十四朗亭の出納帳

アニメの感想、ゲームホビーの感想など 作品のジャンルにこだわらず書いていく予定です,SSとか書いてます

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十四朗

Author:十四朗
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分岐ポイント

リクの魔理霖です。
リクを頂いて一月ぐらいですかね、寄り道するからこうなるんだ。
実は魔理霖は今回が初だったリします。
リクで指摘されるまで書いてないのに気付きませんでした。

霖之助て言ったら魔理霖って人に申し訳ないです。


『分岐ポイント』


魔理沙、霖之助









月が一番高い位置でその輝きを放ち、闇夜を柔らかな月明かりが照らす時間帯。
肌寒さを覚える秋の夜風にススキの穂がサラサラと弄ばれ、
コオロギやキリギリスが草の下でチンチロと自己主張している。

空に浮かぶ月は惜しい事に満月ではなかったが、
それでもコロコロとしたまん丸に近い円形で月明かりが強い。

そんな明るい夜だからなのか、秋の空気が肌寒かったからなのだろうか。
魔法の森の入口に古道具屋[香霖堂]を構える男、森近霖之助は中々寝付けなかった。

夕食をとり湯浴みをし何時ものように床に就いたのだが半刻経っても眠れない。
夏用に出していた薄手の掛け布団の隙間から入る
冷えた空気が手足を刺激し余り心地よくなかった。
だがこうして床に就いてから冬用の布団を押し入れから引っ張り出すのは酷く億劫に感じられた。

そこで霖之助は寝巻の上からいつも自分が来ている服の上着を羽折り、
燃料を少量いれたランプと一升瓶に杯を用意し。
寝室の外、つまりは縁側へと腰掛けた。

僅かばかりの燃料をいれたこのランプが消えるまで酒を飲んで、
ランプが消える頃に再び床に就こうという算段だ。
きっとランプが消える頃には酔うとまではいかなくとも、
アルコールで体は暖まっているはずだ。
酒の肴は用意するのが面倒だったが幸い今日は月と虫の声が賑やかだ。
五感で楽しむ酒の肴には困らないだろう。

厚手の冬用布団は明日にでも出せばいい。

そんな事を考えながら杯を傾ける事、四半刻。
おぼろげに月が浮かぶ夜空に一つの黒点が飛んでいるのが見えた。
普段なら見逃している所だが今日は月明かりのおかげで全体的に明るい。
どうやらその物体は香霖堂へ向かって飛んできているようだ。
時間が経つにつれて近づいている様で、
その黒点が大きくなり箒に跨った人の形へと変わっていくのが分かる。

