十四朗亭の出納帳

アニメの感想、ゲームホビーの感想など 作品のジャンルにこだわらず書いていく予定です,SSとか書いてます

プロフィール

十四朗

Author:十四朗
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ロボとか好き東方も好き
趣味の守備範囲は日々拡大中
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でんでろ唐傘

最近株価急上昇中の小傘ちゃんです。
え?小傘ちゃん可愛くない?私は可愛いと思いますけど。

復唱要求!小傘ちゃんは泣き虫で凹みやすい娘。
って何言ってるんだ私は。


『でんでろ唐傘』
 

小傘、霖之助








自身の住居へと続く道は今朝まで降っていた雨の影響でまだぬかるんでいた。
霖之助は泥濘の深い所を踏まない様に気を付けながら帰路を急いでいた。

片手にはまた降り出すかと警戒して持ってきた、黒い紳士用の傘。
背中には栗を満載した竹籠と栗と一緒に竹籠に入ってある火箸、
そして外からは分からないが、
何時も彼が腰に巻いている道具入れの中には作業用の手袋が入ってある。

そう、つまり彼は栗拾いの帰りの真っ最中と言う事だ。

雨が上がった次の日と言う、決していいコンディションの日ではなかったが、
成果は彼の背中の籠を見る限り上々だ。

これなら予期出来るお呼びでない輩が三人ほど来ても、
正月のおせちに使う栗金団の分まで余りそうだ。

そんな訳で何時も店の椅子にずっしり構えて、
動かない事で有名な森近霖之助の足取りは軽かった。

「うぅ~しくしくしく」

香霖堂まで後四半刻、と言った所で道の脇の木陰から突然誰かの泣き声が聞こえた。
キンっと高いその泣き声は恐らく少女の物だろう。
声のする方木陰の方を見てみると大きな紫色の唐傘を差し小柄な人影が眼に映った。
傘はその人物の上半身を完全に覆い隠し小刻みに震えている。
確認する余地もなく彼女が泣き声の主だと分かった。

(これはまた、面倒だな。
 だが店がすぐそこの場所で放っておくのも店の沽券にかかわるし。
 それに昼間とは言え獣や妖怪に襲われないとも限らない………
 そんな事になったら目覚めも悪い。)

霖之助はそっとしゃがみ込んで泣いている少女の後ろへ立つと、
出来る限り穏やかな口調で声をかけた。

「失礼だが君はどうして泣いているのかな?
 道に迷ったのかい?それとも怪我でもしたのかな?」

「うぅ、ぐす、わちきの……わちきの………」

霖之助が声をかけると少女はすんなりとそれに応えた。
だが霖之助の方は向かない、これではなだめ難い。

「とにかくこんな場所で何時までもこうしているのは危険だよ。
 早く里へ帰るといい、それともやむにやまれぬ事情でもあるのかい?」

「わちきのぉ………ぐす、うぅ、わちきの傘が………」

「傘?壊れてしまったのかい、その傘。
 僕が見た様子だとちゃんと開いてるし壊れている様には見えないのだが」

「ちがうの………わちきの、わちきの傘が」

そこまで言って彼女はゆっくりと立ち上がる、
大きな紫色の傘で上半身を隠しながら。

「わちきの傘が…………こうなっちゃったの!!!」

彼女がその言葉を発して傘から顔を出した瞬間、
彼女が今まで持っていた大きな傘から裂けた大きな口と長い舌が生え、
その上には大きな目玉が一つ、ニタァと笑って霖之助を見つめていた。

それはまごう事なき人街の証、間違いない、妖怪だ。

おそらく霖之助の様に泣いている所を気になって声を掛けた人間を食い殺すのであろう。
そしてその長い舌で人間を絡め取って一飲みに違いない。

とにかくこのままこうしてじっとしているのは不味い、何か防衛手段を取らねば。

そう考えると、霖之助は先程まで穏やかに声を掛けていた目の前の少女、
いや妖怪に対して持っていた天高く傘を振り上げる。

手に持っている物体を振り上げると言う事、それはつまり次の瞬間には振り下ろす事だ。
そしてそういう行動をする場合大体は対象があって、かなり力を込めるものだ。
それが金槌と釘であれ、刀と人であれ。

幸い今日は荷物と言える荷物は背中にしょった籠だけだ。
背中なので余り霖之助の動きを制限しないだろう。
霖之助は前に出してあった右足を踏みこみ、
傘を持つ両腕に全身全霊の力を込めて目の前の妖怪の頭へと振り下ろした。







