十四朗亭の出納帳

アニメの感想、ゲームホビーの感想など 作品のジャンルにこだわらず書いていく予定です,SSとか書いてます

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十四朗

Author:十四朗
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ロボとか好き東方も好き
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東方の霖之助SSが主流です
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猫結び

浅村さん(ピクシブなのでアカ無い人ごめんなさい)が、
「猫と戯れ少女シリーズ」なんて事を言っていたので、許可を頂いてアリ霖で書いてみました。

久々にアリ霖書くと潤います。
潤うぜぇ~


『猫結び』


アリス、霖之助




ごめんください、っと一言声を掛け、アリス・マーガトロイドは香霖堂のドアを潜った。
半分ほど迎の言葉が飛んでくると期待していたが、
そんな言葉は欠片も聞こえず、代わりに聴き慣れたドアベルの音がアリスを迎え入れた。

もはや溜息すら出なくなった光景にアリスは一人頷くと、
手に持っていたバスケットをカウンターへと置き、
何時もは魔理沙が腰掛けている大きな壺へ腰を下ろした。

数日前にここを訪れた時と商品の種類は変わっていないように見える。
当然の事なのだろうが、この店は店主の仕入れによって大きく品揃えが変わる事もあるので、
次の日来た時には見た事もない道具が商品として並べてあったなんて言うのは、よくある話だ。

パソコンと呼ばれる、(彼曰く)外の世界の式神や、
テレビと呼ばれる、(彼曰く)千里眼を誰でも使うことが出来る道具や、
冷蔵庫と呼ばれる、(彼曰く)夏でも食材を痛めずに保存することが出来る道具が、カウンター付近に並べられ。
その他の雑貨や、小さな道具は棚へと陳列されている。

もっとも、この店の商品はここに並べられている品だけではなく、
裏にある倉庫にも大量に置かれている。

目当ての物が店に無くとも、店主に言えば倉庫から出してきてくれるので、
品揃えに関しては不足ない店と言える。

店の奥から店主が出てくるのを壺の上に腰掛け、
足をパタパタさせながらゆっくりと待つ。

今日はいいカボチャが手に入ったので、差し入れはパンプキンパイにしてみた。
自然な甘みで余りしつこくないカボチャ味のカスタードを、
パイ生地に流しこんで焼くシンプルなお菓子だ。
今日は仕上げにホイップクリームを少々上に乗せてみたが、見た目もよく出来は中々だと言える。

これなら誰に食べさせても恥ずかしくない出来だ。

きっと店主も喜ぶだろう。
アリスはそんな事を考えながら頬を綻ばせた。
早く店の奥から出てこないものだろうか。

その時、カウンターの上に置いたバスケットがガサゴソと揺れた。
店の窓は閉めきっているし、当然アリス自身も触れてはいない。
店に店主の姿はない。

なら一体誰が?

