十四朗亭の出納帳

アニメの感想、ゲームホビーの感想など 作品のジャンルにこだわらず書いていく予定です,SSとか書いてます

プロフィール

十四朗

Author:十四朗
(じゅうしろう)と読みます
ロボとか好き東方も好き
趣味の守備範囲は日々拡大中
東方の霖之助SSが主流です
一応現役の遊戯王プレイヤー
メッセ&スカイプは大歓迎です
SkypeID『Brassp905』


リンクはフリーなので
どなたでもどうぞ
もしご連絡いただければ高所から
イヤッホォォォォ!!します


PS3アカウント『auscam』
大体マルチ対応ゲームやってると思います。

バナー

Web拍手

Twitter

 

入店者

検索フォーム

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

朱鷺のすみか 3

朱鷺霖三日目でい!

子煩悩霖之助と甘えん坊朱鷺子がイチャイチャする話とも言う。

幼女でも純粋な性格じゃないとね!

紫「なん……だと………」


『 朱鷺のすみか 3 ~朱鷺子と流し素麺と焼き餅~ 』



朱鷺子、霖之助、ミスティア、空







その日、森近霖之助の朝は早かった。
日が昇るのと同時に布団を抜け出し、
冷たい井戸水で顔を洗い着替えを済ませる。

静謐な朝の空気が肺一杯に満たされ気持ちがいい。
今日は雲が少ないので、山の間からは朝日がハッキリと確認できた。

それから台所へ入りおにぎりを五つほど拵え、三つを竹の葉に包んだ。
残りは虫が集らない様に新聞紙を被せておく。

おにぎりを作るのと並行して味噌汁と卵焼きも一緒に作っておいた、
とりあえず朱鷺子の朝食はこれで十分だろう。

霖之助は味噌汁の鍋に蓋をし、卵焼きにも新聞紙を被せる。
こういう時、古新聞は非常に便利だ。

一通りの事を終えると彼は物置の方へと向う。
埃臭い倉庫の中から、のこぎりと麻縄を取り出し、
表の方に準備しておいた大八車げ積み込んだ。

準備は万端。

これから向かう場所は迷いの竹林。
目的は竹を少々拝借しに。

霖之助はそっと香霖堂の居住スペースの方を見渡す。
朱鷺子はまだ起きる気配すら見せないだろう。

「それじゃ、行ってくるよ」

その言葉を合図に霖之助は大八車を押して歩き出す。
出来るだけ早く帰ってこれるといい。
そんな事を頭の片隅で考えながら。





竹林には半刻もしない内に着いた。
霖之助は竹林の入口付近で大八車を押すのを止め、
積んであったのこぎりを手に取る。

そして自分の目的に合う太さの竹を探し始めた。

今日の霖之助の目的は流しそうめんに使う竹。
つまり流しそうめんの樋の部分となる竹を求めている。

太さとしては細すぎず太すぎず、
大体霖之助の二の腕と同じぐらいの太さが丁度いい。

しばらくの間霖之助は周辺の竹に触れて太さを確かめたり、
材質をチェックしたりして回る。
ついでに支柱となる部分を作るための細い竹を数本採っておく。

やがて霖之助の足が一本の竹の前で止まった。

太さは霖之助の二の腕よりやや大きめ。
表面に傷は無く色も申し分ない。

「これだな」と一人呟くと早速根元からのこぎりの刃を入れる。

こういった作業に霖之助が慣れている事もあって竹はすぐに切り倒された。

今度はその竹を三等分に切り分ける。
切り分けたら持ってきた麻縄でしっかりと大八車に固定すると、
しばらく休憩を取った。

水筒の茶で喉を潤し朝食として持ってきたおにぎりで腹を満たす。

香霖堂を出た時よりも太陽はかなり高くなっていた。
天上を覆い尽くす竹の葉から日の光が差しこんで眩しい。

この様子だと今日も暑くなりそうだ。
なんせ今日は日差しが強い、
朱鷺子は人数集めのために出かけると言っていたが、
日傘でも持たせた方がよかったか。

また日焼けをしたなんてぶーぶー文句を言われてはかなわない。





霖之助が行きよりも大分重くなった大八車を引いて、
香霖堂に帰ってくると店内に朱鷺子の姿は無かった。

代わりに。

「一緒に流しそうめんをしてくれそうな人を探してきます。
 悪いと思ったけど日傘と日焼け止めの薬を借りました。
 
 追伸・朝ごはん美味しかったです、ごちそうさまでした。」

まるっこくて可愛らしい文字でそう書かれてあった。
筆跡と内容からして朱鷺子のもので間違いないだろう。

日焼け止めと日傘の拝借は殆ど無断と言ってもいいが、
どうせ霖之助も彼女に貸してやろうと思っていたところだ。
今回は不問と言う事にしよう。

朱鷺子の書置きを呼んだ後は本格的に流しそうめんに使う樋の作成に入る。

樋の製作が終われば次は支柱の製作が待っている。
もたもたしていられない。

作業は縁側の方で行う。

まずいちばん最初に三等分した竹の中で、
一番根元に近い竹を金槌とナタを使い半分に割る。

