十四朗亭の出納帳

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十四朗

Author:十四朗
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朱鷺のすみか 1

朱鷺霖一日目だぜ~

このシリーズは全部で七本の予定しております。
雰囲気としては『夏休みの親子』かな。

全て夏がテーマのSSです。

『 朱鷺のすみか 1 ~朱鷺子と図書館とパチュリー~ 』




朱鷺子、霖之助、パチュリー、小悪魔、美鈴






五月蠅いほどのセミの鳴き声をバックに。
赤と白の配色が特徴的な羽をもった少女、
通称朱鷺子は読書を楽しんでいた。

場所は魔法の森の入口にある香霖堂の居間。
日陰にあるためか温度はやや涼しい。
寝転ぶとひんやりとした畳みに地肌が触れて気持ちがいいらしい。

朱鷺子の服装は涼しげな白のブラウスと黒い生地に白のレース。
いかにも夏服と言った格好だ。
おまけに寝そべった状態で足をパタパタさせ読書に集中している。
なんとも極楽そうだが、こんな朱鷺子の姿を見る度に霖之助は何時も思う。

他に行く所とやる事はないのかと。

この香霖堂に本を求めてやって来るのは一向に構わない。
ちゃんと本を読んだり売ったりする時の対価は貰っている。

だが身心共に若い妖怪が毎日毎日こうして居るのはいかがなものかと思う。
正直香霖堂に住み着いてると言っても過言ではない。

目の前に居る朱鷺子は外見と同じく年齢も若い。
幻想郷では外見で年齢を判断するのは良くない事だが、
彼女が自分で若いと言ったのだ、その通りなんだろう。

霖之助が彼女と過ごた感じでは、
妖怪としてまだ三十年も生きていないと言ったところか。
これは妖怪としてはかなり若い部類にはいる。

生粋の妖怪からしたら赤子同然と言っても過言ではない。
人間と同じく妖怪だって若い内は色んな事をするべきだ。

「なぁ、朱鷺子。君はここ最近毎日そうして居るけど他にする事は無いのかい?」

「んー?無いよー本を読むのが私のアイデンティティーなんだし。
 それにここは本の読み心地がいいから、快適よ。
 しいて悩みを言うなら…………」

「言うなら?」

「そろそろ読む本が無くなっちゃうことかな。
 この夏に入ってずっと香霖堂で本ばかり読んでたからそろそろ無くなるわね」

「はぁ、どうせそんな事だろうと思ったよ」

深い溜息。
その溜息の中には沢山の諦めと少しの呆れが混じっていた。

どうやら本を取り上げるのは無理そうだ。
かくいう霖之助も本の虫だ。
気にいった本があれば数日かけてでも読み切ってしまう。
だから朱鷺子の言いたい事はよく分かった。

よし、それなら思いっ切り本を読ませてやろう。
文字通り本に溺れるくらいに。

彼女を紅魔館の地下にある大図書館へ連れて行こう。
紅魔館には繋がりもあるし、
図書館の主パチュリー・ノーレッジとの間には静かながらも同好の士としての親交がある。
読書好きの妖怪一匹ぐらい紹介しても快くとまではいかないだろうが、
了承ぐらいはしてくれるだろう。

霖之助は心にそう誓うと朱鷺子に声をかけて立ち上がった。
不思議そうにしていた朱鷺子だったが、
霖之助が行き先を告げると途端に乗り気になった。

「やったぁ! 凄いんでしょ? ねぇ凄いんでしょ?」

「あぁ、凄いよ。あそこにある本は百年かかっても読み切れないよ」

読みかけの本に栞を挟み、勢いよく立ちあがるとグイグイと霖之助の腕を引っ張った。
この子はこう言う時だけ元気になる。
普段は「はしゃぎ回るなんて馬鹿みたい」なんて態度を取ってるくせに。
良くも悪くも素直な子だ。




