十四朗亭の出納帳

アニメの感想、ゲームホビーの感想など 作品のジャンルにこだわらず書いていく予定です,SSとか書いてます

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十四朗

Author:十四朗
(じゅうしろう)と読みます
ロボとか好き東方も好き
趣味の守備範囲は日々拡大中
東方の霖之助SSが主流です
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買い物の意味

結局日付変わっちゃいましたよ
今回は我が二個目のジャスティス、鈴霖で行ってみようとしたけど無理でしたとさ

うどんげは結構皮肉屋な性格してますよね花映塚の時とか
勿論そんなのは無理なのでナヨナヨ優曇華院です


『買い物の意味』




霖之助、鈴仙・優曇華院・イナバ

里と魔法の森の境目にある古道具屋香霖堂。

いつも気難しそうな顔を浮かべ四六時中いろんな物について
考えている変わり者の店主が居ると評判の店だ。

そして今日彼が考えていた事は店の経営の事でも、
付けを払わない知り合いの事でも、商品についてでもない

今夜の夕食のについてだった。
決して店の経営に困って今夜の夕食をしたくするお金すらないと言う状況ではない

むしろ選択肢が多くて困っていたのだ。
香霖堂の勝手口を覗けば大量の野菜が転がっているし干し魚も干してある、
備蓄の米や味噌、醤油、酒なども豊富にあり生物を除いて一月程度なら食うに困らない。

そう、今彼が困っているのは夕食の選択肢が広すぎるからなのだ、
酒のつまみ程度の料理でも生きて行ける彼だが食事は大切らしい
これをきっちりと取っていれば妖怪特有の心の病に罹りにくくなるそうだ。
もっとも彼自身体質上人間妖怪双方の病気に罹りにくいのだが。

そんな訳で今カウンターの椅子に腰掛け
眉間に寄る皺など気にせず夕食を考えている青年の頭の中は様々な献立が飛び交っていた。
オーソドックスな三菜一汁タイプの夕食がいいか、
そろそろ暑さが鬱陶しいので具沢山のぶっかけうどんか、
暑さの意表をついて野菜をふんだんに使った味噌鍋か。

彼の中で一つの献立が浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返していた。
そして彼の思考がある一つの料理で止まった、その料理とは

「……………兎鍋」

兎はそこら辺にいるだろうし鍋の食材なら揃っている
このまま客が来ないのであれば兎狩りに出かけよう、霖之助はそう考えた。
だがこの考えはすぐに消えて無くなる事になる。

―――――カランカラン

静かにドアに設置したベルが鳴った。
霖之助が珍しく自発的に出かけようと言う時に客が来たので
彼は少し面喰らったがすぐに平静を取り繕っていらっしゃいっと一言声をかけた。

そこには腰まで届くミディアムパープルの髪と長い萎びた様な兎耳
服は衣替えの季節なのかいつものブレザーではなく涼しげなブラウス姿の少女が立っていた。

「こんにちは店主さん、いつも通り洋服を見せていただいて構いませんか?」

「あぁ、いいよ。ついでに買って行ってくれると助かる」

やって来たお客は霖之助が知っている顔で自称月のウサギ名を『鈴仙・優曇華院・イナバ』と言う、
彼女は竹林にある永遠亭で薬師の八意永琳の弟子として働いている。
そんな彼女の背中には大きめの薬箱が背負われていて
彼女が里に薬を売りに言っていたと一発で分かった。

「今日も大変だね、永遠亭から人里まで結構あるだろうに」

「もう慣れましたよ、それに飛んで行けばすぐですから」

笑顔で答える彼女だが彼女の評判は里ではあまりよくないらしい、
なんでも気がついたらふらりと現れていて売り終わると音もなく消えていて気味が悪いそうだ。
今笑顔で霖之助と会話をしている彼女からは想像できないことだが。

思えばこの香霖堂に彼女が始めて来た時もそんな風だったような気がする、
挨拶と置いてあるものを聞いて気に入った物があれば勘定を済ませる。
会話なんてその中で挨拶と質問くらいだった、だが顔を合わせるうちにそこそこ親しくなり
今では世間話や冗談を交えて会話する程度には
親しくなっったつもりで霖之助はいるが彼女の本意は定かではない。

「では早速失礼します」

「あぁ、最近は新しい品を入れたからごゆっくり」

そう言うと霖之助はカウンターの手頃な本を広げるとそのまま視線をページに落とした

「あの店主さん」

「ん?なにかな」

不意に鈴仙が自分を読んだので彼は顔を上げる。

「御夕飯は兎以外がいい思います」

どうやら兎が危機を知るために大きな耳をしていると言う話は嘘ではないらしい、
この日の香霖堂の夕食の献立に兎鍋が消えた。




(こうして定期的に商品を買って来てくれる彼女は実にありがたいな、
 あの子達にも見習わせたいほどだ。)

