十四朗亭の出納帳

アニメの感想、ゲームホビーの感想など 作品のジャンルにこだわらず書いていく予定です,SSとか書いてます

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十四朗

Author:十四朗
(じゅうしろう)と読みます
ロボとか好き東方も好き
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写真だけ夫婦

比較的短いサイクルで出来ました
でも数日掛かってます、二日で仕上げる人は化け物じゃなないのか!
紫さんだとどうしても甘くしたくなるそんなジャスティス


『写真だけ夫婦』



霖之助、紫

「お茶が無くなっちゃったわ、霖之助さん」

「おかわりは自分で頼むよ、今作業が大詰だから手が離せない」

退屈そうな紫の声にもっともらしい言い分で返すと霖之助はそのまま手元に目線を戻した
彼がいま弄っている道具の名称はカメラ、用途は像を写す事
この道具自身の使い方ならば彼が新聞を購読している天狗、
『射命丸文』が使っている所を何度も見たので分かるのだが
今回の彼は使い方ではなく治し方に苦戦をしていた。
そもそもなぜ彼がカメラを弄っているかと言えばあまり深い意味はない
昨晩彼が店じまいをする時に偶々目に着いた商品がカメラだった、それだけだ
そのカメラは香霖堂に置いてあるカメラの中でも比較的新しい部類に入るもので
一度霖之助が修理をしようと試みたが駄目だったのでそのまま放置しておいた物で、
いわばリベンジと言う事になる。
前回はカメラの構造について全く知らない状態からのスタートだったが
今回は違う、最近知り合った河童との意見交換や今朝久しぶりの新聞を届けにきた射命丸から
構造についてのヒントを得て挑んでいる、
現に今の霖之助の手元には綺麗に分解されたカメラが
古い文々。新聞の上に並べられ修繕されていた。
その隣で紫が「冷たい」だとか「妖怪は退屈だと死んじゃうのよ」
だとか文句を言っているが彼の耳には入っていない。

――――あと少し

そう心の中で呟く、そして次にはめ込む部品を掴もうとした時異変に気づいた。

「ん?………ない」

さっきまで古新聞の上に置いてあったはずの部品が無い
自分の足元や両脇、背後などを確かめたがやはりない。

(と言う事は………)

「紫」

「あーらやっと構ってくださるのね?待ちくたびれちゃったわ」

スキマから半身を出した紫が霖之助の探していた部品『レンズ』を日の光にかざす、
レンズは日の光を浴びてキラキラ光った、それが眩しいのか部品を取られたのが気に入らないのか
霖之助は眉間に皺を寄せるばかりだった

「頼むからそいつを返してくれ、それが無いとカメラが成り立たないんだから」

「こんな物があるから私とあなたのコミュニケーションが成り立たないのよ」

「いいかい紫?カメラと言う物は光の中にある色を閉じ込めるものなんだ
 だが光が持っている色は光を集めないと捉える事が出来ない
 つまりカメラの第一弾回であり重要な仕事をするための部品なんだ
 それが無いとこの道具はカメラになれないんだよ」

「80点ってところかしら?あなたの理論
 光を使うのは間違っていないのだけれども  
 まぁそんな事どうでもいいわ、貴方がカメラを完成させようが完成させまいが私は暇なの」

「はぁ、そうかい」

紫の言い分に軽くため息をつく、そうでもしないとやっていられない

「でももうすぐ終わるよ、後は組直せばいいだけだからね。
 本来なら君とこうして話している時間で終わったんだが」

「そう言う事はもっと早く言うものよ、はい返してあげるわ」

すぐ治ると聞いた途端に文字通り掌を返してレンズを返した、よっぽど構って欲しかったらしい
霖之助は返してもらったレンズと本体の部品を組直し自身の言葉通り数分で組直した

「ホントにすぐだったわね」

「商人は出来ない納入の約束はしないものだ」

「普段商売意欲の無い貴方がいまさらそんなこと言っても説得力に欠けるわ。
 それで、私をほったらかしにしてまで治すしたかったカメラで何を撮ろうって言うの?」

その一言に霖之助は顎に手を当てたまま固まってしまう
元々偶然目に止まった物を治しただけだ、新しく写真を始めようとかそんな気はない。
大体この店には現像をするための道具が無い
射命丸辺りに頼めば現像くらいしてくれそうだが
彼女が新聞を持ってくる度に現像を頼むのは少々厚かましい気もする。
つまり霖之助には写真を撮る気が全く無い、治したいから治しただけなのだ

「うーんこれといって無いね、ただ治したかっただけだよ」

そう言った瞬間微かに紫の表情に怒りの様な物が見え気がしたが彼の気のせいだろう
紫は治ったばかりのカメラを見つめしばらく何かを考える
そして彼女は治ったばかりのカメラを手に取ると彼にこう言った

「だったら私と撮らない?治った記念に治した時の自分とそれを見ていた人を撮るの」

「ふーむ別にかまわないよ、でも撮るのなら二人一緒は無理じゃないのかい?
 一人はカメラのシャッターを切らなければならないわけだし」

「あら?セルフタイマーをご存じないの?」

「初耳だ」

紫はやれやれと行った様子で霖之助にセルフタイマーを説明した
本来なら教えられるだけの道具の使い方を嫌う霖之助も今回は真面目に聞いている。
どうやら道具そのものではなく道具の一部機能位ならいいようだ
早速使い方を教えてもらったセルフタイマーをセットすると二人のいる位置から少し離れた所に置いた

「これでよし。紫もう少し寄ってくれないか?」

「ねぇ霖之助さん、こういうのは男性が立って女性が座るのではなくて?」

「早くしないと時間の方が………」

パシャ!

