十四朗亭の出納帳

アニメの感想、ゲームホビーの感想など 作品のジャンルにこだわらず書いていく予定です,SSとか書いてます

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十四朗

Author:十四朗
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椛の季節

いつかリクで椛霖を書いた時、また機会があれば書くとか言ってましたけど結構早かったかも。
私にはWで取るのは無理なのでもーみもみの方を選ばせていただきました。

内容は寝る前に天狗が枕元で囁いた程度の内容なので、まぁ苦笑い的な。
にしてもこの天狗はいったい何なんだろう?A~Zの輩じゃなさそうだし。



『椛の季節』


犬走椛、森近霖之助







妖怪の山の白狼天狗、犬走椛が香霖堂へと来店した。
この店に来る者は大半が客か客でない客に分けられるが、
椛はそのどちらも満たしている珍しい客だ。
霖之助個人に用事があって来る事もあるし、純粋に買い物をしに来る時もある。
そんな事もあってか以前は山へ入ってくる霖之助に口喧しく注意をするだけだった椛が、
最近は山へ入っても余り注意をしなくなった。

それどころか一緒に釣りに興じたり、世間話をしたり。
本来なら侵入者と追い出す側と言う関係の二人には奇妙な交流が生まれていた。
以前霖之助が余裕を持って行動をした方がいいと諭した事があったがそれを実践しているらしい。

以前の彼女らしくない冗談も言う様になったし、
態々霖之助が山へ出向かなくても椛の方から来てくれるほどになった。

お陰で最近は山へ入りやすい、
霖之助としては下手な厄介事に絡まれる心配が減ったのでありがたい。
それに彼女は香霖堂へ来る時は必ず手土産を持ってくる。

魚だったり、猪や熊の肉だったり。
特に魚が多い、何でも霖之助の作る燻製が気に入ったそうだ。
彼女が持ってきた魚を燻製にして次に彼女がやって来た時にそれを渡すと、
尻尾が千切れるんじゃないかと言うくらい嬉しそうに尻尾を振る。

因みに猪や熊の肉だった場合は二人で鍋をつつく事になる。
稀に食材の匂いを嗅ぎつけた魔理沙や霊夢が勝手に御馳走になる事もあってか、
こちらの頻度は少ない、中々肉が新鮮で美味しいだけに残念だ。

そんな事で最近、すっかり香霖堂の常連客となった椛は、
今日は客として来たそうなので店内の商品を見て回っていた。

そしてそんな椛に霖之助が強く意識を惹かれるものが一つあった。
それが椛の尻尾である。

霖之助の前で左右に揺れている白くふさふさな尻尾。
今の椛はカウンターの前、つまり霖之助の間の前、
楽しそうに尻尾を振りながら品定めをする椛の尻尾が気になって仕方なかった。

彼女が棚に置いてある道具を手に取る度に好奇心によって左右に大きく振られる尻尾。
時にゆさゆさと、時にばさばさと。
その不思議な魅力を持った尻尾は絶えず霖之助の興味をそそる。

あれは意図して動かしているのだろうか?感触はどうなのだろうか?
そんな疑問がただ霖之助の興味を刺激した。

確か以前、今日と同じように尻尾が気になって椛に聞いた事がある。
すると椛は自分のその愛おしそうに尻尾を抱きしめながら。

「私の自慢の尻尾なんですよ、
 毎日ブラッシングをして毛が痛まない様に気を付けてるんです」

なんて話してくれた。
そこまで言われると余計に気になるのだが、
霖之助が触ろうとすると何時も逃げたり避けられてたりする。

だが椛が品物に気を取られている今なら、少し位なら触れるかもしれない。

霖之助は相変わらず左右へ揺れる尻尾にゆっくりと手を近づける。
椛はまだ気付いていない、好機だ。

霖之助はそのまま椛の尻尾を軽く撫でた。

「うひゃぁ!?な、な、な、何するんですか店主さん!」

触ったと同時に椛が素っ頓狂な声をあげ飛び上がる。
だがそんな事は今の霖之助に関係なかった。

先ほど霖之助が触ったあの尻尾、恐ろしく手触りがいい。

毛の一つ一つが丁寧に手入れをされていて撫でただけでも手にその感触を覚えさせる。
おまけに毛の量が多いのでふかふかと来ている。
もふもふとはこういう事を言うのだろう。

「い、いきなり尻尾を触るなんてどういうつもりなんですか!」

「いや、すまない。つい気になってしまって」

「店主さんのスケベ!」

尻尾を触るのはスケベなのか?そんな疑問が霖之助の頭を過った。
少なくとも椛にとってはひどく羞恥的な事らしい。

だがここで霖之助は椛の反応に違和感を感じる。
ハッキリとはどんな、っとは言えなかったが、
少し元気が足りないと言うか無理をしていると言うか。
とにかくどこかに細かな異変を感じた。

「ちゃんと言ってくれれば触れせてあげたのに………」

「ん?なんだって?今何と……」

「な、なんでもありません!ひ、独り言です」

顔から火が出るほど顔を真っ赤にした椛の声はどれも後半が消え入りそうだった。

「まぁすまなかったね、
 考えてみれば女性の体を無下に触ろうとした僕も僕だったし。
 この事は忘れてくれ」

「そ、そんなに触りたかったんですか?」

自分の尻尾を大切そうに抱きしめ、
カウンタの―の霖之助を恐る恐ると言った感じの上目使いで眺める椛。
抱きしめた尻尾は絶えずバサバサと動き落ち着いていない様子だった。