「パチュリー様に御用ですね?
 どうぞお通りください、森近さん」

紅魔館に着くと大した質問とボディチェックも無く門番の紅美鈴が笑顔で迎え入れてくれた。
少々警備が甘過ぎないだろうか。

霖之助自身は紅魔館内で何もしなさそうではあるが、
今日霖之助が連れて来た少女については全く情報が無い。
そんな人物を館内に入れる事をおいそれと許可していいものか。

もしかしたらいきなり館内部で弾幕ごっこを始めたりするような輩かもしれないのに。

「いいのかい?随分とあっさりしてるけど」

「構いませんよ、咲夜さんからは許可を頂いていますし」

「ほほぅ、なんと?」

「彼ぐらいなら大した厄介事を持ってきそうにないからフリーパスでいいわよ。
 っだそうです」

要するに霖之助程度ではトラブルを起こす種にもならないといいたい訳か。
信用されているのやら、甘く見られているのやら。

まぁ入るのに手間が掛らないのはありがたい。

「ほら朱鷺子、屋敷に入るならしっかり挨拶しておくんだよ」

「………こんにちは」

さっきから霖之助の背中に隠れっぱなしの朱鷺子に挨拶するように促す。
普段はあんなにマイペースなのに知らない人間の前ではすぐこれだ。

対人関係のイロハも教えた方がいいのかもしれない。

「はいこんにちは。
 私は紅美鈴、この紅魔館で門番をやっています」

「……えと、えっと」

「自分の事を伝えるんだよ、自己紹介はしっかりしないとね」

「うん………私に名前は無いわ。
 だけどみんな朱鷺子って呼ぶからそう呼んでくれると嬉しいな」

「はい分かりました、朱鷺子さん」

美鈴が先程霖之助に向けた笑顔と同じような笑顔を朱鷺子に向けるが、
自己紹介が終わると朱鷺子はまた霖之助の背中へ隠れてしまった。

こんな調子で大丈夫だろうか。
門番の美鈴はこの紅魔館でも比較的コミュニケーションの取りやすい方だ。
だがこれから行く図書館の主、パチュリー・ノーレッジは少々気難しい性格をしている。

何事も無ければいいが。




案内の者を付けるという美鈴の申し出を断り、
霖之助は慣れた足取りで地下図書館の入口へとたどり着いた。
その間朱鷺子は見慣れない風景にキョロキョロしっぱなしだった。

図書館の入口は一見古ぼけた木の扉で特に変わった装飾を施されている訳でもない。
図書館の主の性格をそのまま表しているようにも見える。

だが大事なのは外面ではない。
そんな物はただの飾りだ、この中に居る分にはまったく関係ないものだ。
この扉の中に広がる世界を見たら本に興味がなくとも数秒の間は言葉を失う。

幻想郷の英知が凝縮された場所、それがこの大図書館と言っても過言ではない。

「ねぇ、まだ入らないの?」

「あぁ、すまない。ちょっと考え事をね」

急かす朱鷺子の言葉を背に受けドアノブに手を掛ける。
なにせここに入るのは霖之助でも心の準備がいるのだ。

軽い気持ちでこの場所に来ると容易く心を奪われかねない。

ドアは軽い抵抗と共に簡単に開いた。
そして目に入りこんでくる光景。

視界を覆い尽くす本、本、本。

とにかくこの場所には本しかない。

いや他の物も少なからず有るだろう。
だが余りにも本の数が多すぎる。

この膨大な本の量からしてみれば微々たるものだ。
無いに等しい。

霖之助はこの図書館の主に一言挨拶をするために足を進めた。
だが後ろからついてくるはずの足跡がついてこない。
門をくぐってここまで来る間に絶えずトコトコとついて来た朱鷺子の足音がここで止まった。