まだ並んでいない二人にむかって軽快なシャッター音が鳴った
だが霖之助は椅子に座ったまま、紫は霖之助の隣でスキマから半身を出した状態だ
これをちゃんと撮った写真と言うには無理がある。
紫はそれに不服なのかジト目で霖之助を睨んだ

「別にいいだろう?これが僕の普段なんだ、いまさら無理する必要もない」

「それでは駄目よ。もっとちゃんとした並びで撮らないと」

「だがもう撮ってしまったじゃないか、僕は別にこのままで構わないよ」

「駄目と言ったら駄目なの。いいから貴方は立ちなさい私がその椅子に座るから」

紫がきつ目の口調でそう言うので霖之助は仕方なく彼女に席を譲る。
彼が立ち上がると紫が満足げな顔で椅子に腰かけた
霖之助は十歩程離れた位置に設置したカメラのタイマーをやや長めにセットしすぐに紫の隣へ戻る
そして座っている紫の隣に立ち紫の肩に手を置くとシャキっと背筋を伸ばしカメラの方を見据えた。
一方の紫は肩に手が触れると一瞬ピクっと動いたが霖之助と同じように背筋を伸ばし、
しっかりとカメラを見据えた。
構図を変える為にさっきより長く設定したタイマーの時間が妙に長く感じられる
そしてしばらくの沈黙の後さっきと同じ軽快なシャッター音が鳴った。

「これで満足かい?」

「えぇとっても。ところでそのカメラは商品にするつもりなの?」

「うーん今の所非売品かな。売ったとしても結構な値段にすると思うよ」

「あらどうして?記念品だからかしら」

その言葉に対して霖之助はハッキリと首を横に振った

「まともに動くカメラは少ないからね。それを最大限に生かせそうなお客が来るまで非売品だよ」

「それなら当分は無理ね」

溜息をついて呆れる紫に不服ながらもお茶のおかわりを差し出す。
霖之助が熱中していたカメラは治りその用途を果たした、
つまり今日彼がやろうと思っていた事は全て終わり
いつもなら暇な時間が待っているだけだが今日は違う。
紫が来ているし珍しく外の道具が思い通りに治って気分がいい

(さて、これから何をするべきか)

そこまで考えて霖之助はさっきの写真の構図についてある事を思い出した

「そう言えば紫」

「何かしら?」

「さっきの写真の構図なんだが。
 昔僕が霧雨店に従事してた時にあんな構図の写真を見た事があるよ」

「魔理沙の七五三の時の写真かしら?」

紫が茶を啜る。相変わらず物腰一つ一つが上品だ

「残念ながら外れだ。霧雨の親父さんと霧雨の女将さんだよ」

「んっ!………っけほ!っけほ!!」

先ほどまでの優雅な振る舞いを台無しにするかのように紫が噎せ返る、
勢いよく噎せ返ったおかげで結構な量のお茶が飛び散った。
霖之助はそんな彼女の背中を慌てて擦ってやった

「大丈夫かい?慌てて飲むから」

「え、えぇ大丈夫よ。ただちょっと」

「ほら、どこか濡れなかったかい?待ってるといい今手拭いを出すから」

彼はカウンターに引っ掛けてあった手拭いを手に取り彼女が噴き出したお茶を拭く
お茶は彼女の衣服のいたる所に飛び散っており豪奢な彼女の服が台無しだった。
急に自分に近づいてきた霖之助に紫は困惑しているようだ

「あまり行儀がよろしいとは言えないな。急にどうしたんだい?」

「ごめんなさいね、別に何でもないわ。それに拭いて貰わなくても自分でするから……」

「僕の話が原因ならこれぐらいはするさ。他は大丈夫だったかい?」

「もうすっかり大丈夫よ、だから」

「っと、頬の方にまだ付いてるじゃないか。ほらこっちを向いて」

「って、霖之助さん!ちょっと!」

慌てる紫を御して彼女の頬を拭きとる、
その時に紫の顔を手でこちらに向かせる形となる
お互いの顔が近くにあり目と目が合う距離。
柄にもなく慌てている紫をよそに霖之助はさっさと拭き取ると、
彼女に台無しになったお茶のお代わりを準備し始めた

「もぅ!貴方は恥ずかしくないの?」

「何が?」

「もう知らないわ!」

霖之助の顔からプイッと顔をそむけると淹れなおされたお茶を彼の手からひったくった。
急に態度が変って突っ放なされたので少々困惑した霖之助だが
いつもと違う紫の態度を楽しんでいるようだ。
もっともそういう態度が紫の心に油を注ぐことになるのだが。




後日、頼んでおいた写真が届いた。
届けにきた文に思いっ切りからかわれた霖之助だったが
写真の出来を見てそんな事はどうでもいいと思えた。
所信には当然自分と紫が映っている重要なのはそこではなく二人の表情だ。
霖之助自身は無表情のつもりで撮った気でいたが、
写真に写っているのはいつもの仏頂面ではなく
口元に穏やかな笑みを造って紫の傍らで彼女の肩に手を置いている自分、
そして紫も口元に笑窪を作り笑っていた。
写真に納得した彼は早速、使っていない写真立てを引っぱり出してくるとその中に入れて
店のカウンターの上に飾る事にした。


Comment

#No title
ほ、ほほえましい…
  • by:
  •  | 2012/02/26/10:10:16
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#No title
ニヤニヤが止まらない
  • by:
  •  | 2012/03/19/17:26:07
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