「僕の一時の気の迷いだ、忘れてくれと言っただろう」
 
「触りたいんですよね?」

嘘つき、なんて風に椛が切り返す。

「いや、だからあれは」

「あんまり乱暴にしないのなら、その………いいですよ」

「わかった椛、僕をからかうのはそれくらいにしてくれ。
 そうだお茶をいれよう、たしか霊夢が開けた上等なお茶がまだ余ってたはずだ」

椛の視線を振りほどくように霖之助が椅子から立ち上がる。
だが立ち上がったところで服の袖を椛がカウンター越しにちょこんと掴んだ。
それは決して力を入れて掴まれている訳ではない。
だが、縋るような眼をして袖を掴んでくる少女の手を、
無理に振り解けるほど霖之助は良心を捨てていない。

「椛、お茶菓子も出すから勘弁してくれないか?」

「そんなの………後でいいですよ」

「そうか、あぁそうかい。いいだろう、いいよ椛」

結局お茶とお茶菓子はいるんだな、
半ばヤケクソにそう思いながら霖之助は観念したように先ほど程まで座っていた椅子に再び腰かけた。
そして椛にこっちへおいでとカウンターの中へ入るように促す。
椛もそれに頷いてカウンターの内側へと入り、
丁度座っている霖之助と向かい合う様に霖之助の前に立った。

「本当にいいのかい?その………他人に触らせるのは」

「くどいですよ、痛くしないのならそれでいいです」

その言葉を聞いて霖之助は瞳を閉じて一呼吸する。
そして吸い込んだ息を吐き出し眼を開くと、まっすぐ椛の目を見据えた。

「では、失礼するよ」

それだけ言うと霖之助は彼女の腰の下辺りに手を回す。
そしてまず尻尾を軽く撫でた。

ピク!っと小さく反応する椛、尻尾も一瞬だけピン!っと硬直した。

それから霖之助は尻尾の根元の方から先に掛けて軽く握りながら撫でてみる。

「ん、やっぱり優しい手付き………」

「嫌じゃないかな?」

「全然、あの店主さん少しいいですか?」

「ん?どうし……」

霖之助が言い終わる前に椛が霖之助の方へと寄りかかる。
丁度椅子に座る霖之助に椛が支えられている形だ。
霖之助の胸板へ顔を埋め、尻尾を霖之助の手へと絡めつける。
柔らかな毛並みが霖之助の手を優しく包み込み、
椛の体温が否応にも霖之助へ伝わる。

体温だけではない、椛の自身の感触や吐息、鼓動までもが事細かに霖之助に届いた。

「椛、これは一体どういうつもりなんだい?」

椛は答えない、
代わりにこのままにしておいてくれと言わんばかりに頭を霖之助の胸元へ擦り寄せる。
温かい彼女の吐息、そして彼女の口からは甘える様に小さな声が漏れていた。

霖之助はそんな椛の頭へ無意識の内にもう片方の空いた手を乗せていた。
頭の天辺から後頭部へ、霖之助は自分の手で彼女の頭を包み優しく撫でる。

二人は恋人でも何でもない。
本来子の様な行為は恋仲の関係にある者同士がやる事だろう。
だが二人はその関係に当てはまらない。
二人は客と店主ただそれだけの関係のはずなのに、お互いに抱き合っている

普通ならこんな恋人紛いの行動は絶対に起こさない。
なのに何故かこうなってしまった。
本来なら霖之助も椛が抱き付いてきた時点でやんわりとこの状況を終わらせるはず。
いや、それ以前に椛が霖之助に尻尾を触っていいなどと言わなかったはずだ。

「くふぅ、………んぁ」

「君は誰かに甘えたかったのかい?」

ブンブンと顔を埋めたまま首を左右へ振る。

「嘘だね、何か仕事で失敗でもしたのかな」

ピタリっと椛の動きが止まった。
霖之助の手に絡めていた尻尾は垂れ下がり力を失う。
その代わりなのか霖之助の背中へと腕を回すと思いっ切り力を入れた。

「図星の様だね、店に来た時は明るく振舞おうとしてたみたいだけどどうせカラ元気だったんだろう?」

その問いに答えずにますます背中に回した腕に力が入る。

「侵入者を取り逃がしたか、命令どおりに行動できなかったのか。
 いや、そんな事を聞くのはよそう」

そう言って霖之助は椛の頭をまた撫でる。
そんな事を聞かなくても分かる。
彼女は自分がミスをしたと思うとすぐに落ち込んだり拗ねたりするからだ。
まるで子犬だ、だがそんな所は嫌いではない。
そう言う弱点の様なものが無いと人も妖怪も可愛げがない。

霖之助は先ほどまで尻尾を撫でていた手を背中へ置く。
そしてトン、トン、っとリズムを取って彼女の背中を優しく叩いた。

「今回だけだよこんな事は。
 伴侶でも恋人でもない男に身を預けるなんて事はね」

相変わらず胸に顔を埋めたままの椛に霖之助はそう静かに諭した。

「だったら……だったら……なら………ですか?」

椛が何か言ったようだが小さな声で胸に顔を埋めたまま言うのでよく聞き取れなかった。
とりあえずこれも甘えなのだろう。
下手に突き放すのも逆効果だ、とりあえず霖之助は「あぁ勿論さ」っとだけ返事をしておく。
それから、「早く機嫌を直すんだよ」と言って椛の頭をまた撫でた。

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