十四朗亭の出納帳

アニメの感想、ゲームホビーの感想など 作品のジャンルにこだわらず書いていく予定です,SSとか書いてます

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十四朗

Author:十四朗
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ロボとか好き東方も好き
趣味の守備範囲は日々拡大中
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から愛想

最近書いてなかった我がジャスティス。
どうでもいい話だけど鈴霖と紫霖が私の二大ジャスティスなんですよ?
でも最近はアリ霖とかが入ってきて三大ジャスティスになりそうだ。

これが世に言う∞ジャスティスか。

『から愛想』


紫、霖之助







随分と日が傾くのも早くなって久しい今日この頃。
霖之助がもうじき店じまいか、
なんて考えて席を立ち店の掛札を営業中から準備中へと裏返した。
今日の客は二人。
名前は知らないが本を読むのが好きな妖怪が三冊ほど本を買って行き。
紅魔館のメイド長が紅茶の茶葉とアンティークナイフを買っていった。

たったの二人。
だがこの香霖堂にとってはまだ良い方かもしれない。
客以外の輩が屯して居る事が多く、
店主がとびっきりの変人ともっぱらの噂であるこの店に訪れるものなど、
冷やかし目的の者か、店主と同じぐらいの変人しか居ない。
対価を払う客が一日に二人も居るのは多いくらいだ。

まぁ客が少なくとも今の平穏な生活が気に入っている霖之助には関係のない話だが。
尤も、そんな平穏はすぐに破られることになる。
一人の少女の存在によって。

掛札を裏返して何時も自分が座っている椅子に戻ってくると先客がいた。
霖之助は特に驚いた様子もなく、やや棘のある口調で先客に注意をする。

「他人の場所を取るのはあんまりにも大人気なさすぎるんじゃないかい?」

「あら、開いているから座らせてもらっただけの事よ。
 それにね、今日はお土産もあるのよ」

カウンターの内側にある霖之助がいつも座っている椅子に、
背を伸ばした状態でちょこんと座る紫色の豪奢なドレス姿をした少女。
肘まである礼服用の白い手袋を付けた腕を膝の上に起き、
じっと霖之助の方を見つめるその姿は一枚の絵画を彷彿とさせる。

霖之助から注意を受けた彼女は特に悪びれる様子もなく、
これまた無断でカウンターの上に置かれた新聞紙に包まれたものを指さす。
新聞紙に包まれたそれはやたら長く太さは子供の腕ぐらい。
太さと長さ的に見て大根か何かだろうか。

それはさておき、まず第一に対処すべきはこの少女だろう。
とにかくこの少女に何を言っても無駄だろう。
この妖怪少女八雲紫との会話は煙を掴む様で実りがない。
実らせようと努力をしてもどうしたら実るかすら分からないのだ、匙ならとっくの昔に投げた。

「まぁ君に何を言っても暖簾に腕押しなのは分かってるけどね。
 それでそのお土産とは?」

「今朝山で採れた山芋だそうよ。
 藍が何時も厄介になっているんだから持ってきなさいって。
 そんなの気にしなくてもいいのに、だって私と貴方の間柄でしょ?」

「君の式にありがとうと伝えておいてくれ。
 それと君は少しは気にすべきだと思うよ」

「貴方との距離?近くに居て欲しいの?
 もぅ、そう言う事はもっと早くハッキリと言う物よ」

「全然違う。少しは僕の気持も察して欲しいって事さ」

「私には殿方の考えなんて分かりませんわ。
 殿方が乙女の心が分からないように」

「妖怪の賢者が何を言うか」

しかし山芋とは中々面白い土産である。
早速霖之助はカウンターの上に置かれた新聞紙の包みを広げてみる。
包みを開けたとたんに鼻を通り胸を突く土の香り。
今朝採れたばかりてと聞いていたが、鮮度に関しては文句は無い。
おまけに本数は二本、二人で食べるのには十分な量だ。

しかし問題はこれがただのお裾分けではないという事だろう。
霖之助の知る限りでは八雲紫と言う少女は100%の善意で物を分け与えるような人物ではない。
何か裏があると言うほどでも無いだろうが調理しなさいぐらいは平気で言ってくるだろう。
まぁ彼女のする要求の中でも優しい方の部類には違いないが。

