十四朗亭の出納帳

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十四朗

Author:十四朗
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笑顔は重要

とりあえずジャスティス回帰と言う訳で紫霖。
色々遠回りしちゃったな、うん。

まぁ、今回は紫さんの出番は微々たるものですが。
一応『から愛想』からの続き。

そろそろ紫さんが報われそうなので通報しないとね。


『笑顔は重要』

紫、霖之助、藍









八雲藍の主、八雲紫が香霖堂へ出かけるときは決まって、
身嗜みに欠点が無いか、今日は顔色がいいか、
なんて事を藍に聞いてくる。

正直そんな事を聞かなくても紫は何時も完璧だ。
欠点なんて一つも見当たらない。

確かに紫は言動で胡散臭かったり、
得体の知れない行動が多い。
笑顔が不吉なんて事はよく言われる。

とりあえずそんな話は置いておこう。
今はあまり関係のない話だ。

紫は香霖堂へ出かける時は仕度に結構な時間を使う。

まず初めに着て行く服を決めて、
たっぷりの時間を掛けて湯浴みをし。
それが終われば爪や髪の手入れ、
最後に化粧を薄く施し香水を選ぶ。

香水は余り匂いのキツイ物は避けている様だ。
理由は大体分かる、店主が嫌うからだろう。

だがハッキリ言うと紫に大変失礼だが手遅れな気もする。
今まで散々胡散臭い言動と雰囲気、態度をしてきたのだ、
今更そんな物で覆る筈もない。

この前、遠回しに態度を改めてはと言ってみたところ。
一日だけ実行に移していたようだがすぐに止めてしまった。

何でも店主の態度がよそよそしいらしい。
おまけに何時もの君に戻ってくれと懇願(恐らく着色含む)されたそうな。

得意げな表情で「やっぱり何時もの私を気に入ってくれてる証拠ね」
なんて言っていた。

その時藍は。

「それは紫さまの態度が何時もと違うので、緊張してたのではありませんか?
 誰だって何時も接している人物が突然態度を変えれば戸惑います。
 素っ気ない事に定評のある店主もそれは変わらなかったのでしょう」

