十四朗亭の出納帳

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十四朗

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小さな心遣い

某所で電波を受けて書いたアリ霖です。
珍しく霖之助さんの方からアプローチさせてみたり。

二人はこういう事の積み重ねで距離を縮めていけばいいと思うよ。



『小さな心遣い』


アリス、霖之助








目の前で眠っているアリス・マーガトロイドを、霖之助はただじっと見つめていた。
形の良い胸が規則正しく上下に動いて、彼女は静かな寝息を立てている。
つい先程まで会話をしていたのだが、
彼女から返事がないと思ってアリスの方を見てみると、彼女が眠っている事に気が付いた。

椅子に座ったままの姿勢だが、
器用にバランスを取っているので、ただ座っているだけの様に見える。

手は両方共しっかりと膝の上に乗っているし、首もだらしなく投げ出されていない。
寝る時まで平生の態度を崩さないとは、律儀な子だと霖之助は思う。

アリスの寝顔はとても安らかで、見様によっては微笑んでいる様にも見えた。
斜陽に照らされた彼女の金髪と白い首筋が何時もよりも強い印象を持って霖之助に訴えかける。

整った目鼻立ちよりもそれが一番霖之助の目を引く。
彼女の髪はシーズンを迎えた麦の穂によく似ている。

風に揺れる姿などまさにそうだ。
一つ一つが柔らかな風に弄ばれて、ふわりと揺れる。
きっと彼女は揺れる髪を手で抑えて困った風に笑うだろう。

久しぶりに、恐らく二週間と少しぶりぐらいに彼女が香霖堂へやってきた時、
彼女は酷く疲れている様に見えた。

「こんにちは」と言った言葉に力がないし、目付きも少し鋭い気がした。
霖之助はまず第一に彼女に着席を勧めると、温かいココアを用意した。

アリスはマグカップに淹れられたココアを二口程飲んでから、
ポツリポツリと自分が二週間何をしていたのか語り始めた。

どうやら彼女は二週間の間新しい薬草の調合について研究をしていたらしい。
眠りにつく直前にふと薬草の新たな組み合わせを思いつき、
ノートに書き留めたらしいがそれだけでは満足行かず、
薬草の調合から加熱による変化、及び時間経過による反応等々。

基礎的な実験を全て行ったそうだ。
それも昼夜を問わずに。

薬草は本来彼女の専門分野ではないが、
それでも彼女は暇な時によく薬草についての考察をノートに書いている事がある。

曰く、薬草学程趣味で研究して面白いものは無いし、日常生活の足しにもなるらしい。

そう言えば彼女が自分で調合したハーブティーを里に卸していると言う話を聞いた事が有る。
評判は中々で熱心なリピーターも何人か居るようだ。

一度冗談で「無償で人形劇をするぐらいなら、定期的にハーブを売った方がいいかもね」
とアリスに言った事がある。

「私の仕事じゃないわ。調合にはコツがいるけれど、教えれば誰にでも出来るもの。 
 私の仕事は、私の目標は人形に命を吹きこんであげる事。
 一人一人違うあの子達に、一つ一つ違う個性を吹きこんであげる事なの」

霖之助の言葉に彼女は笑いながらこう答えた。
仕事とは利益の出る行為だと霖之助が言うと、
アリスはこれまた笑いながら。

「それはおかしな意見よ。だって貴方の仕事も利益が無いじゃない」

なんて言って皮肉った。
この言葉に霖之助は強く反論したかったが、
悲しい事にそれを覆すだけの言葉が見当たらず、断念した。

だが今なら、彼女に言えそうだ。
「君の仕事じゃないのなら、どうして君はそこまで真剣に打ち込めるんだ」と。

それは酷く意地悪な言葉で、それを聞いた彼女はとても嫌な顔をするかもしれない。
聞くまでもなく、答えは決まっている。

彼女がそういう人種だからだ。
一つの事をやり始めたら、例えそれが自分の本分でなくともきっちり終わらせなければ気が済まない。
生真面目すぎると損をするよと言おうと思ったが、何だか彼女にそんな事を言うのは野暮な気がして止めた。

自分も彼女のそう言った部分と似た一面が有る訳だし、
何事にも真剣に取り組めるのは決して欠点ではない。

だがそれが度を過ぎて、くたくたになるまで自分の体を酷使している姿を見るのは少し不安だ。
恐らくこの二週間まともな生活をしていないのだろう。

いくら食事と睡眠を取らなくてもいい体とは言え、
それは平常時での話だ。

体力を使えば当然眠ったり、食事をしたりする事によって回復を促進する事が出来るだろうし。
何より精神的なリフレッシュにもなる。

それを心得ている彼女は毎日規則正しい食事と睡眠を欠かさないが、
こんな時だけは自分の体の便利な特性に頼ってしまうようだ。

それは彼女のペースだろうし、彼女だって自分の限界が分からない様な人物でもないだろう。
だが、そうして彼女が少し無茶をしている姿を思うと、
霖之助は何故だか不安になる。
少しの間、アリスが店に顔を見せないと何だか落ち着かなくなるのだ。