アリスの頭の中で『バスケットが独りでに揺れた』と言う現象の謎が、
徐々に大きな波紋となって広がってゆく。

そんな心の揺れを収めようと、アリスは立ち上がりカウンターに置いたバスケットを調べる。
だが、その答えは実に呆気ないもので、少し意外なものだった。

「猫?」

そう、猫がいたのだ。
カウンターに置かれたバスケットに前足をひっかけてジャレついている。
体の大きさから見て子猫だろう。

少し暗い灰色をした猫で。
目はアリスと同じ青色をしていた。

子猫はアリスを見つけると、バスケットの影に身を隠しおずおずと様子を伺った。

初めて見る顔に警戒をしているのだろう。
小さな体を必死に縮ませて、アリスの視線から逃れようとしている。

アリスの頭の中には最初。
何故ここに子猫が居るのか?
霖之助が拾ってきたのか?
等と言う疑問が浮かんだが、子猫のこんな姿を見ていたらどうでもよくなって来た。

何せ子猫が可愛い。
助けを求める様にキョロキョロと辺りを見渡す子猫は、
アリスの母性を擽り何とも言えない気持ちにさせる。

堪らずアリスは猫に「おいで」っと笑顔で手を差し出した。
すると子猫はアリスが害をなす者では無いと理解したのか、少しずつだがアリスに近づいてきた。

アリスは人差し指を子猫の差し出して様子を見る。

「貴方どうしてこんな所に居るの?
 ここの店主さんに拾われてきたのかしら? それとも迷い込んじゃったの?」

猫が言葉を話さないのは分かっていたが、思わず声を掛けてしまう。
小さな子に語り掛けるようにアリスの声は優しく、甘い。

もう子猫はアリスを警戒していなかった。
その小さな前足でアリスの指にじゃれつく。

柔らかい肉球と、まだ生えきっていない爪が指に当たり少しくすぐったい。
少し指にじゃれ付かせたら、今度は思い切って抱き上げてみる。

両手で優しく包み込むように、その体を抱き上げて胸の方へ引き寄せてみた。
すると子猫は抱かれたアリスの胸の中で甘える様に、モゾモゾと動くのである。

こんな仕草は反則だ。
これを可愛くないなんて言えるはずが無い。
アリスは満面の笑みで子猫に接する。

「にゃーにゃにゃー♪ 迷子の迷子の子猫さん~♪ にゃーにゃー♪」

「楽しそうで何よりだよ。アリス。」

「~~~~~ッッッ!!??」

瞬間店内の空気が凍った。

alice2.jpg


アリスは笑顔で子猫を胸に抱いたまま、状況の整理が追い付かず固まる。
見られた? 誰に? 霖之助に? 
まだアリスの頭の中は冷静にならない。

「その子に飲ませるミルクを持ってきたんだ。悪いけどその子を下に降ろしてくれないか?」

霖之助のその言葉に、アリスはぎこちなく頷くと、子猫を床へ降ろした。
子猫は床へ降りると、トテトテと霖之助に駆け寄り、足に頬ずりをする。

「ど、ど、ど、どこから見てたの?」

やっとの思いで振り絞った声は震えていて、何時もの声量が出ない。
恥ずかしい、あんな姿を見られて物凄く恥ずかしい。

「貴方どうしてこんなところに……」

「あぁぁぁぁぁ! もういいわ! もう結構! 大体分かったから、もう結構よ!」

赤い顔で両腕をバタバタさせ霖之助の言葉を遮る。
何もさっきまでの言葉をを復唱しなくてもいいのに。

再加熱したアリスの頭はまたしても冷静な判断を失ってゆく。
今まで積み重ねてきたイメージが、しっかりものと言うイメージが崩れていくのが自覚出来た。

「うぅ……」

「そんな目で見ないでくれよ。この子が怯えるじゃないか」

「知らないわよ、もう!」

霖之助がミルクの入った皿を床に置くとペロペロと舌で舐め始めた。

「まぁ、君の少し意外な一面も見れたことだし、この子の話でもしようか」

「そ、そうね。一体どうしたの? 拾ってきたのかしら」

「ビンゴ。その通りだ」

霖之助はカウンターにある自分の席へ腰掛けると、アリスにも着席をすすめる。
アリスはそれに従い、先程自分が腰掛けていた壺の上へ腰を降ろした。

「今日の午前中に無縁塚の方へ、供養を行ったんだが」

「仕入れね」

「供養」

アリスが訂正するように言うと、霖之助がまたそれを訂正する様に言った。

「今日は中々いい供養の報酬品がなくってね。仕方なく適当な小物だけ拾って帰る事にしたんだよ。
 そしたらその帰りに、道端でうずくまっているこの子を見つけたんだ」

なるほど。
話の筋は大体分かった。

霖之助は今日無縁塚へ仕入れに行ったはいいが、めぼしい物が無く、
少々落ち込みながら帰路についたが、その途中で捨てられたか親猫とはぐれたこの子を見つけたという訳だ。

