十四朗亭の出納帳

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十四朗

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朱鷺のすみか 6

朱鷺霖六日目ですね。

最終回一歩手前です。
終りが近いって言うと物語が急激に動き出す様な場面ですけど、
朱鷺のすみかシリーズにそんなものは無い。

五日目が長かったので六日目は短いです。
多分七本中最短かも。

短いけど書くまでに時間が掛ってるんですけど、
その理由はまぁ、朱鷺のすみかが全部終わってからって言う事で。



『 朱鷺のすみか 6 ~朱鷺子と拾い物とにわか雨~ 』



朱鷺子、霖之助





昼過ぎになって突然降り出したにわか雨の中を、
青い影が鉄砲玉の様に飛翔する。

青い影の正体は朱鷺子。
胸に何かを抱えて、出来る限りの速さで香霖堂へ向かっていた。

髪には雨水が浸みこみ、服は水分で肌にピッタリと張り付いていた。

雨粒の壁へ向かって、朱鷺子は突き進み続ける。

額に、頬に、唇に、腕に、足に、
体のいたるところに雨粒がぶつかる。

それでも飛ぶのを止めずに香霖堂へ向かって一直線に飛ぶ。

森の木々が大分薄くなる頃、
雨粒に耐え険しい顔をして飛ぶ朱鷺子の顔が不意に柔らかくなった。

朱鷺子が見つめる視線の先。
そこには香霖堂が何時もの様に森の入口で退屈そうに寝そべっていた。







香霖堂の店内で、
この店の店主森近霖之助は何時もの様に読書に没頭していた。

店が開いている様な時間帯でも、
平気な顔をして読書に没頭する光景は香霖堂が開店した当初から変わらない。

流石に客がいる時ぐらいは読書を中断するが、
客がいない時は大体読書をしていると言っても過言ではない。

その他にする事と言えば、
煙管を吸うか、外の世界の道具を鑑定するか、
の二択だったが、最近では煙管を余り吸わなくなった。

吸うとしても一日一回吸うか吸わないかぐらいの頻度だ。
以前は少なくとも一日に数回吸っていたと言うのに、
大した変わりようだ。

霖之助は腰に取り付けた道具入れの中から煙管を取り出す。
火皿と吸い口が金属製で、
羅宇の部分が艶のある黒色をした、やや年季の入った煙管だ。

霖之助が独立して店を構える時に、
お世話になっていた商店『霧雨店』の親父さんから貰った品で、
余り吸わない時でも定期的に手入れをしている。

霖之助はその煙管をカウンターの上へ置く。
とりあえず今はこの場で煙管を吸うと言う事はしない。

霖之助としては、朱鷺子がいる場所では極力吸わない様にしているだけなのだが、
最近は殆どの時間を朱鷺子と過ごしているので結果的に吸わない様になった。
朱鷺子がいない時でも煙の籠る様な場所では吸ったりしない。

吸うとしても朱鷺子が読書に没頭している時に、
縁側で吸うぐらいか。

別に朱鷺子が煙を嫌がる訳ではないが、
何となく彼女の近くで吸うのは気分が乗らないのだ。

霖之助は本に栞を挟み、大きく伸びをする。
煙管の事を考えていたら一服したい気分になって来た。

縁側で一服でもしよう。
そんな事を考えて首を左右に捻り、
ゴキゴキっと朝から余り動かしていない体に喝を入れた。

朱鷺子は昼食が終わってから散歩と称して出かけている。
先程から降り出したにわか雨に、打たれているかもしれないのが少々不安だったが、
どこか都合の良い場所で雨宿りをしてくれている事を祈って、
縁側へ向かおうとしたその時。

――――――――カランカラン! カランカラン!

