十四朗亭の出納帳

アニメの感想、ゲームホビーの感想など 作品のジャンルにこだわらず書いていく予定です,SSとか書いてます

プロフィール

十四朗

Author:十四朗
(じゅうしろう)と読みます
ロボとか好き東方も好き
趣味の守備範囲は日々拡大中
東方の霖之助SSが主流です
一応現役の遊戯王プレイヤー
メッセ&スカイプは大歓迎です
SkypeID『Brassp905』


リンクはフリーなので
どなたでもどうぞ
もしご連絡いただければ高所から
イヤッホォォォォ!!します


PS3アカウント『auscam』
大体マルチ対応ゲームやってると思います。

バナー

Web拍手

Twitter

 

入店者

検索フォーム

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

縁と浮世は末を待て

こたびさんと分担してぷちリレーSSやってみた。
うーん、はた霖書いたの初めてかもしれない。


『縁と浮世は末を待て』


はたて、霖之助

(こたびパート)






「よいしょっと、お兄さん。今回はどうかな?」
「・・・・・・ふむ」


ばさばさと、香霖堂のカウンターに写真が無造作に広げられる。もはやいつもの光景だ。

最近、はたてがこうして幾つか写真を持って来ては、霖之助がどれが良いかを選ぶ事が多くなった。
なんでも「実際に新聞の記事には使わないけれど、新聞の記事の写真を取る技術向上のためなの!」と、はたてが言っていた気がする。

そして、そんな写真を持ってきたはたての問いかけに対し、霖之助はその内の何枚かを手に取った。


「これは?」
「死神がサボタージュしてる光景ね」
「これは?」
「氷精が山の土着神に追われている瞬間ね」
「・・・・・・これは?」
「白黒魔法使いが図書館から本を盗んでいる瞬間ね」
「・・・・・・なるほど」


ざっと一通り見て、霖之助は考える。
とりあえず、よく撮れている。撮れている事は撮れているのだが。


「・・・・・・やはり、僕からすると日常的な事柄に見えてしまうな」
「う、そうなのよねぇ。うーんやっぱりこれじゃダメかなー」
「写真の撮り方は良くなっていると思うよ。
 しかし、これでは記事ではなくただの風景写真になってしまうね。おや、これは・・・・・・僕の写った写真か」
「あ、ま、混ざってたの?」


はたてが持ってきた写真の中に一枚だけ、霖之助の写真が入っていた。
その写真は、香霖堂の椅子に座っている霖之助がただ本を読んでいるところを撮っただけ、というもの。つまりはポートレートだ。

霖之助がその写真を見ていると、はたてがパッと勢いよく霖之助の持っていたその写真を取り上げてしまった。


「ほ、ほらお兄さん、自分自身の写真を見ててもつまらないでしょ、ね?」
「ん、まぁそうだね。
 しかし、何でも撮ってみるのはいいが、僕を撮っても新聞とは無縁だろうに」
「あ、これは記事のためじゃなくて保管よ・・・・・・ってなんでもないっ!」
「?」
「と、とにかく、お兄さんの写真じゃ新聞の記事にはならないからこれは無しなのっ」
「はは、そうかもしれないな」


はたての言葉に霖之助は苦笑いした。まさしくその通りである。

新聞は文字のとおり、内容は「新しく聞く」ような事でなければならない。内容が新しくなければ、新聞は「新聞」としての意味を成さなくなってしまう。
はたてが引きこもっていた頃の「花果子念報」の人気が出なかったのは、おそらく念者では新聞の要である「新しさ」が抜け落ちてしまっていたからだろう。

霖之助がそう考えていると、何故か顔を紅くしながら写真を漁っていたはたてが「ふむぅ」と唸り始めた。


「そう考えると、なかなかいい写真って撮ることが出来ないのよね。
 これはいいかもっていうのは、大抵他の新聞記者がすでに取って記事にしちゃってる事も少なくないし・・・・・・」
「新聞を作っている天狗はそんなにも多いのかい?」
「多いなんてもんじゃないわ、うじゃうじゃいるよ。だって新聞の大会が行われるくらいだもの。
 きっと、お兄さんが想像している数より遥かに多いと思うわ」
「・・・・・・それは凄まじいね。その中で人気を得るために記事になることを探さなくてはいけないのか」


