖之助の方もそれについて特に気にしてはいない。
この年頃の少女なら近しい大人に甘えるのは当然だろうし、
それに答えてやるのが大人の責務だと思っている。

「いっつもおじさまはこんなめせんなんだー」

「君の身長を抜いたのが僕の視線になるね」

「ゆかりよりもずっとたかいのー!」

「肩車なんていっつもしてあげてるじゃないか。
 そんなに珍しいものでもないと思うけどね」

「だっていっつも楽しいもん。
 おじさまといっしょだと楽しいもん」

恥ずかしがる様子もなくそう答える紫。
こう裏表のない態度を見ていると、何だかこっちまで裏表の境界があやふやになる。

出来れば成長してもこの純粋さを無くさないで欲しいと思うが、
それは霖之助の手が届く範囲ではないだろう。

彼女は彼女の成長を積み重ねる。
楽しい事も辛い事も経験して、やがて一人の女性となって行くのだろう。
彼女がこれからどんな経験をするのかは分からない。

だがこれだけは言える。
自分は彼女の今の経験を作ってやる事は出来る。
幼き日のほんの一欠片だけの記憶だが、それでも彼女の基礎を作る大切な記憶だ。

「ひまわり!」

思考に集中していた霖之助の耳に元気な声が飛び込んできた。
庭に咲いていた向日葵に紫が反応したのだろうか。

「どうしたんだい紫ちゃん?
 向日葵に興味が湧いたのかい」

「ううん、ゆかりはなにも言ってないわよおじさま」

「おかしいな、確かに聞こえた気がするんだが……
 やはり空耳なのか」
 
霖之助は自身の聴覚を疑う。
試しに地面に落ちていた小石を手に取って前方に投げてみる。
小石は緩い放物線を描いて地面に落下すると、他の小石に当たって弾けた。
勿論音はする。

霖之助の聴覚に以上はない。
試しに紫にも聞いてみたが、紫も先程の声をしっかり聞いていたようだ。

「ひまわり!」

再び先程の声。
今度はハッキリと聞こえた。
縁側の方、いや縁側の下から聞こえた。

霖之助は紫を肩から降ろすと、すぐに縁の下を確認する。

「ひまわり!」

「誰だい、君は……」

煤で汚れた顔に緑色の髪。
見た感じは紫よりも幼いその少女はにんまりと面々の笑みを浮かべていた。
どうして、そして何時から彼女がそこに居るのかは分からない。
勿論彼女が何者かも分からない。

霖之助は少し考えた後、少女に「汚いから出ておいで」
と言って縁の下から出てくる様に諭した。
少女は霖之助の言葉に対して、特に反抗する様子もなく従い縁の下から這い出した。

チェックのスカートとベスト。
ベストの下には白いブラス、の筈だがそのどれも煤で薄黒く汚れている。

「おじさま。その子だぁれ?」

「僕にも分からない。どこかで迷ってこの場所に来たのかもしれないね」

「ひまわり!」

緑髪の少女は外に出た途端、庭に植えてある向日葵に向かって走りだした。
花に興味が有るのか、庭に植わってある花を見ては歓喜の声を上げた。

「花壇を踏み荒らさないでくれよ。
 花が好きならちゃんとその辺りは気を付けないとね」

「?」

「分かってないか……まぁ、こっちにおいで」

霖之助は手招きをすると、寄ってきた少女を抱き抱える。

「あーおじさまゆかりもー!」

「ちょっと待ってくれ。二人いっぺんに抱き抱えるのは無理だよ」

「じゃあおんぶ!」

「後でね」

「むぅ……」

唇を尖らせる紫をよそに、霖之助は緑髪の少女を見た。
相変わらず庭に植えられた花の方に興味が有るのか、
そちらの方に身を乗り出して見つめている。

「まずは君が誰なのか。そしてどこから来たのかハッキリさせようじゃないか」

紫と霖之助、二人の日常に落とされた小さな小さな異変。
まだまだハッキリしない事ばかりだが、ほうっておく訳にもいかない。

まずはこの小さな異変に見合った小さな手掛かりから探してゆくのが妥当だろう。




『ゆかりちゃん6』






「ほっかほかー」

「あんまりちょうしにのらないでよね! 
 おじさまのいちばんはゆかりなんだから!」

「ほら二人共、髪を拭いてあげるからこっちへ来なさい」

あの後煤だらけの少女(確か「ゆーか」と名乗った)
を風呂に入れて体中に付いた煤を落としてやったが、
何故か風呂場まで紫が付いて来た。

紫曰く「うわきはゆるさない」だそうだ。
どうやら紫はゆーかに妙な対抗意識を抱いているようだ。
彼女の何処にそんな要素が有るのかは分からないが、
紫がそう思うのならそうなのだろう。紫の中では。