「っで君は僕にこの山芋をどうしろって言うんだい?」

「あら、別に私は貴方に何かをしろなんて言ってませんわ」

「あぁ分かった。無言の圧力ってやつだね」

「これだけ言っても分からないの?
 今夜は私が作った料理を御馳走してあげるって言ってるの」

紫が最後まで言葉を言いきるか言いきらないかの所で、霖之助の全身の毛が逆立つ。
足もとから首の辺りに掛けて鳥肌が立った。

あの八雲紫が自分に料理を御馳走するだって?
面白くない冗談にも程がある。
何時から妖怪の賢者八雲紫はこんなつまらない冗談を言うようになったのか。
いや、冗談にすらなってないのかもしれない。

「ちょっとちょっと、いきなり押し黙っちゃってどうしたの?
 時間が時間だしそろそろ台所を借りて料理を始めたいんだけど」

「あ、あぁ使ってくれても別にかまわないよ」

「そう、ならよかった。
 ついでに襷とエプロンも借りるわね」

「お好きにどうぞ」

ニコニコと嬉しそうに笑顔を見せる紫から目をそむけて彼女が持ってきた山芋に改めて目をやった。
包み紙として使用された新聞紙の上に横たわる立派な山芋。
この山芋が美味しそうな事が霖之助にとって唯一の救いであった。




先程からカチャカチャと食器や調理器具を使う軽快な音が居間にいる霖之助の耳に入る。
表向きは新聞を読みながら居間に置かれたちゃぶ台でくつろいでいる様に見えるが、
しっかりと紫の行動をチェックしている。
台所は居間と廊下をはざんで向かい側、襖を閉めていないので彼女の行動は丸見えだ。
当の本人はそんな視線を気にせず洋服の袖を襷で結び、白いエプロン姿でご機嫌の様子だ。

変な調理をしていないか、妙な物を料理に混ぜていないか、食べられる物を作っているのか。
とりあえず彼女の行動の全てにおいて不審な点がないか確認する。

彼女が本当に何かしようと思うのなら、
霖之助が到底気付けそうにない方法で行動を起こしそうだと、
監視を始めてからすぐに思ったが、それでもしないよりはマシだ。
彼女なら何かしてから、
例えば意図的に砂糖と塩を間違えて入れた料理を食べさせた後涼しい顔で。

「あら、気付いていらっしゃらなかったの?
 私はてっきり気付いているものだと思っていたのに」

なんて言いかねない。
そう言うのは真っ平ごめんだ、味覚と言う物は興味本位で限界を試す様なものではない。

「ねぇ霖之助さん。酢の物は大丈夫かしら?」

「あぁ、大丈夫だよ。特に好き嫌いは無いしね」

突然台所から声がした。
思わず目の前に広げた新聞紙に身を隠してしまう。
何をビクビクしているんだ、彼女がただ好き嫌いを尋ねて来ただけじゃないか。
そう思い新聞紙から顔をあげそのまま新聞紙を折りたたむ。
もうつまらない詮索は止める事にする。
大体疑って掛る行為自体が彼女に対して失礼だ。
山の様にどっしりと構えよう。
霖之助はそう心に誓った。

思えば紫を強く疑い過ぎた、彼女にだって友人に夕食を御馳走する事ぐらいあるだろう。
その友人に霖之助が入っているかどうかは霖之助自身には分からなかったが、
彼女とは花見もしたし月見酒もした事がある。
一応は友人だろう。
だからその友人を疑うようなまねは止めにする。

それが森近霖之助が出した、半ば諦めにも近い答えだった。




「さぁどうぞ、遠慮なさらず召し上がって」

「……いただきます」

あれから半刻もしない内に香霖堂の食卓は趣向を効かせた山芋料理が並んでいた。
まずはみそ汁とご飯。
それからオーソドックスにご飯にかける為のとろろから天麩羅、キュウリとあえた酢の物、
それからちゃぶ台の真ん中の大皿には山芋の刺身が大量に乗せられていた。

まず霖之助は酢の物に手を付ける。
一口分を箸で摘まむとそのまま口へ入れた。
キュウリの青々しさと山芋のシャキシャキ感、
この二つが噛みしめる度にいっぺんにやって来る。
美味しい。
お世辞も皮肉もなしでそう思った。