霖之助が知っている新聞は「文々。新聞」と「花果子念報」の2つのみ。それは天狗の世界ので見ると井の中の蛙なのかもしれない。
といっても、霖之助はこれ以上新聞を取るつもりはないのだが。


「うーん、ねぇお兄さん。あまり私達みたいな天狗が行かないような、良い写真が取れるところってないの?」
「そんな所があったら皆そこに殺到するだろうに・・・・・・ん?」
「? どうしたのお兄さん?」


首を傾げているはたてに対し、霖之助はある場所を思いついていた。
あそこならば天狗は滅多に来ないし、記事になるような「モノ」も転がっているかもしれない。
・・・・・・ただ一つ、問題があった。


「はたて。もし、そのようなところがあったとして、そこが危険な場所だとしたら君はどうする?」
「もちろん、絶対に行くわ。そうもしなければ文のスポイラーとしての名が廃っちゃうもの!」


ジッと、まっすぐな目ではたてがそう宣言する。・・・・・・これならば大丈夫だろう。
そもそも、危険といっても彼女は力を持つ鴉天狗だから聞くまでも無かったかもしれない。


「そうか。ならば一つ、君の望んだ事に該当するかもしれない所があるよ」
「ホント!? それって何処なの?」


霖之助の言葉に、餌に食いつくかのようにはたてがカウンターに乗り出す。・・・・・・それほどネタに飢えていたのだろうか。
とりあえず乗り出してくるはたてを制しながら、霖之助はその場所を口にした。


「天狗が来ないで良い写真が撮れるかもしれない場所・・・・・・そう、無縁塚だよ」




※(十四朗パート)





冷めた温い風が吹く。
それは夏の終わりを告げているのか、
それともただ単にこの場所がそんな風を吹かせるのか。

どちらかは分からないが、
そう感じさせる程度にこの場所は陰気で空気が停滞しがちな場所だった。

まだ夏の終わり頃だというのに木々の葉は赤や黄に染まっているし、
早い物ではもう葉が散り始めている。

はたては地面から突き出た手頃な岩に腰掛けると、
ただ黙っても物拾いをしている霖之助を見つめた。

手に取ったものをただじっくりと見つめて、
喜ぶでも悲しむでもなくただ無表情のまま手に持った袋の中へと放り込んでいった。

特に何もする事がない。
彼は他の天狗が来ないでいい写真が撮れるかもしれない場所だと行って連れてこられたが、
見渡した限りではいい被写体は転がっていない。

体の良い同行者にされたかと溜息をつきながら、
取材用バッグからキセルと刻みたばこ、
火打石を取り出すと慣れた手つきで刻みたばこを煙管に詰め、火打石で火を付けた。

深く、ゆっくりと煙を飲み込み、そして柔らかく吐き出す。
不思議と退屈はしていなかった。

店の中では椅子から立ち上がろうともしない彼が、
自分の脚で歩き流れ着いた道具をせっせと拾う様は何だか珍しく感じるし、
このだだっ広い場所に自分と彼の二人だけしか居ないと思うと、
胸の奥から優越感にも似た感情が沸き上がってきた。