と言おうとしたが、
余りに主が上機嫌なので言うのを止めた。

その日はせっかく採れたての山芋をお土産として用意したのだが、
お互い何の事にも及ばなかったようだ。

この事に藍は頭を抱えた。

大事な時にまるで積極的になれていない。
あの時、一瞬だけとはいえ無防備になった店主の心を、
そのまま突き刺せばよかったのに。

勿体ない、実に勿体ない。

若い(少なくとも見た目だけは)男女が二人で食事を共にし、
その後の晩酌まで行う。

こんな状況ならすぐに物事が発展するとは考えてはいないが、
その気があるなら何故こんなチャンスを生かさないのか。

藍は悩んだ。
自分のサポートが至らないのか、
まだ足りないと事があるのかと。

その結果、香霖堂店主に直接聞く事にした。






「つかぬことを伺うが、店主殿」

「なんだい?」

店のカウンターを挟んで向かい合う二人。
藍は使っていいと言われた椅子に腰掛け、
お茶とお茶請けに出された油揚げが出された香霖堂で店主に質問をぶつけていた。

「最近紫様はこの店で何かして行ったかな?」

「何か、とは随分広い範囲だね。
 まぁ、確かに彼女はうちによく来るから色々あるよ」

「ほほう、例えば?」

なんだ、意外と進展してるじゃないか。
藍はそっと心の中で胸を撫で下ろす。

「何時も玄関を使う様に言っているのに、
 毎回の様にスキマを使って来店してくるのは説明不要として……」

これについては説明不要だ、問題はあるとしても。

「まずストーブの燃料代と称して、
 外の世界の道具を結構持ってかれたかな。
 能力を使ってスキマに道具を放り込むものだから止められなかった」

心の中の藍を何者かが鈍器の様なもので殴った。
思いきり地面に倒れこむ藍。

やっぱり店主が主に振り向く確率はとんでもなく低いのかもしれない。
主には気の毒だが。

「………続けて欲しい」

「ふむ、僕が夕食の準備を終えて配膳していたら、
 何故か紫が食卓についてた事があったな」

「……他は」

「似たような事なら、
 僕が晩酌の準備をしていたら僕の用意した杯と酒で、
 紫が何時の間にか晩酌を始めていた事とか」

「………」

「無縁塚に商品を仕入れに行こうと思って、
 大八車を押していたら急に大八車に重みを感じてね。
 振り向いたら紫が乗ってたよ」

これはもう本格的に駄目かもしれない。

紫は不意に表れて不思議な行動を取って、
どんどん彼に近づこうと言う作戦なんだろう。

紫の頭の中では店主に近づいている心算かもしれにないが、
店主は全力疾走で遠ざかっている。

ハッキリって彼女の行動はほぼ全て裏目だ。

いきなり夕食の席に現れれば誰だって驚く。
そしてその後は言動にもよるが大抵気味悪がる。

晩酌の件についても同様だ。
自分の用意した酒を勝手に飲まれればいい気はしない。
と言うよりただの泥棒だ。

アレだろう、紫なりにミステリアスな女性を演じてるつもりなのだろう。
やることなす事全て裏目だが。

これではミステリアスと言うよりもただの不審人物にしか見えない。

避けられるに決まっている。
好かれるどころか知り合ったことすら後悔されそうな勢いだ。

いや、すでにされてるかもしれない。
この店主は既に出会った事を後悔しているかもしれない。

「それは……すまなかった。
 紫様は幾分自由な方なので」

「いや、慣れたからもういいよ。
 むしろこの方が彼女らしい」

慣れられている。
既に今までの行動について慣れられている。

勝手に夕食を御馳走になった事も、
勝手に晩酌に参加した事も、
勝手に大八車の積み荷になあった事も。

その他諸々ひっくるめて慣れられている。
店主の心が広いのか、紫の奇行が多すぎるのか。
またはその両方なのか。

考えるのも嫌になって来た。

「……店主殿はやはり紫様の事が苦手なのか?」

「あぁ、苦手だ」

即答だ、返答までの時間に秒も掛ってない。
ここまでくると脈があるとかそんなのは地平線の彼方だ。
遠すぎて縁が無い。

「でも………嫌いではないな」

「今何と?」

「嫌いじゃないって言ったんだよ」

初めて見る表情だった。

元々笑顔とは無縁の性格をしていると思っていたが、
あの店主でも笑うらしい。

はにかんだような笑顔。
少々照れ臭かったのか人差し指で頬を掻いている。
楽しそうな顔だ。

「確かに紫は無遠慮なところがあるし、
 酷く胡散臭い。
 おまけに正体不明で神出鬼没。
 人の言う事はまったく聞かないさ」

「返す言葉もない」

「だけどね、そういうの全部ひっくるめても彼女の事は嫌いじゃないよ。
 僕なんかよりずっと博学聡明で彼女の考えには何時も感心する。
 この前御馳走して貰った料理も美味しかったし、
 彼女と杯を交わすと不思議と楽しいんだ」

「楽しい?紫様と一緒に居て?」

「あぁ、彼女が胡散臭い企みをしているとき以外は楽しい。
 それにね、彼女は偶に笑うんだ」

紫の笑顔、藍も見た事がある。

本当に嬉しい時やおめでたい時に見せる優しい笑顔。

藍が初めて上手く料理を作れた時、
藍が式として一人前になった時、
藍が自分の式を持った時。
思い出してみれば紫は笑顔だった。

胡散臭い企みや不気味さを脱ぎ捨てた綺麗な笑顔。
日常生活の中でも偶に見せる屈託のない笑顔。

藍はその笑顔を見る度に、
八雲紫と言う女性の中身にほんの少し触れる気がする。

きっと目の前で笑う店主もそうなんだろう。
彼もその笑顔を見る度に八雲紫の内部に触れるのだ。

「確かに。紫様最大のアピールポイントを忘れていたよ」

「彼女が聞いたら怒りそうだけどね」

「違いない」

藍の中で降り積もっていた疑問と悩みが溶け出し、
心を清らかな雪解け水が流れて行った。

一番詰まっていたのは自分だったのかもしれない。

先程まで絶望的だとか不可能だとか心の中で考えていたが、
この分だと心配いらなさそうだ。
あれこれ考え続けていた自分が馬鹿らしい。

その後、藍は紫の話題を切り出す事を止め、
道具の事等について話し合った。

立ち去る時はお茶とお茶請けとして出された油揚げに対して礼を言い、
深いお辞儀と時間を取らせた事を詫び帰路に着いた。




「ねぇねぇ、藍。
 今度香霖堂へ行く時にどっちの服を来て言った方がいいかしら?」

家に帰ると早速、両手に洋服を持った紫の質問にあった。
この様子だと明日にでも行くらしい。

右手に持った洋服は紫が好んで身の回りに取り入れる紫を基調とした洋服。
やたらとフリル多く付いてあり動きにくそうだが、
普段から移動にはスキマを使うのであまり関係ないだろう。

左手には先程の服と同じく紫色の布を使っているが、
基調とする色は白色。
白い布地に紫のアクセントが冴えわたる印象だ。

普段なら夕食の用意を優先して片手間で返事を返すところだが、
今日ぐらいは真面目に返事をしよう。

と言ってもあの店主の事だ、
服装を変えた所で彼の対応に何ら変化はないだろう。

「そうですね、右手に持っている白いお洋服の方がいいと思います」

「そう?でもちょっと地味じゃないかしら」

「偶にはシンプルに行くのも悪くないと思います。
 安心してくださいきっと似合いますよ」

「貴女にしては珍しくぼんやりとした返答ね。
 何かあったの?」

「いいえ、特に何もありません。
 それよりも紫様」

「なにかしら?」

「人の前ではもっとよく笑うといいですよ。
 そうすればきっと店主殿も笑顔でそれに答えてくれます」

「……へ?あ、ちょと! それってどういう意味なの!? 藍!」

「それでは私は夕食の支度がありますので」

「らぁぁん!? なんでそこで霖之助さんが出てくるの? ねぇ! らぁぁん!」

顔を真っ赤にして手をバタバタさせる紫をほったらかして、
藍は台所へと向かう。

笑顔は敵意が無い証拠。
笑顔は好意の証。

自分が笑顔なら、相手も自然と笑顔になるものだ。

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