殆ど毎日の様に彼女は店のドアから顔を出して「こんにちは」と静かな挨拶をする。
そして必ずと言っていい程、その手にはバスケットが握られていて、
中には彼女が作ったであろう料理が入っている。

昼前ならばサンドウィッチかミートパイが。
昼過ぎならばクッキーやケーキがバスケットの中に用意されている。

彼女がそうした手土産を片手に香霖堂へ訪れると、
決まって霖之助は紅茶か珈琲のどちらかを淹れ、二人で食事なりお茶会なりを楽しむ。
ささやかだが、そうして彼女と過ごす時間は確かに幸せだと思える時間だ。

向い合って、何でもない事を話し合いながら太陽の傾きを気にすること無く時間を消費してゆく。

話し相手が居ない事を苦に感じた事は余り無いが、
彼女が居ないと少しだけ苦しいかもしれない。

霖之助は立ち上がって彼女に近づくと自分の上着を脱いでアリスの首からしたへそっと被せた。
もう時期も秋の半ばだ。
何も無しで寝ていたら体調を崩しかねない。

アリスの髪からは優しいシャンプーの匂いがした。
それから少しだけ香る香水の匂い。

その香りに気を惹かれてか、
霖之助は先程座ったまま見つめていた彼女の顔を近くでまじまじと見つめた。

細くしなやかな曲線を描いた眉に、長いまつ毛。
閉じられた薄い瞼の下には蒼く澄んだ眸が隠れているのだろう。

彼女の寝顔を見つめていると、服を被せた時に肩へやった手が彼女の肩に触れた。
しまったと思った時にはもう遅く、今まで見つめていた瞼はゆっくりと持ち上がり、
蒼い瞳が静かにその姿を現した。

始めはまどろんだ意識の中で、まだ夢の続きを見ているかのような表情をしていたアリスだったが。
霖之助が自分の近くに居ると理解した時、その瞳は見開かれ、驚きの色に染まっているようだった。

やってしまった、いったい何と言葉を掛ければいいか。

「あ、あの、どうかしたの霖之助さん……ん、私眠ってたのね」

「あぁ、おはようアリス。すまない起こすつもりはなくて、その」

「私の方こそごめんなさい。
 訪ねてきておいて、居眠りなんかしちゃって」

「いやいいさ、ほら研究で疲れているんだろう? 
 いくら眠りが必要ないとは言え、疲れているのなら眠るのが一番だよ」

「ありがとう。私なら大丈夫よ、少し寝たら気分がスッキリしたから」

精一杯冷静な表情を装って、霖之助が被せた上着をアリスはキュッと抱き締めるが。
自身の抱き締めた物が霖之助の上着だと分かると、
アリスは折角取り繕った冷静さをまた崩してわなわなと慌てた。

「上着、被せてくれてたんだ……」

「こんな季節だから、何か上に有った方がいいと思ってね。
 手頃なものがそれぐらいしか無かったんだ、いやもっとしっかり捜すべきだったよ」

「ううん、いいのよ。お礼を言うのは二回目だけれどありがとう。
 霖之助さんの上着温かいわ。今まで霖之助さんが着ていたせいかしら」

「嫌だろう? 他人の体温が有るのは」

「そんな事……ないわよ」

沈黙が互いの間を駆け抜けた。
次に何を言おうか、または何をすべきかまったく頭の中に浮かんでこない。
寝ている彼女を見つめていた時にはあんなによく考えが浮かんだのに、
いざ起きている本人を目の前にすると何だか不思議なものだ。

「新しい飲み物でも用意しようか? 
 温かい飲み物でも飲めば少し気分が落ち着くと思う」

「うん、お願いするわ」

「リクエストは有るかい」

「熱い珈琲を、ミルクは要らないわお砂糖だけで結構」

静かに頷くと、霖之助は急ぎ足で店の奥へと向かった。
廊下を渡り、台所へ到着すると大きく息を吐き出す。

それから自分の柄にもない態度に笑ってしまった。
アレ程自分が滑稽な反応をしてしまうとは、面白いものだ。

彼女と目と目が合った時に胸の中が跳ね上がりそうになり、
そして頭の中が一気に加熱した。

会話だってちぐはぐだったし、アリスもそんな霖之助を不審に思っているに違いない。
まったく、とんだ御笑い種だ。

ざわめく胸の内を沈められないまま、霖之助は湯を沸かす。
だが、この胸のざわめきはそんなに悪い物でもないように思えた。

心地良い刺激とでも言おうか。
とにかく、彼女と顔を合わせ辛いと思う反面、
早く珈琲を用意して彼女の元へ戻りたいと思う気持ちが強くなっていくのが感じられた。

それは確かに熱を帯びた感情で、混じり気のない純粋な感情であった。

Comment

アリスには、魔理沙や霊夢達に無い霖之助の気を引く『何か』を持ってるような気がしてなりません(雰囲気とか?

それくらい話の流れが自然に感じます。

霖之助ファイト!!
  • by:G
  •  | 2010/10/20/00:18:04
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「良い友人」からなかなか距離が縮まらないのがアリ霖の特徴ですよね。




〉形の良い胸
やはりアリスは美n(ピチューン
  • by:
  •  | 2010/10/20/19:51:01
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