「お口に合うかしら?」

「合うも何も、お世辞抜きで美味しいよ」

「そう、ありがとう」

ホッとしたような顔で彼女がまた笑った。
何と言うか、こうして見てみるといたって普通の少女に見える。
もっと普段からこんな表情を見せればいいのに。

それは無理な話か。
彼女は妖怪の賢者、そして幻想郷の管理者なのだから。
紫には賢者の顔と言う物がある。

「霖之助さんお醤油いかがしら?」

「使わせてもらうよ、ありがとう」

紫が差し出した醤油さしをちゃぶ台の上を渡すように彼女が差し出した。
その行為に答えて霖之助も手を差し出す。
差し出した手が醤油さしに触れると同時に紫の手にも触れた。
仄かに温かみのある手、肌の肌理は細かく繊細だ。
とっさに彼女の目を見てしまう。
凛と張りつめた青い瞳はキョトンとした様子で霖之助を見ている。
何か言いたげな口元は赤くふっくらとした唇が柔らかそうだ。

彼女のこんな表情はみた事が無かった気がする。

「どうしたの霖之助さん?やっぱりお醤油要らなかったの?」

「いや何でもないよ」

紫の言葉で危うく立ち直る。
何をやっているんだ自分は、せっかくの料理を楽しまずに何を楽めと言うのだ。

さっきの事はさっさと忘れよう、気の迷いだ。
そんな気持ちを拭い去るように再び顔を上げる。

やはりそこには邪気のない顔で箸を進める紫の姿があった。




結論から言うと今日の夕食はとても満足の行く無いようだった。
料理の一つ一つをとっても質が高いく美味しい。
文句は無い。
唯一つ気になる事がある。

今日の紫は何故かとても素直だ。

お決まりの胡散臭い笑みもなければ、
他人の揚げ足を取る様な発言もあまりない。
しまいには食後のお茶を自分でいれただしたのだ。

何時もからの変わりようが逆に怖い。
先程は疑うような真似はしないと言ったがこれは別に疑っている訳ではない。
純粋に怖いだけだ。

怖いくらい素直な紫が怖い。

「ねぇ霖之助さん」

「ん、あぁなんだい?」

「実は美味しいお酒があるのだけど一緒にどうかしら」

「…………いいのかい?」

始まった、素直な紫の親切攻撃。

「と言うより最初から貴方と飲むために用意したような物なんだけれど」

そう言うと紫は自分が作り出した空間の裂け目、スキマに手を突っ込む。
中々便利な能力だと霖之助は常々思う。
これなら無縁塚へ行った時に拾った物を持ちきれなくなるなんて事にならなくて済む。
さしずめ無限のポケットと言ったところか。

「お待たせ。杯もあるからそのままにしてて結構よ」

彼女がニュゥっとスキマから手を出すとその手には一升瓶と杯が一組握られていた。
紫は片方の杯を霖之助に差し出す。

「私がお酌してあげるわ」

「これはこれはどうも」

受け取った杯に紫が酒を注いで来る。
霖之助の杯に酒が注がれたら次は霖之助が紫の杯に酒を注ぐ。
お互いに酒を次終えると杯の縁を軽く当てて乾杯をした。

「それにしても、なんだかなぁ」

「どうしたの?変な顔しちゃって」

「いや、何となくね」

「嘘おっしゃい、夕食の時からそんな顔よ」

「そうかい、そうだね。
 君にこんな事言うと失礼かもしれないが。
 今日の君は………何時もと違う気がしてね」

「そうかしら?」

「そうだよ。やけに素直だし、僕に面倒をかけさせない」

「あら酷い。それじゃぁまるで私が何時も素直じゃなくって面倒をかけてるみたいね」

「実際そうだよ」

「私……泣いちゃいそう」

プイっと横を向いてしまった紫の機嫌を取るように彼女の杯へ酒を注ぐ。
このぐらいで彼女がへそを曲げる訳がないが一応形式的にこう言う事をしておいた方がいい。

「それでまぁ、なんだろう。
 君が君じゃないみたいでね、少し調子が狂ったってのが僕の本音さ。
 だからもう、そう言う態度は無しにしてもらえないかな?
 その、何と言うか。対処に困るんだ」