「意外だわ。貴方が子猫を助けるような人だったなんて」

「僕は博愛主義なんだ」

「ないない、それはない」

一心不乱にミルクを舐め続ける子猫を視界に捉え、アリスはこう続けた。

「ここで飼うの? それとも飼い主を見つけるのかしら?」

「野生に帰れるのならそうさせたかったんだけど………おそらくもう無理だろう。
 この子は人を知り過ぎてしまった」

「確かにそうね。もう自然には帰れそうにないわ」

野生の世界は厳しい。
それは古今東西変わらない不文律だ。
捕食される、怪我を負う、獲物に有りつけず飢える。
あらゆる物事が重く、そして厳しくのしかかってくる。

もし、霖之助がこの猫を大人になるまで面倒を見たとして、
温室育ちの猫がそんな厳しい世界で生きて行けるのか?
ましてやただ野獣ではない妖怪が闊歩する幻想郷で。

答えはNOだ。
何処までも無慈悲で残酷なようだが答えは変わらない。

「しばらくは里で飼い主を探してみようと思う。
 もしかしたら引き取ってもいいと言ってくれる人が見つかるかもしれないしね。
 もし見つからなかった場合は………」

「貴方が飼うの?」

「まぁ、最後の手段だけどね。そうだアリス」

霖之助がコホン、っと小さな咳払いをしてアリスに問いかける。

「君にこの子を飼うつもりはないかい?」

飼うつもり………
悪くはないと思うが、この子を飼うとなると少しアリスの家では問題がある。

この子が大きくなってくると、アリスの家に置いてある人形や研究材料にイタズラをするかもしれない。
もし、この子がおとなしい猫で、イタズラなどしなくても、
アリスは研究の為に一月以上研究室に篭る事はザラだ。

その間まともに構ってやれないとなると、この子も寂しい思いをするだろう。
そう考えると、アリスはこの猫の飼い主に余り相応しくない事になる。

「せっかくだけれどごめんなさい」

あえて理由は告げずに、柔らかくその誘いを断る。

「そうか。すまないね、押し付けるような事を言ってしまって」

「ううん、いいの。誰だって飼い主の決まっていない子猫が居れば、
 目の前にいる人に飼えないかどうか聞くもの」

二人とも少し肩を落とし、黙り込む。

香霖堂に迷い込んだ小さな、家無しはそんな二人を不思議そうな目でじーっと見つめた。

「そうだ、私パンプキンパイを作ってきたの。よかったらそれでも一緒に食べながら今後の相談でも」

アリスが沈黙を柔らかく破る。
自然に会話の緒を掴んだおかげか、霖之助も「それは名案だ」といい賛成した。

アリスはカウンターの上に置いたバスケットの中から、
円形のパンプキンパイを取り出すと、
同じくバスケットの中に入れておいた小さなナイフで適量に切り分ける。

一方霖之助は「僕は紅茶の準備をしてくる」っと言うと、店奥へ消えていった。

ミルクを飲んでお腹が膨れた子猫は、すこしよろよろしながらもアリスの足元へ擦り寄る。
目を細めてアリスに甘えてくるこの人懐っこい子猫は、
自分を取り巻く環境などまったく理解していないのだろう。

それが幸せだ。

知らぬうちに、自分を可愛がってくれる飼い主に出会い、
知らぬ内に天寿を全うする方が、野生にほっぽり出されるより余程幸せだ。

Comment

#No title
ども、Allenです。

傘霖完成お疲れ様です。
しかも超長い。上中下全て含めたら、以前ウチが書いた過去編SSよりも長いんじゃないですかね。
幽香や幽々子や妖夢もいい味を出していて、より小傘の心境が際立っていたと思います。

あと、アリ霖も読ませていただきました。
今後、猫の様子を見にアリスが香霖堂に通う姿が容易に思い浮かぶ・・・・・・ともあれ、お疲れ様でしたー。
  • by:Allen
  •  | 2010/04/19/17:22:04
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#No title
はじめまして。
しゅまさんが言ってた傘霖はこれのことだったのか…!
すごく心が温まりました。小傘…霖之助とお幸せにね!

そしてアリ霖。声かけられてうろたえるアリスちゃんかわいいです。…それにしてもげっしょーの時といい、霖之助って実は猫好き…?そんな霖之助もかわいいです!

それにしてもこの企画…浅村さんともどもGJです!
ほほえましいssをありがとうございました!
それでは~

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