霖之助は振り返って彼女を見てみる。
振り返るまでは「どうしたんだい?」と声を掛けるつもりだったが、
視界に映った朱鷺子の姿を見てそれを言うのが憚られた。

口をだらしなく開け、焦点の定まらない目が右へ左へ収まりが悪く動いている。
頬は微かに赤みが差し、一種の恍惚状態と言える雰囲気を醸し出していた。

よく見ると瞬きもしていない。

「朱鷺子」

「…………」

「朱鷺子、この図書館の持ち主に挨拶をしに行こう」

「……………」

「朱鷺子、しっかりするんだ」

霖之助が突っ立ったままの朱鷺子の肩を持ちブンブンと左右へ揺さぶって、
初めて朱鷺子は正気に戻った。

「凄い……凄いよ霖之助ぇ!!」

耳をつんざく様な歓喜の声。
図書館では静かにするのがマナーだが、今の彼女には無理な話だろう。

「分かった、分かったから静かにするんだ。
 ここの主は凄く気難しいから騒いだら追い出されてしまうよ?」

「誰が気難しいのかしら?」

背後から掛けられる気だるそうな少女の声。
さっき振り返った方向とは逆の方向へ振り返る。

やや低い体躯に紫色の長い髪、
その上に三日月が付いた帽子を乗せ、ローブの様なダボダボの服を着た少女。

間違いない。
この図書館の主、七曜の魔法使いパチュリー・ノーレッジだ。

「貴方に本の貸し出しと利用は認めてるけど、
 図書館で騒ぐのと私の悪口を言うのは認めてないわ」

「そんなつもりじゃないよ。
 と言っても弁解のしようはないが」

「まぁいいわ、
 どうせ今日は貴方個人の用事じゃなくって後ろの子絡みの用件なんでしょ?」

パチュリーが人差し指をピンッっと突きたてる。
すると本棚の山を越えて彼女愛用のロッキングチェアーが飛んできた。

ロッキングチェアーは彼女の後ろに音もなく着地する。
パチュリーが座るとロッキングチェアーは気だるげに軋んだ音をたてた。

そんなパチュリーを見て朱鷺子はさっきまでの興奮は何処へやら。
正門で美鈴と会った時の様に霖之助の背中へ隠れてしまった。
確かにパチュリーはビブリオマニアの気がある奇怪な人物だが、
そこまで悪い人物ではない。