あれでもない、これでもないと楽しそうに洋服を選ぶ鈴仙を見て霖之助はそう思う。
一部の店の物を私物化し勝手に物を持っていく人間は本来追っ払うべきなのだが
あの子達にはどうも強く出れないので霖之助にはこうして心の中で毒づくしかない。

「ほぉう、それを手に取るとはお目が高い」

「え?これですか?」

ふと鈴仙が一着の洋服を手にした時に霖之助がカウンターから声をかけた。
霖之助の方を向いた鈴仙は一瞬だけ霖之助と目を合わすとすぐに顔の向きだけ固定して
視線をそらしてしまった、そんな彼女を不思議に思いつつも霖之助は続ける。

「それは最近修繕したばかりの物でね、
 これからの季節に合わせて通気性の良い生地を使用してある」

鈴仙の手にした洋服は胸元に一輪の花をあしらったワンピースタイプの洋服で
シンプルな白色が清潔感を出していて彼女の様な女性に似合いそうだった。

「そうですね、でも私…………」

「時間があるなら好きなだけ悩むといい。
 質問があれば僕に言ってくれ、お得意様の相談なら大歓迎だ。」

「はい!店主さん」

気持のよい笑顔だがさっきと同じように目線は霖之助の目からややずれている。

彼女のこの癖は彼女が香霖堂に初めて客としてやって来た時からのもので
初めの内は霖之助もよく知らない男と目を合わせるのは抵抗があるのとばかり思っていたが
店の常連として親しくなってからも彼女はこうして目を合わせようとしない。

「苦手なのかい?目線を合わせて喋る事が」

「え?あ、あぁはい」

突然そう質問され視線を右往左往して慌てる、
自分で意識していた事なのか鈴仙の反応は実に面白いものだった。

「恥ずかしい事なんですが私人の目線があまり好きじゃないんです、特に目と目が合う事が。
 なんていうか………私の目って変ですから。
 だからこの店はとってもお気に入りなんです…………人の目が少ないので。」

俯いた顔から覗く彼女の瞳は透明感のある赤色で、
燃えるような赤と言うよりは宝石の静かな赤を思わせる、
今まで彼女が目を合わせてくれないのできちんと見つめた事はなかったが中々美しい。
霖之助の感性での話だが

「そうかな?僕には綺麗な赤色の瞳に見えるけどね。」

肩を落とした鈴仙を慰めるように彼は自分の率直な意見を口にする。
彼女自身自分の瞳をどう思っているのか知らないが彼にとっては別に気にならない事らしい。
 
「そもそも赤は魔除けの色だ、地蔵の前掛けや神社の鳥居。
 聖なる場所には必ずと言っていいほど使用されている、
 それに赤は『生』の色、つまり人の血潮だね。
 こう言うと血生臭く聞こえるかもしれないが血液は生き物の根幹だ、
 生き物の体は血潮が通う事で温かさや俊敏さを得るそれはつまり………………」

「あ、あの!店主さん?」

「おっとすまない、医学関係の仕事をしている君に態々こんな事を言わなくて良かったね」

「いえ…………そうじゃなくって」

「まぁ、人気が少ないと言うのは少々不満だが
 店の雰囲気を気に入ってくれたと言うのなら好きなだけ見ていくといいよ」

「人気が少ないだなんて私言ってません!そんな失礼なこと言いません!
 ………………でもありがとうございます、きっと何か買っていきますね。」

膨れたような、照れたようなお礼を言うと霖之助から勧められた洋服を体に当てたり
生地を触ったりして品定めを始めた。

「別に無理に買わなくていいんだがね…………」

そんな彼女の様子を見て霖之助は安心したのか再び読みかけの本を手に取る。
霖之助の言葉を受けてだろうか、
さっきの彼女は逃げ腰ながらもしっかり霖之助の目と合わせくれていた。




「うーーーどうしようかなぁ」

霖之助が好きなだけ見ていくと言いと言ってから半刻ほど、
鈴仙はいまだに決めあぐねていた。

すでに日は沈みかけで霖之助の頭の中でも夕食は釜飯に落ち着いたころだと言うのに
彼女の頭の中ではまだ決まっていないようだ。
見れば彼女は先ほど霖之助が進めた洋服をいまだに手に取って悩んでいる様子で、
他の服を手に取って比べてみてはこれでもない、これも違うと頭を抱えている。
流石に見かねたのか霖之助は読み返していた本をカウンターに置くと彼女に声をかけた。

