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十四朗亭の出納帳

アニメの感想、ゲームホビーの感想など 作品のジャンルにこだわらず書いていく予定です,SSとか書いてます

プロフィール

十四朗

Author:十四朗
(じゅうしろう)と読みます
ロボとか好き東方も好き
趣味の守備範囲は日々拡大中
東方の霖之助SSが主流です
一応現役の遊戯王プレイヤー
メッセ&スカイプは大歓迎です
SkypeID『Brassp905』


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文花帖買ってきました、個人的に宇宙服来た射命丸がドツボすぎる


『健忘の風景』

博麗霊夢 森近霖之助



「あそこにお店が有ったのは覚えてるわ、でもそこが何屋さんで
 どんな間取りだったのかまでは思い出せないの
 そもそもそのお店に入ったことすらなかったと思うわ」
残りが半分ほどになった湯呑みを勘定台の上に置き勝手に取ってきた大福を頬張りながら
紅白の少女、博麗霊夢は今日人里で感じた不思議な感覚をについて話していた
話しかけられている霖之助はいつも掛けてる眼鏡をはずし
霊夢とではなく店の帳面と顔を合わせている
「なんていうかそこに建物が建っていた、っていう風景が想像できないの
 元からそこは更地で何もないのが何年も前からのその場所の風景だって思えるのよ」
彼女いわく、人里に日用品の買い足しに来た時あるお店が無くなって空き地になていた
そこまでならいいのだが彼女はそこに何のお店があったか全く思いのだという
「最初から何もなかったんじゃないのかい?記憶力の良い君が町中の建物を忘れるとは思えないし」
「そう思って近くの店のおじさんに聞いたわ」
「それならそのおじさんの一言で解決だな」
「お店は確かにあったけれど何屋だったかは覚えてないですって
 その店の外観もその店が立っていたころのその場所の風景も
 よく考えてみれば思い出せないって言ってたわ」
万年筆をカウンターに置き、記入箇所の少ない帳面から顔をあげ眼鏡をかけなおす
「君の言ってることはよくわからないが要約すると店が消えたってことだろう?」
「違うわ、店が記憶から消えたのよ私とおそらく私以外の人達からも」
霖之助は胸の前で手を組み口を真一文字に結ぶ
普通この間まで営業していた店が閉店し店舗が解体され更地にされても
覚えている人が大概いるものだだが今回はそれがない
勘が鋭く聡明な彼女が覚えていないだけでなく人里の人が覚えていないとなると
「これは僕の仮説なんだが、その店は幻想からふるい落とされたんじゃないのかい?」
「また霖之助さんの飛躍しすぎた理論なの?」
「失礼なことを言うもんじゃない、いいかい霊夢?
 外で忘れられたもの無くなってしまったものが幻想郷に入ってくるのは知ってるだろう?」
「えぇ、知り合いが外の道具を拾ってきて使い方もわからないのに店の商品にしているわ」
「なら霊夢、この幻想郷で忘れられるとどうなると思う?」
しゃべり終えた後霖之助は自分の湯飲みの茶を飲み干すと
ようやく霊夢と目を合わす、しっかりとその眼の奥を見据えるように
黒く濁りのない眼の奥で彼女が結論を出すのをじっくりと待ってやる
「そうね、どこにも行けないんじゃないかしら」
十秒ほどの沈黙ののち霊夢がゆっくりと口を開いた
「だってそうでしょう?ここは幻想郷なんだからこの地にあるものはすべて幻想
 その幻想の住民がその地から忘れ去られるともう行き場所はないわ」
この子は鋭い少し突いてやればすぐに答えを見つける
「君の言うとおり幻想から忘れ去られてしまえば行き場所はない
 人々の記憶の片隅にも残らず誰からも思い出されることはなくなる
 つまりはなかったことになるんだよ、そこに何があったのかね」
「ならこの店も気をつけるべきねいつの間にか無くなって空き地になってても
 誰も気づいてくれそうにないわ」
霖之助の湯呑みにおかわりのお茶を注ぐ
霊夢らしくゆったりとなだらかに注いでゆく
「少なくても君と魔理沙の生きている内は安泰だよ
 君たちがしょっちゅうたかりに来る店を忘れるわけがないじゃないか」
「それもそうね服をツケで修繕してくれてお茶とご飯が食べられる店なんて忘れるわけないわね」
おかわりを注いだ湯呑みを霖之助に差し出し今度は自分の湯飲みにお茶を注ぐ
霖之助のお茶を注いだ様にゆったりとなだらかに、この店の時間のようにゆったりとなだらかに

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