最初は冴えない男だと思っていたが、
彼は思った以上に深い知識を持っているし、
時々に普段の態度からは予測もつかないような冗談を口にする。

センスはどうあれ奇を狙った感じが子供っぽくて思わず笑ってしまう。、

はたては煙管を吸い終えると、
懐からカメラを取り出し作業中の彼をファインダーに収めそのままシャッターを切った。

シャッター音に気付いた霖之助は呆れた様に「僕じゃ記事にならないんじゃないのかい?」と言った。

「確かに、お兄さんじゃ記事はちょっと無理かもね。
 でも、これは練習。今までと同じ練習」

「良く撮れたかい?」

「まぁまぁね。その内お兄さんが何かやらかしたらまた撮ってあげるわ」

「一番いい写真を頼むよ」

霖之助は懐に入れた竹製の水筒を取り出しはたてに投げてよこした。
はたてはそれを受け取ると水筒の栓を抜いて、飲み口から水を飲んだ。

喉は渇いていなかったが、一応彼の好意だろう。
受けておいて損はない。

はたてが三分の一程水筒の水を飲んだところで、
霖之助がはたての側にやってきて瓶詰めの金平糖を四粒彼女の手の平に乗せた。

霖之助も瓶から何粒か摘まんで口へと運んでいる。
ピンクと黄色と緑に白、
手の平に乗った色とりどりのそれらを見つめて、はたてはしばらく黙っていた。

「嘘言ったわねお兄さん。
 いいネタなんて全然落ちてないじゃない」

「かもしれない……と僕は言ったはずだよ。
 あくまで確率の問題さ。良いネタに出会えるかどうかは運次第だよ」

「そのネタって……何?」

「この子達さ」

霖之助は手に持った袋を持ち上げてはたてに見せる。
仲には先程まで彼が拾っていた道具が何個か入っているようで、
左右に揺れ動く度に、仲からガチャガチャと音がした。

「お店に置いてあるガラクタちゃん達?
 ねぇーそんな物がスクープになる訳ないじゃない。
 お兄さん私をからかってるの」

「いいや、いたって真面目だよ」

「じゃあなんでそんな物を私に見せようとするのよ」

先の見えない不透明な態度にはたてはつい声を荒らげてしまった。
それを咬み殺すかの様に手の平の金平糖を口の中に放り込んですぐ噛み砕いた。

そんなはたての内心を霖之助は知ってか知らずか、あくまで自分のペースで言葉を続ける。

「ここに落ちている物達全てが商品になる訳じゃないんだ。
 壊れているものも、僕でさえ商品としての価値を見いだせない物がたくさん有る。
 とりあえず落ちている物は拾えるだけ拾って、
 店に持って帰り、一つ一つ店でじっくり鑑定するんだ。
 その時価値が分からない物は倉庫でしばらく寝てもらって、
 また何時か何かのきっかけで本来の価値が分かる様になるまで休んでもらう。
 それも駄目なら……供養して今度こそ本当に眠ってもらうんだ」

「何それ、何て効率の悪い。
 一目見て価値の有りそうなものだけ持って帰ればいいじゃない。
 そんなに手間を掛けて結局商品にならないなんて時間の無駄よ」

「まぁ、そうなんだけど。
 近道をしようとするとどうしてもボロが出るからね。
 それに修行時代僕の師匠にも言われたからね」

「何を?」

「いい仕事って言うのは地味な作業の積みかさねだってね。
 君は彼女の名前を出すと怒るかもしれないけど、
 文は一見派手に取材をしているようで実はちゃんと聞き込みをしたり、
 現物の証拠を押さえたりして裏付けをしているんだよ。
 あぁ、でも彼女の新聞も余り人気が無かったな……」

「そうよ、成功してない奴を成功例として出しても意味ないわ」

「けれども、僕は彼女の新聞が好きだよ。
 しっかり自信を持って僕は文々。新聞が好きだと言えるな」

「………………」

ガツンと金槌で頭を打たれた気分だった。
確かに今までの自分は一発逆転を狙って大きなスクープばかり求めていた。
それも大した手間も掛けずに、誰かの二番煎じで。

自分の仕事の何処に良い仕事だと誇れる部分が有っただろうか。
見当たらない、彼の言う良い仕事に当てはまる部分が一つも見当たらない。

はたては霖之助の方へ目をやる。
霖之助は先程水筒を出した鞄の中をゴソゴソと漁っているようだが、
どうもお目当ての物が見つからないらしい。

「参ったね煙管と言うか刻み煙草も火打石も忘れてきてしまったよ」

はたてと目があった霖之助が苦笑交じりにそう言った。
先程まで自分に説教を垂れていた男のはずなのに、何だかとっても情けなく思える。

「……貸したげる」

「ん?」

「私の貸したげるって言ってるの」

二回も言い直す羽目になりはたてはプイとそっぽを向きながら自分の煙管やその他の道具を霖之助に差し出した。

その後心のなかで「いい事教えてもらったお礼に」と付け加え、
小さくありがとうと言った。

文と比較されるのは悔しかったが、
確かに彼の言う通り彼女の方が仕事に関してよく動き回っている。

それに何より彼に認められている。

そうだ、文なんかに負けていられない。
まずは彼に自分の新聞を認めてもらう。

そう、彼に『良い新聞』だと言ってもらうのが先だ。
それが、自分の外に対する第一歩。

Comment

管理者にだけメッセージを送る

Pagetop ]

Copyright (C) 十四朗亭の出納帳 All Rights Reserved.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。