「無理に買わなくていいと言っただろう?君の気持はありがたいが」

「大丈夫です、無理なんてしてませんよ。ただちょっとこの服が気になるんです」

「だからそれを無理だと言ってるんだよ」

「私にこの服似合いますか?」

「君の体形ならどの服でも似合うと思うよ」

「そうじゃありません!!」

見当違いの方向の答えを返されてぷっくりと膨れる彼女を尻目に彼は続ける。

「大体君がこの店で買っていった服を着ている所を僕は見た事が無いよ。
 君の休暇の日にあまり会わないのも原因かもしれないが」

「うぅ、それはぁ………」

「それは?」

言いどもった彼女は言い出しにくいのか洋服を抱えたままもじもじしている。
元からしなだれた耳は更にしなだれて彼女の顔を隠すように顔に被さった状態で
彼女がいかに困惑しているのかが見て取れた。

「じ、実は私………こういう服あんまり着た事無いんです!」

「なんだって?」

「ですから言葉のままです!こっちに来てからそんな事をしている余裕が無くって、
 大体変じゃないですか?急にこんな服着ておしゃれするなんて」

「まぁ確かに。急激な変化は周りを困惑させるものだが」

「きっと皆からからかわれるに決まってます!」

「はぁ………ならなぜ君はこの店で服を買って行くんだい?
 君の言い分だと買っていった服は着てないみたいだし」

「……………い、いつかは着てみるんです!一人前になったときとかなら
 好きな服を着ても誰にも文句は言われませんから!」

ようするにいつか着るから買いだめをしておくと言ったところか、
どうやら彼女は気に入った物があると不必要でも手元に置いておきたくなるタイプらしい、
だがこれは余り利口な策とは呼べない。
彼女がいつ一人前になるかは分からないが少なくても向こう十年は無理だろう。
そんなに時間がたてばその時の服の趣味も違うだろうし長い時間は衣服にもよくない、
黄ばみや色落ち、虫食いなどで洋服と言う物は着なくても自然に駄目になってしまうのだから。

「道具は使ってこそ道具、服は着てこそ服だよ。
 僕も昔裁縫なんて面倒で服なんて道具屋の仕事じゃないから嫌いだったんだが
 服を治してやって喜ぶ連中が意外に多くてね」

「驚きました、意外と普通の感性をお持ちなんですね」

「半分半分だからバランスがいいのさ。
 それに僕は修繕した服を受け取ったた時の笑顔と感謝の言葉より
 治した服が着られているのが一番嬉しいね、道具もだけど。」

「やっぱり変です」

少しでも見直した自分が馬鹿だったと言うような顔をしている鈴仙だが
霖之助の話がいくらか響いたのか先ほどまであれやこれや悩んでいた他の服は全て掛け直して
彼お勧めのワンピースを手にカウンターへ差し出してきた。

「一応着る為の努力はしてみます、ちょっぴり不安ですけど」

「その意気だ。そうだね値段はこのくらいかな」

パチパチパチッと馴れた手つきではじき出されたソロバンの値は鈴仙の予想よりだいぶ少ない。

「使ってくれると言うのならこの値段かな、もし今まで通りと言うのなら………」

「うぅ…………分かりました、使いますからその値段でお願いします」

「まいどあり」

霖之助はお代を受け取ると馴れた手つきで畳むと丁寧に紙袋に詰める、
それから紙袋の上を2回折ってから鈴仙に渡した。

鈴仙は紙袋を受け取ると一度深々とお辞儀をし

―――――お買い上げありがとう、またのご来店を

っという霖之助の言葉に背中を押されて店を後にした。



帰り道の鈴仙は魔法の森の上空をいつもより遅いスピードで木々すれすれを飛んでいた。
店主の言葉に押されて買ってみたはいいがいざ一人になると
どういうきっかけで着ようかだとか、いつもと違う自分を見てからかうであろう
てゐの追っ払い方が頭の中を巡って速く飛ぶ気になれなかった。

ひとしきり悩んで魔法の森の上空を飛ぶのもそろそろ終わりが見え始めた頃
ふと一つの事を思いついた、
それはどうやって彼に買った服を着ているかを見せるかと言う事だ。

今回のように仕事の帰りに寄り道として香霖堂による際には服は着ていけない。
何故なら彼女がいつも来ている服はいわば永琳の弟子であるという証しの制服であり
仕事中はこれを着用する事を義務付けられている。

基本的に里からの帰りに香霖堂に寄る彼女にとって私服を着て香霖堂に行く機会は無い、
つまりは休日に香霖堂へ買い物をしに行くしかないという事だ。

別に休日に香霖堂へ行くのが嫌なわけではなかったが
態々お披露目しに行くという行動が妙に気恥かしかった

「ちょっと行きずらいなぁ…………まぁいいか」

言葉と共に速度と高度を一気に上げる、ここからは本気で飛ぶようだ。
風にたなびく長い髪と長い耳、月明かりを受けた彼女の赤い目は妖しく輝いて見える、
きっと空の上のそのまた上の夜空に浮かぶ月が満月に近いせいだろう。

月光の帆に受けて彼女は永遠亭へ矢になって飛んで行った。

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