「うぁぁぁぁぁん!!!うぅぅぅぅ!!ひっぐ!ひっぐ!」

「だから僕が悪かったと言っているじゃないか、
 だがあれは君にも…」

「わちきは痛い事なんにもしてないのに!ぐす…ひっく!
 それなのに思いっ切りわちきの頭を傘で、うぁぁぁぁん!!」

軽く状況から説明しよう。
先ほど霖之助がはなった渾身の一撃は見事にこの少女、
多々良小傘の頭部へと直撃した。
寸分の狂いもなく、僅かの力の漏れも許さないその一撃のお陰で、
霖之助の傘は大分曲がってしまったが、修理できない範囲ではない。

そもそも問題はそんな事ではない。

その一撃が直撃した直後、小傘はあっけなくぬかるんだ地面へと倒れた。
そのあまりのあっけなさに当の霖之助も拍子抜けだったが、
次の瞬間、倒れた小傘は傘が直撃した部分を抑えて泣きだしたのである。

先ほどの様にすんすんと大人しく泣くのではなく、
まさに大泣きと言った方が正しい程の泣きっぷりだ。

赤と水色の左右で色の違う双眸から大粒の涙をボロボロと、
それはもう体中の水分を出してるんじゃないかと言う程だ。

これには流石の霖之助も狼狽する。
こんな森のど真中で大泣きする少女とその傍にいる男。
どちらが悪いかなんて一目瞭然だ、妖精にでも分かる。

つまりこんな姿を誰かに見られれば、
霖之助と香霖堂の名は一気に地の底へ沈むと言う訳だ。

それは不味い、すごく不味い。
どうにかしてこの少女を泣きやせなければならない。

「とりあえず落ち着いてくれ。
 ほら飴をあげよう、だから泣きやんではくれないだろうか?」

「ぐす!ぐす!ひっく!そんな物でわちきが釣られるとでも!うぅ」

言葉ではそう言うが霖之助の手から少し飴の包み紙を受け取ると、
すぐに包みを解いて口の中へと放り込んだ。

ちなみにこの飴は霖之助が遠出をする時に何時も持ち歩いているものだ。
長い距離を歩いていると口寂しくなる事もあるし、
肉体労働なんかをすると甘いものが欲しくなる。
それに今回の様に妖怪などとも余計なトラブルを避ける事が出来るからだ。

具体的には飴を差し出した隙に逃げるとか。

「ひょれにわひきひゃけならともひゃく、
 あなひゃのそのかひゃにまでいひゃいおもいひゃへひゃっへ!」

まだ大きい状態の飴玉を口に含んだ状態いなので上手く舌が回っていない。
霖之助には丁度よい大きさの飴玉だが、少女には少し大きかったのだろう。

「なになに「わちきだけなら兎も角、アナタのその傘にまで痛い思いをさせちゃって」だって?」

「ひょう!ひょう!」

ブンブンと首を上下に振って自分の意を伝える小傘。
ちなみに今のは「そう!そう!」と言ったようだ。

涙はもう流していないようだが、
腫れた瞼と紅くなった頬に涙の跡がまだ目立つ。

「確かにこの傘には悪い事をしたね、
 後で治してやらないと」

「そう思うのならひゃい初からそんな事しなければいいのに、
 お陰でわちきがひょんな目に遭うひゃから!
 でもこの飴玉はおいひいいわね」

「それはよかった、ただ喋るなら飴をもう少し舐めてからにしてくれ。
 さっきよりマシだが聞き取りづらい」

「なによ!自分からくれたくひぇに!でもおいひいからいいわよ!」

まだ霖之助に対して警戒の色を解いてないのか、
霖之助へ返す言葉の一つ一つにはまだ棘がある。

「でも君は変わってるね、自分の心配の他に僕の傘の心配までするなんて」

「当たり前じゃない。わちきは傘から化けた由緒正しき唐傘お化け、
 そんなわちきが同胞である傘の心配をしない訳ないでしょ」

「成程、君は化け傘、傘が転じた妖怪だから同じ傘には気を使う訳だ」

ようするに付喪神みたいな物という訳だ。
まぁ付喪神の様に幸を残したり、不幸を残したりしないだろう。
たかだか一匹の妖怪だろうし。

「そうよ!だから雨が止んで不要になったからって、
 傘でチャンバラしたり、傘を杖代わりにしちゃいけないんだから」

「まぁまぁ、少しは落ち着いたかい?
 おっと、僕の方はまだ名乗っていなかったね。
 僕の名前は森近霖之助、この森の入口で古道具屋をやっている」

「古道具屋?古道具屋って、
 古い道具が量り売りされて本人の意思とは関係なく、
 無理矢理売り飛ばされて行くっていう、あの古道具屋?
 アナタみたいな人にはお似合いね!道具の敵!」

「その言い方は酷いんじゃないかな、
 少なくとも僕はやたらめったらに道具を売りさばいたりしないよ。
 キチンとその道具を使うに足りる人物にしか道具は売らない事にしているんだ。
 それに壊れた道具はキチンと修理するしね。
 だから僕は道具の最大の味方のつもりで居るんだけどな」