残った二つの、先端部分では無い方にも同じ処理を施す。

後は中身のフシをノミで取り除き、
カンナで荒削りな部分のささくれを削り取る。

削りカスを息で掃い、軽く水で洗う。
洗った竹は縁側に立て掛けておく。

ひとまずこれで樋が一つ完成。
所要時間はおよそ四半刻と言ったところか。

この作業を後三回繰り返さなくてはいけない。
実に面倒で退屈な作業だ。

これならずっと工房に籠りっきりで、
新しいマジックアイテムを開発している方が遥かに有意義だ。

大体人数が集まらなければ流しそうめん自体行えないと言うのに。
何を張り切って準備してるのやら。

途中休憩を何度か挟みながらも昼前までには、
四本の樋と樋を支える支柱が出来ていた。

樋と支柱は最初に樋を立て掛けておいた縁側に纏めて置いておく。

これで霖之助側の準備は完了。
次は朱鷺子が頑張る番だ。

時刻はそろそろお昼時。
はてさて、一体どんなお客を連れてくるやら。





時間はあれから一刻ほど。
かんかん照りの太陽が空高く遊泳している夏の昼下がり。

霖之助は中々帰ってこない朱鷺子に対して半ば諦めを抱きながら待っていた。

待っていると言っても、
暇つぶしに二日前紅魔館から借りて来た本を読みながらだが。

それにしても朱鷺子の帰りがずいぶん遅い。
やはり人数が集まらなかったのだろうか。

あの子はよく自分の考えに意固地になる。
今回は人数が集まらなかったが、
せっかくの流しそうめんが中止になるのが嫌で、
必死に探してる最中なのかもしれない。

本当に頑固な子だ。

人数ぐらいなら後日霖之助が霊夢や魔理沙、
それから紫等に声をかければすぐに集まると言うのに。

余り社交的な方ではない彼女に、
人数集めを任せるのは少々荷が重すぎたか………

「たっだいまぁー!」

霖之助が朱鷺子に人数集めを任せた事に、後悔をし始めた頃。

とても元気の良い朱鷺子が帰ってきた。
後ろに続く人影は二人。

霖之助の掲示した人数は四人なのでギリギリ人数は足りる。

「驚いた、まさか本当に集めてくるとは」

「とーぜん! やると決めた事は絶対に実行する主義なのよ」

えっへん! と殆ど平坦に近い胸を張る朱鷺子。
何はともあれ人数は集まったのだ、
約束通り流しそうめんを実行せざるを得ない。

「こんにちは、香霖堂さん」

「こんにちはおにーさん!」

朱鷺子が連れて来た二人の人物の内一人は霖之助もよく知る人物。
八目鰻の屋台を営む夜雀、ミスティア・ローレライだ。
彼女の店には霖之助もよく訪れる。

値段の割には安く飲めるし、彼女の焼く八目鰻は絶品だ。
近頃は酒目当てではなく、
八目鰻だけを求めて屋台へ足を運ぶ輩も多いとかで、
結構繁盛しているらしい。

商人としては羨ましい限りだ。

そしてミスティアの隣に立つもう一人の少女。
こちらの方には面識がない。

腰まである長い黒髪に緑色のリボン。
胸には大きな瞳を象ったブローチらしきアクセサリー。
そして折り畳んでいるようだが、それでも一際目を引く大きな翼。

朱鷺子やミスティアと同じく鳥の妖怪なのだろう。

外見年齢だけなら十代の後半程度。
朱鷺子やミスティアを抜いて一番上に見える。

「君には初めましてだね?
 僕はこの香霖堂の店主、森近霖之助だよ」

「うにゅ? 私は霊烏路空。
 よくお空って呼ばれてる」

「じゃあ、僕もお空と呼ぼう」

「私はおにーさんって呼ぶね」

無邪気な笑顔で自己紹介を終えるお空。
見た目の割にいくぶん幼い印象を受けるが、
性格に問題がある訳でもなさそうだし、害は無いだろう。

「あのー香霖堂さん。
 少し調理器具とか見させてもらっていいですか?」

「あぁ、別に構わないよ。
 何かあったら声を掛けてくれ、説明するから」

「ありがとうございます」

ペコリと一礼して調理器具の品定めを始めるミスティア。
礼儀正しいしよく出来た子だ。

どこかの朱鷺妖怪とは違って自立しているし。

「お空、君は朱鷺子の友達なのかい?」

「うん、多分そう。
 地上に出て来た時に偶々知り合ったの」

「地上に出て来た?」

「私は普段地底……地下にある地霊殿に住んでるの。
 それで偶の休みになったら地上に出たり、
 お燐……あ! お燐ってのは私の親友ね。
 とかと遊んだりするの」

「地霊殿……魔理沙と霊夢が言っていた旧地獄にあるお屋敷の事か」

「うにゅ? おにーさんあの二人の知り合いなの?」

「まぁ……腐れ縁とツケ的な意味でね」





先程からカウンターで仲良く談笑を交わす二人を、
面白くなさそうな眼がジーっと見つめている。

朱鷺子の眼だ。

何時も通りカウンターの内側で自分の知識と理論を話している霖之助。
その話を夢中になって聞くお空。

お空にとっては霖之助の話がとても面白いのだろうか。