少々偏屈で図書館から出たがらない事を除けばだが。

「ほら、朱鷺子。さっきも言っただろう?
 初めて会った人にはなんて言うんだい?」

やや無理やり朱鷺子を自分の前に出す。
少々よろめきながらも朱鷺子は霖之助の前に出た、
相変わらず霖之助の服を掴んではいるが。

「……はじ、はじめまして。
 私は名前が無いけどみんなは朱鷺子って呼ぶから朱鷺子って呼んでもらえると嬉しいな」

君はその自己紹介以外に自分をアピールする言葉はないのかと、思わず心の中で突っ込む。
まぁ、初めて会った相手に対してしっかり前に出て喋れたんだ、上出来だろう。

「ねぇ、森近」

「なんだい?」

「貴方って結婚してたのね。
 おまけに娘まで居るなんて、知らなかったわ」

今何と言った。娘?朱鷺子が?
一体何がどうなったらそう言う発想が生まれるんだ。
霖之助にはさっぱり理解できない。
いくらなんでも考えが飛躍しすぎだろう。

「残念ながらこの子は僕の娘じゃないよ。
 おまけに結婚もしてない」

「あらそう、まぁそうよね。
 貴方みたいな変人の妻なんて、
 よっぽどの物好きじゃないと務まらないわ」

言いたい放題言ってくれる。
まぁ、彼女は大体何時もこんな感じだから馴れたと言えば馴れたが、
それでもいい気はしない。

さっさと本題だけ切り出すか。

「単刀直入に言うよ。
 パチュリー、この子に図書館の利用と本の貸し出しを認めてやって欲しい」

「………ホント単刀直入ね、まぁその子次第って所かしら」

意外だ、ここはアッサリ「お断りよ」なんて言われるものと思っていたが。

ロッキングチェアーに座ったままのパチュリーは朱鷺子の方に視線を合わせる。
その眼は本を読む時の彼女の眼だ、ただし今読むのは本ではなく朱鷺子自身だが。

「朱鷺子だったかしら?」

「えぇ、そうよ」

「本は好き?」

「……もちろん、好き」

言葉の最後の方は聞き取れない程小さかったが一応の受け答えは成立していた。

「どんな本が好きなの?」

「ほ、本そのもの。
 表紙があって、ページがあって、字が書いてあればそれでいいの」

「そう、随分と幅広い守備範囲ね」

パチュリーは先程ロッキングチェアーを呼び寄せた時と同じく人差し指をピンッと立てる。
すると今度は羽ペンとインク、小さな紙切れが飛んで来た。
紙切れはカード状の物でポケットに入るサイズだ。

アレと同じものを霖之助も持っている。
この図書館の貸出カードだ。

ただし今のままの状態ではただの紙切れに過ぎない。
パチュリーが自身のサインとカードの使用者の名前を書いて、
初めて貸出カードとして機能するのだ。

機能すると言っても本当に貸出システムと言う事務処理の中での話だが。
まぁアレがあればどこぞの白黒みたいに、
本を死ぬまで借りに来るたびに追っかけまわされなくて済む。

要するに約束手形みたいなものだ。

彼女は手に持った貸出カードに羽ペンで、
朱鷺子と言う名前と自分のサインを書きこむ。

数秒もしない内に処理は終わった。

「無くしたら気分によっては再発行しないから気を付けなさい。
 それから一回に借りれる量は十冊までよ」

ふよふよとロッキングチェアーごと宙に浮いて朱鷺子に近づくと、
既に有効となっている貸出カードを朱鷺子に手渡した。

「案内に小悪魔を付けさせるわ。
 小悪魔、ちょっといらっしゃい」

小悪魔とはこの図書館で、
司書の仕事とパチュリーの世話をしている彼女の使い魔だ。

物腰は主であるパチュリーに比べると大分柔らかく丁寧だ。
面倒見も良さそうだから人見知りの激しい朱鷺子でも大丈夫だろう。

パチュリーが小悪魔を呼び出して数秒もしない内に、
彼女は主の元に現れた。

「いかがいたしましたか?パチュリー様」

「この子………朱鷺子を案内してあげて頂戴。
 借りたい本があればそれを持ってきてあげて。
 貸出カードは作ってあるからその辺は問題ないわ」

そう言われると小悪魔はスカートの端をちょんと摘み。
「かしこまりました」と言う返事と軽くお辞儀をし、朱鷺子にも挨拶をした。

「大丈夫だ朱鷺子。
 彼女はここの主と違って大分マイルドな方だから緊張しなくてもいいよ」

「聞こえてるわよ森近。
 貴方の貸出カード無効にしてあげてもいいのよ?」

「それは勘弁して欲しいな」

一応今日は自分も本を借りるつもりで来たんだ、それは困る。

そんな事を霖之助が考えていると、
いつの間にか霖之助の背後から朱鷺子が居なくなっていた。

パチュリーが案内をしてくれると言った小悪魔の方へ行っている。
同じような態度だった美鈴には終始霖之助の後ろに隠れっぱなしだったが、
大量の本を目の前にして少々気が大きくなっているのだろう。
彼女の初対面の人物に対しての態度としては合格点だ。