「さぁおじさま、ゆかりのかみを……」

「わしゃわしゃしてー」

「分かった分かった。今拭いてあげるから大人しくするんだ。床が濡れてしまう」

「おじさまぁ!」

目を潤ませて講義する紫に、
霖之助は「二人同時には出来ないよ。今日ぐらいは我慢してくれ」と言ってゆーかの体と頭を拭き始めた。

「紫、髪の毛は拭いてあげるから体は自分で拭いてくれないか?
 濡れたままで放っておくと風邪をひいてしまう」

「ゆかりちゃん! もぉう、なんどいったらわかるの?」

「あー体は自分で拭いてくれないかゆかりちゃん」

「ふん、おじさまがそういうのならそうしてげる」

少しだけ嬉しそうに鼻を鳴らすと紫は自分で体を拭き始めた。
こうしてみると日々甘やかし過ぎているのかも知れない。

彼女がして欲しいと言う事は大抵やっているし、
食事のリクエストもよく聞いている。

日常生活の殆どを霖之助に依存するようになってしまってからでは遅い。
やはり日々の態度を少しだけ厳しくするのも手だろう。

「はい、終わったよ。着替は服は自分で着られるね?」

「うん!」

「よし良い子だ。さぁ、次はゆかりちゃんだ」

「またせるなんてあんまりじゃないおじさま」

「人数が一人でも増えれば待つ者が出来る。当たり前の事じゃないか」

既に体を拭き終わり、
キャミソールとドロワーズに身を包んでいた紫は、
ゆーかの髪を吹き終わった霖之助を見てそう言った。

思うように構ってもらえないのが不満なのか、
言葉の節々に刺々しい物が感じられる。

「待つ事を覚えないと良い大人にはなれないよ」

「いいもん、ゆかりはおじさまのおくさんだから」

「僕は良い大人以外を妻にする気はないんだ。悪いけどね」

「おじさまのばか! いじわる!」

紫の長い髪に付着した随分を丁寧に拭き取りながら、
霖之助は紫の言葉を軽く受け流す。

「なによぉうきょうのおじさまはあのこにばっかりかまって……」

「仕方ないだろう。あの子を保護したからにはしっかりと面倒をみなきゃいけない」

「ゆかりのことはどうでもいいっていうの!」

「そうは言ってないじゃないか」

「じゃあ……じゃあおじさまはゆかりのことちゃんとすきなのよね?」

「あぁ、君の事はしっかり……」

「りんのすけー! あそぼ、あそぼ!」

「のぉわ!?」

座って紫の髪を拭いている霖之助の首元へゆーかが勢い良く飛びついた。
霖之助はそれをどうにか耐えて紫の方へ倒れこむのだけは避ける。

出会った時から思っていたが、行動的な子だ。
首元からゆーかを降ろして膝の上に乗せるが、
ゆーかはすぐに膝の上から抜け出し、
霖之助の袖を引っ張って「あそぼ! あそぼ!」と言って聞かなかった。

「参ったな、聞いてくれないか」

「おじさま? ねぇ、ゆかりのことをなんて……」

「すまないゆかりちゃん。髪は拭いたからブラッシングは自分でやってくれ。
 どうにもゆーかが離してくれない」

「ちゃん! ゆーかちゃん!」

「……ゆーかちゃんが離してくれない」

「もういいわよ! おじさまのおおばか! 
 おんなったらし! かいしょうなし! ろくでなし! ぺどふぃりあ!
 ずっとそのことあそんでるといいのよ! ゆかりもうしらない!」

その言葉を発すると共に紫は勢い良く立ち上がると、
制止する霖之助の手を払い退けて縁側の方へ走り去ってしまった。

紫の行動の意味が上手く読み取れなかったのだろう。
ゆーかは首を傾げてキョトンとした表情をしている。

霖之助はそんなゆーかの頭に手を置いて優しく撫でた。
君の責任じゃない、自分が不器用だったのがいけないのさ。

言葉では伝えなかったが、そんな感情を込められていた。

自分もまだまだ未熟だ。
躓いて転んで、また起き上がって学んでいくしかない。

それは霖之助も紫も変わらない。

Comment

#No title
ありがとうございます!!ゆかりちゃんマジ幼女!!

あと、急かしてしまったようで申し訳ありません
  • by:G
  •  | 2010/12/11/01:05:13
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