朱鷺子にはよく分からない。

霖之助は偏屈だし、ケチだし、根暗だ。
店を構えている癖にお客には愛想がよくない。
店の掃除もあまりしないし、商品の値段だって適当だ。

朱鷺子が駄目だと思う所は大体こんな感じ。
働いてない訳でもないけど、これなら働いてないも同然だ。

でも、偶に霖之助は優しい。

自分をこの店に置いてくれてるし、
多少の我儘なら少し渋った後、聞いてくれる。

この前は大きな図書館に連れて行ってくれたし、
背中の開いた自分専用の水着も作ってくれた。

普段の朴念仁っぷりはどこへやら。
途端に優しい人物へと豹変する。

朱鷺子が無理を言った時、
散々渋りながらも最後は自分の頼みを聞いてくれる時の笑顔。

苦笑いと諦めが入り混じった様でいて、心の底から笑っているあの笑顔。
「仕方ないなぁ」「君の根気には負けたよ」と言いたげなあの笑顔。

朱鷺子はその笑顔が一番好きだった。

その笑いは声を上げて笑うような笑いでは無かったが、
とにかく温かかった。

ずっと昔に同じ笑顔をどこかで見た気がするが思い出せない。
その事が気になって本を読み漁ってみたけど、自分の気持に答えは出なかった。

男女の意味で好きとかそんなんじゃない、ただ純粋に好意を感じるのだ。

傍に居て自分の面倒を見てくれてる時が一番嬉しい。
その朱鷺子の気持はその一文に尽きる。

だから今の状況は霖之助がお空に独占されてるみたいで嫌だ。
さっきからずっとお空に構いっぱなしだし、時折笑顔だって見せる。

ちょっとお空の見た目が大人っぽいからってデレデレしちゃって。

なんて考えながらずっと霖之助を睨んでいるが、肝心の霖之助はまったく気付く様子が無い。

「ねぇ、ミスティア」

「なに? 朱鷺子ちゃん」

「霖之助に商品の事で聞きたい事があるでしょ?」


「? 今は別にないけど……」

「あるんでしょ!!」

「え、だから無いってば!」


「霖之助ぇ! 霖之助ぇ!」

会話に夢中な二人に割ってい入るように大声で彼の名を呼ぶ。
呼ばれた本人は怪訝そうな顔で顔をこちらに向けて、「なんだい」

とバツが悪そうに言った。

「ミスティアが道具について聞きたい事があるってさ!」

「い、いえ。特にそんな事は……」

「ミスティア!」

「……は、はい。ちょっとこのお鍋とかが気になって」




「ほら! ミスティアがああ言ってるんだし相手してあげなさいよ!」

「あぁ、こら、待ちなさい。わかった、わかったから」

朱鷺子がカウンターまで行って霖之助の腕をグイグイと引っ張る。
大の大人一人が動く様な力ではないが、
そうされると動かなくてはいけないのが大人の悲しい宿命だ。

結局朱鷺子にされるがままにミスティアの方へと来てしまった。

お空は何故こうなったのか理解できていないらしい。
頭の上に「うにゅ?」と疑問視を浮かべ固まっている。

「えぇーっとまずこの鍋は長い時間温かさを保ってくれる優れ物の鍋だ。
 それでこっちが……」

ミスティアに説明する霖之助の挙動一つ一つに視線を配り、
先程の様にならないかチェックする。

友人であるお空には申し訳ないと思うがこれだけは渡したくない。
あの温もりは、あの柔らかな温もりだけはだれにも渡したくないのだ。




「朱鷺子、いい加減変わってくれないか?」

「まだまだよ、まだ全然足りないんだから」

「ね、ねぇ朱鷺子ちゃん?そろそろ……」

「シャラァァァァプ!!!」

「……ごめんなさい、なんかごめんなさい」

「うにゅ?」

ザルに山盛り積まれたそうめんを掴んでは流し掴んでは流し。
霖之助はそろそろこの作業が嫌になって来た。
白くてつるつるした糸状のものが段々忌々しく感じて来た。

流石に開始からずっとそうめんを流す役は疲れる。
肉体的にと言うか精神的に。

お空が幸せそうにそうめんを口一杯に含んで「うにゅ~」
なんて言ってる姿を見るとこっちもそうめんが食べたくなる。

無邪気な誘惑と言うやつか。

だが代わってくれと言うと先程の様に朱鷺子が怒る。
一体何が気にくわないと言うのか。

「………朱鷺子」

「くどいわ! さっさと次のそうめんを流しなさい!」

にべもなく断られた。
仕方がないのでそうめんの山から適当な量を掴むと樋の中へ流してやる。

そうめんを掴んでは流し、掴んでは流し。
結局この流しそうめんは終始霖之助が、
これを繰り返すだけで終わってしまった。

結果として霖之助が食べれた分はミスティアが、
こっそり取っていてくれたそうめん一杯分だけであった。

Comment

管理者にだけメッセージを送る

Pagetop ]

Copyright (C) 十四朗亭の出納帳 All Rights Reserved.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。