「あの………はじめまして」

「はい、はじめまして。
 私は小悪魔と申します」

「それが名前なの?」

「はい、それが私の名前です」

「ふーん、変わってるね。
 私は名前が無いけど朱鷺子って呼ばれてるからそう呼んでもらえると嬉しいな」

「朱鷺子さんですね、わかりました。
 では早速図書館を案内させて頂きますので、私の後に付いてきてくださいね」

「うん、分かった。
 じゃぁ霖之助、ちょっと行ってくるね」

「あぁ、いってらっしゃい」

先導する小悪魔に連れられて朱鷺子は図書館の奥へ消えて行った。
後にはパチュリーと霖之助が残された。

「それにしても今日の君は随分と優しいね」

「そうかしら?何時もと同じだと思うわ」

「よく言うよ。僕が貸出カードを作ってもらうまでにどれだけ苦労したことか」

「貴方は怪しかったもの」

「あの子は怪しくないと?」

「本が純粋に好きな子に悪い子は居ないわ」

「僕も本は好きなんだがな」

「貴方のは本の中身が好きなだけでしょう?
 あの子は違う、本が好きで好きで堪らないのよ。
 本に恋してるわ、あの子」

要するに同類だから気に入ったという事か。
至極単純な理由だがその分納得できる。

「さて僕も自分が借りる為の本を探そうかな」

「手伝わないわよ?」

「結構、前に来た時に必要な本の場所は把握してあるから」

「あぁ、それなら無駄よ。
 貴方がそんな事してるのはお見通しだから、
 貴方がチェックしてた本棚の本は全部場所替えさせたわ」

「…………すまないが少々手伝ってくれ」

意地が悪い、態々霖之助が目星を付けていると知りながら、
気まぐれでそんな事をするとは。
随分と労力を掛けた悪戯だ。

小悪魔を朱鷺子の方に回したのはこの事を見込んでか。
薄々嫌な予感はしていたがやはりこういう事だ。

小悪魔の手助けなしで、
この図書館からお目当ての本を探し出すのは困難以外の何物でもない。

もっとも、パチュリーの助けを借りればそうでもないが。

「今度錬金術の実験をしようと思ってるのよ、
 でも薬品とか金属とかの出費がバカにならなくって困ってたの。
 何とかならないかしら?」

「分かったよ、気持分引いておこう」

高い出費だ、儲けは出るのか?

そうでなくとも錬金術関係の素材は原価が高く需要が少ないと言うのに。

だが当のパチュリーはそんな事にはお構いなしだ。
さっさと霖之助のお目当ての本を探して終わらせてしまう気満々でいる。

「さぁて貴方の欲しい本は何かしら?」




紅魔館からの帰り道、
霖之助は来る時には無かった風呂敷に包んだ荷物(本十五冊)を両手に抱えていた。

内訳は霖之助が五冊、朱鷺子が十冊だ。
何も最初から貸出限界まで借りる事もないだろうに。
お陰で自分がこんな目に遭うのだ。

「ねぇ霖之助」

「なんだい?朱鷺子」

「今日は楽しかったわ。
 あんなすごい場所があるのね、知らなかった」

「あぁ、どういたしまして。
 でもそう思うのなら半分ぐらい持ってほしいな」

「やだ、だって重たいし」

「はぁ、誰が一番苦労するのかも知らないで」

「まぁまぁ、でも帰ったら今日も終わっちゃうのかなぁ」

朱鷺子には今日が終わるのが残念でならないようだ。
日が昇るのなら日は沈む。
当然の事だ。

何時までも今日が続く訳が無い、今日があれば明日がある。
昨日の事は昨日の出来事だ、何時までも留めておく事はできない。

「そんなに今日が終わるのが勿体ないのなら、
 日記でも付ければいいじゃないか」

「日記?」

「あぁ、日記を付ければ何時でもどんな時でもその日の事を思い出せる。
 書く物と紙ぐらいなら貸してあげるから日記を始めてみたらどうだい?」

朱鷺子は腕を組んで二、三回うーんと悩んだ後に「わかった」と返事を返した。

香霖堂へ帰ると早速、紙と筆記用具を朱鷺子に渡す。
紙と筆記用具を受け取った朱鷺子は嬉しそうにはしゃぎ回った。

それから霖之助が夕食の準備をしていると居間の方で朱鷺子が、
あーでもないこーでもないと試行錯誤を凝らしているのが見えた。

思い立ったら吉日。
やると決めた事をその日の内にやるのが彼女の本分らしい。

Comment

#No title
朱鷺子可愛いよ朱鷺子。続きが楽しみです。
  • by:
  •  | 2009/12/24/17:37:38
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#No title
霖之助お父さんと朱鷺子の二人にひたすらニヤニヤせざるを得なかったw
  • by:
  •  | 2010/03/11/07:42:27
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