玄関に設置したカウベルが激しく店内に鳴り響いた。

背を向けていた玄関に目をやる。
まだ余韻を残すカウベルの音は余り穏やかなものではない。

「えへへ………ただいま、霖之助」

「朱鷺子。どうしたんだいその格好は、ずぶ濡れじゃないか」

「うん……ちょっと無理して帰ってきちゃったから。
 霖之助に早く見せたいものが、カッカァ!?」

霖之助が自分の上着を脱いで彼女に投げつける。
上着は上手い具合に彼女の頭に覆いかぶさり、
突然視界を遮られた朱鷺子は素っ頓狂な声を上げて驚いた。

「タオルを取って来るから、君は服を脱いで待ってるんだ。
 服を脱いだら僕の上着を上にかぶる事、いいね?」

「う、うん。分かったよ霖之助」

霖之助は急いで大きめのタオルを手に取り、
店内に居る朱鷺子の元へと戻る。

戻ってくると朱鷺子は服を脱ぎ、
キャミソールとショーツ姿になった朱鷺子が、
霖之助の上着を羽折った状態でカウンターの椅子に座っていた。

「まったく君は、ずぶ濡れになってまで帰って来る必要は無いだろう?
 雨具を持っていなかったから仕方ないかもしれないが。
 何処か雨宿り出来る場所は無かったのかい?」

少しキツイ口調。
シュンとしたままの朱鷺子を一旦椅子からどかし、
自分がカウンターの上に座ると、
朱鷺子を自分の膝の上に座らせた。

「ゴメンね、霖之助。
 外の世界の本を拾ったから、
 どうしても霖之助と一緒に読みたくて」

朱鷺子がカウンターの上を指さす。

彼女が指を差した方には一冊の本が置かれていた。
『戦闘妖精』と書かれた本で、
表紙には外の世界で空を飛ぶ為の乗り物である飛行機が描かれていた。

「濡れないように運んできたから殆ど濡れてないと思うよ」

「君が濡れ鼠になってるじゃないか」

「私は朱鷺だよ?」

「ともかく、夏とはいえずぶ濡れになれば夏風邪を拗らせる事だってあるんだ。
 今度からはどんな急いでいても雨宿りしてから帰るんだよ?」

念を押すようにタオルで朱鷺子の頭をガシャガシャと拭く。

「うぅ、痛いよ霖之助ぇ~
 もうちょっと優しくしてよ~
 せっかく一緒に読もうと思って、
 急いで帰って来たんだから大目に見てよ」

「まったく、君は仕方ないな」

今まで乱暴だった手の動きを優しく撫でるような手付きへ変える。
髪から水分を拭き取り、顔や体の方も拭いた。

「ん~ふふ~」

「何を上機嫌になってるんだい?」

「だって気持ちいいんだもん。
 霖之助の髪を触る手付きって優しいね」

「女性の髪を触る事に慣れている男、
 と言う意味で受け取っていいのかな?」

「髪を触る事に慣れてるの?
 理容師さんみたいだね」

「うーん、大分発想がズレてるな」

「とにかく私は好きよ? 霖之助に髪を触られるの」

「はいはい、あの本は何処で拾ったんだい?」

「んーとね、彼岸の近くかな。
 霖之助がいつも道具を拾いに行く場所よりも少し離れたとこだったよ」

「ふむ、今度から彼岸の方へ向かう脇道にも目を凝らすとしよう」

「やる事が………増えるね」

「あぁ、でもそれはいい事だ。
 新しい発見を自ら探す心はどれだけ年を取っても大切だよ」

「う……ん、りんの………すけは……」

「朱鷺子」

返事が途切れた事を気して、
霖之助が膝の上に座る朱鷺子の顔を覗く。

見ると彼女は穏やかな寝息を立てて寝入っている様だった。
雨の中全速力で飛んで来たらしいので疲れていたのだろう。
おまけに雨で体温を奪われている。

香霖堂に着いて安心した途端に眠くなってしまったのだろう。

あどけない寝顔の朱鷺子は霖之助の膝の上で、
実に気持ち良さそうに寝ている。

「まったく、一緒に本を読む気じゃなかったのかい?」

霖之助が呟く様な声で、誰に言うでもぼやいた。
ここで寝ている朱鷺子を起こすほど霖之助も薄情ではない。

先程、カウンターの上に置いた煙管に目をやる。
残念な事に今日も使う機会はなさそうだ。

お詫びに今度念入りにヤニ取りでもしてやろう。

そう心に誓って自分の膝の上で寝息を立てる朱鷺子の頭を撫でた。

Comment

#No title
更新早くてホント有り難いです。いよいよ次でラストか~
今からワクワクウキウキしながら待ってます。
それにしても朱鷺子可愛いよ、朱鷺子
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  •  | 2009/12/28/23:08:06
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