霖之助の目の前の小傘は立ち上がって霖之助と対峙しているが、
先程、ぬかるんだ地面に崩れ落ちたので服と髪は泥だらけでグシャグシャだ。
おまけに霖之助の一撃が入った頭部は不自然にポコンと膨らみがある。
タンコブになっているのだ、早く冷やした方がいい。

「とにかく頭の怪我の手当だけでもしよう、
 ほっとくと青痣になって酷いからね」

「お洋服と髪の毛もグシャグシャで、
 おまけにお腹も減ってるんだけど」

「はぁ、分かった。
 店に着いたら湯船に湯を張って、洗濯をしてからご飯にしよう。
 ちなみに今日は栗が大量うに手に入ったから栗ご飯だ」

「まぁ、私の痛みに対しての謝罪としてはこれで当然よね」

涼しい顔でズケズケと注文をして来る。
自分が優位だとトコトン上手に出る娘らしい。

彼女の頭を傘で殴ったのは霖之助だが、
彼女があんな真似をしなければ、こんな事にはならずに済んだのではないだろうか。

「そう言えば小傘、君はどうしてあんな事したんだい?」

「ん?あんな事って?」

「僕を脅かそうとしたじゃないか」

「あぁアレね。アレはわちきの生甲斐であり糧なの!
 わちきを見てキャーキャーギャーギャー声を上げて驚く所を見ると、くっふふ」

「まぁ成功率は低そうだけどね」

正直彼女の登場には面喰らったが、
この幻想郷で今時あんな古典的な脅かしは流行らない。
なんだかんだで幻想郷の住人はそう言う事に慣れきってている。

「う、そ、そんな事はないんだから!
 わちきは泣く子はもっとなくカリスマ唐傘お化けなんだから!」

「カリスマねぇ」

先ほどまでの小傘の泣きっぷりを思い出して思わず噴き出してしまう。
あれではカリスマには程遠い、よくて縁日の見世物レベルだ。

「あぁ!今わちきを笑った!アナタって本当に失礼な道具屋ね!」

「笑ってない笑ってない、さぁ早く行こう。
 お腹も減ってるし髪も服も洗いたいんだろう?」
 
「うぅ、ホントはわちきが急かす側なのに。
 ちょっと待ってよ!
 このまま私を煙に巻こうたってそうはうぇ?ひゃぁぁぁぁぁ!!」

霖之助の背中からする短いが甲高い小傘の悲鳴。
そして続けざまに何かが水っぽい地面へと落ちる音がした。

まさかとは思うが、これは。

「小傘、君はまさかまた服を汚したんじゃ」

「うぅ、ひっく、わちきのお洋服と髪の毛が、ひっく、更に泥だらけに、うぅ」

霖之助が振り返ると案の定、泥人形状態の小傘が涙を瞳に貯めて、
水たまりの中に素っ転んでいた。

不味い、非常に不味い。
せっかく宥めたと言うのにこれでは振出しではないか。

「小傘、ほらここはぐっと我慢だ。
 泣いてもいい事なんて一つもないよ」

「うぅ、ぐす、わちき、わちき、うわぁぁぁぁぁん!!!」

必死に宥める霖之助の努力も空しく、
小傘は大声で泣き出してしまった。
おんおん、わんわんと声を上げて涙を流す。

そしてもう一つ良くない事が起こった。
さっきまで止んでいた雨が小傘の涙に反応するように降り出して来たのである。

雨粒は大きくポツポツ、ポツポツと瞬く間に森を覆って行く。
森の木々が雨粒によって一斉にガサガザと羽音を立て、
先ほどまでの静寂を一気に掻き乱す。

本格的に不味くなってきた、早く店の方へ帰らねば。

霖之助は背中にしょった籠の為、泣いている小傘を前に抱きかかえると、
曲がってしまった自分の傘に代わって小傘のお化け唐傘を手に持った。

小傘のお化け唐傘は霖之助が触れると不機嫌そうな顔をしたが、
自分の相棒である小傘を雨から守るために仕方なく霖之助の手に納まった。

(結局汚れてしまったな、まったくやれやれだ)

心の中ではそうボヤキながらも、
泥だらけの小傘を正面に抱えて雨の中を出来るだけ速く走る。

霖之助の手はまだ小傘は泣きじゃくる小傘の頭の上へ置く。
昔魔理沙が泣いた時もこんな抱き方をしたものだ。

魔理沙曰く大きな手と言う物は安心できるらしい。
霖之助は胸に抱いた小傘の泣き声が小さくなるのを感じながら雨の中を走った。

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これはいいロリィな小傘ですね。
  • by:
  •  | 2009/09/18/23:55:24
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