そう霖之助が少々照れ臭そうに紫の顔を見ながらボソリと呟いた。
その言葉を聞いた紫の口元がどんどん釣り上がって行く。
何時もの彼女の顔だ。
とびきり胡散臭く、信用ならなくて、人を食ってかかる。
今日は初めて紫が何時もの紫の顔をした気がする。
なんだか彼女のこんな表情を随分と忘れていた気分だ。

「ふふふ、なんだかんだ言っても何時もの私が好きなのね?」

「縁起でもない事を言わないでくれ。
 たださっきまでの君は実に君らしくなくって変な感じだったんだ」

「何処がかしら?」

「全部だ」

ワザとらしく知らないふりをする紫。
明らかにワザとだ。
こうやって他人の鼻をつまむのが大好きでいてこそ八雲紫だ。
今日の彼女の態度を見ていて十分理解した。
とはいえ鼻をつままれっぱなしというのも癪に障る話だが。





今日の紫の態度は彼女の式、八雲藍の提案によるものだったらしい。

紫曰く、
藍が何時もと違う態度で接してみたら店主の面白い反応が見れると紫に諭したそうだ。
それを紫が面白半分で実行した結果、見事ドツボにハマったという事訳である。
紫はこみ上げてくる笑いを堪えるので必死だったそうな。

まったくもって失礼な話だ。

霖之助は紫が帰った後の居間でそんな事を考えながら一人で晩酌の続きをしていた。
一日に飲むと決めた量はとっくに過ぎている。
それでも飲むのを止めないのは今日の自分の醜態を忘れたいが為か。
変な所は負けづ嫌いな男だ。

それにしても、今日の紫は文句の付けようがなかった。
人を騙して楽しんでいたのは頂けないが、偽っていたとはいえあの態度は素晴らしい。
元からいい容姿に加えて献身的なあの態度。
数日間続けられたらずっとそのままでいてくれなんて言いかねなさそうだ。

もっとも彼女の素の性格からして無理そうではある。




八雲紫が自宅へ帰宅したのはまだ月が高く、日も変わらぬ内だった。
今日は帰ってこないだろうと予想をしていた藍はその突然の帰宅に少々驚いた。
最初は店主に追い出されたのかと思ったが、上機嫌に鼻歌を歌っている辺り違うようだ。
少なくとも紫的には満足なようだ。

「おかえりなさいませ、紫様」

「ただいま、藍。
 お風呂の用意は出来てるかしら?」

「すみません、まだです。
 向こうで済ませてくるとばかり思っていましたから」

ペコリと紫に頭を下げる。
その姿に紫はいまいち納得して居ないようだ。
どうしたのかしら?なんて顔をしている。

「どうして私がお風呂を向こうで済ませてくると思ったの?」

「と言うより朝まで戻らないものだと思っていました」

しばしの沈黙。
お互い顔を見合わせる形での沈黙だ。
幻想郷随一の思考の速さを持つ紫が止まっている、物凄く珍しい光景だ。

ようやく頭の中で答えが出たのか、とたんに顔を真っ赤にして手をバタバタと振った。

「な、な、何言ってるのよ!!私がそんな事!!」

「考えていなかったのですか?その為に山芋を手土産にしたと言うのに」

「え?あ!あぁ!!そう言う意味だったの!?」

「そう言う意味です」

「ゆ、優秀よ藍。
 言葉で褒め足りないくらい優秀よ藍」

「お褒めにあづかり光栄です、紫様」

紫は扇子で顔を隠し冷静を取り戻すよう努めている様だ。
だが上手くはいっていないらしい、耳元が真赤だ。

「でも藍」

「はい」

「貴方が言ってた、人を手玉に取らず素直に接するって作戦は霖之助さんに不評だったわよ?」

「そうですか、大概の男性はそれで堕ちるものとばかり思っていましたが」

「これってやっぱり霖之助さんは普段の私を気に入ってくれてると言う事よね?」

「はぁ、そうなるんでしょうか」

「そうよ、でなきゃ何時もの君に戻ってくれなんて言わないもの」

それは無いと思うけどなぁ、なんて藍は心の中で思うがすぐに振り払う。
主が満足しているのだしこれいでいいか、とりあえずそう結論付けた。

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最後の山芋のくだりで噴いたw
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  •  | 2011/01/20/17:34:14
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