新しく箒に乗って飛ぶなんて趣味を持った者が居ないのならば、
あの人影は普通の魔法使い霧雨魔理沙のもので間違いないだろう。

そしてその人影は霖之助の居る縁側の前に着陸した。
微かなランプの光と月明かりに照らされるその人物はやはり霧雨魔理沙だった。

「よう香霖、一人寂しく晩酌か?」

「そう言う君こそ一人寂しく夜の空中散歩かい?」

「私には星と月が付いてるからな全然寂しくないぜ。
 ってな訳で私の勝ちだ」

「まったく、ああいえばこう言うな君は」

杯に半分ほど残っていた酒をクイッと喉の奥へ流し込む。
魔理沙は縁側に箒を立て掛けると霖之助の隣へ腰掛けた。

「実は中々寝付けなくってね、だからこうして酒でもと思って」

「へぇ~奇遇だな、実は私もそうなんだ」

「お酒がかい?」

「寝付けない方だ、こう言う夜空が綺麗な夜は特にな」

「まぁ君らしいね、っで当然君も飲むんだろう?」

「お!気が効くな。当然御馳走になるぜ」

「生憎肴はこの景色だけだからそれで我慢してくれよ。
 待っててくれ、今杯をもう一つ出してくる」

「その必要はないぜ」

不意に魔理沙が霖之助の手から杯を掠め取る。

「酌み交わすってのも悪くない、さぁ早く魔理沙さんの為に杯に酒を注げ」

「はいはい、杯を交わす時にはお互い相手への敬意は忘れないものだよ」

「今さら私と香霖の間に敬意なんて気味の悪い話だぜ」

「まぁ確かに、君が笑顔で僕にお辞儀する姿なんて吹き出しそうだ」

「香霖が笑顔で私にいらっしゃいませ、なんていう方なんかは鳥肌もんだぜ」

気の知れた仲同士の他愛のない会話。
大体魔理沙と霖之助はこんな昼間であっても感じだ。
杯がカップか湯呑みに変わるだけで大体は変わっていない。

杯を霖之助の方へ突き出し今か今かと、
酒を注ぐのを待っている魔理沙の要望に答えて彼女の杯へと酒を注ぐ。

酒が注がれると彼女は満面の笑みになりサンキューと元気よく言った。
そんな元気がこんな時間まであるから眠れないんだと霖之助は思う。

「ぷはぁ~これ良いやつだな、美味い美味い。
 香霖はこんな物を独り占めしようとしてたのか?」

「誰だって良い物は独り占めしたくなるものさ。
 でなければ僕の店に非売品は増えないよ。」

「いや、増えちゃダメだろ」

先ほどとは立場が変わって今度は霖之助が魔理沙から杯を受け取る。
そして魔理沙が霖之助の杯へと酒を注いだ。

「とっとっと、溢れるじゃないか、勿体ない」

「香霖はチビチビしすぎなんだよ、
 もっとこう一気に飲んで男気ってもんを見せるべきだぜ」

「一気に飲むだけなら水でも出来る事だ。
 だが造るまでに重ねられた季節を味わいながら飲む事が出来るのはお酒だけだよ」

「理屈っぽいな、いいから早く杯を回せよ」

魔理沙がそう急かすので仕方なく杯を口に当て一気に傾ける。
何時もなら時間を掛けてじっくりと食道を通って行く酒が、
今回は急流のように食道へ流れ込み喉を熱く焼いた。

「本当に今日は良い夜だ、君もそう思うだろう?」

今度は自分から魔理沙に杯を渡し酒を注ぐとこう呟いた。

「あぁ?そうか、私は夜ってのは静か過ぎてあんまり好きじゃないな」

「おいおい、星が大好きな君にあるまじき台詞じゃないか」

「星は好きだよ、でも暗くて静かなだけの夜は嫌いなんだ。」

「君は親父さんに叱られてよく物置に容れられてたからね」

「む、昔の事だろ!忘れろよ!」

「いいや、忘れられないなぁ。
 怒られなかった日の方が少ないんじゃないのかい?」

「それはアイツが怒鳴るだけしか取り柄のないオヤジだったからだ!
 一言目には魔理沙!で、二言目には怒鳴りやがって」

口を尖らせて文句を言う魔理沙に霖之助は笑ってしまう。
魔理沙が生まれる前から霧雨の親父さんと言う人間を知っている霖之助人とっては、
どんなに彼女が否定しても魔理沙と親父さんが重なるからだ。

彼もよく自分の父親、つまりは魔理沙の祖父とはよく喧嘩していた。

「話が逸れたな。まぁでも静かで暗い夜の中にもこうやって月明かりが眩しいぐらいの時がある。
 それに月が出るくらい晴れてるってことは星がよく見えるって事だしな」

「星ねぇ、君に星の魅力なんて教えなければ、
 僕も親父さんに後ろめたい想いをせずに済んだのかもね」

「そんな事全然感じてないだろう?」

「いやぁとんでもない、君の件で僕は親父さんに足を向けて寝れないよ」

再び自分に回ってきた杯に口をつけ冗談をこぼす。
今度はゆっくりと三口ほどに分けて飲む。

「なぁ魔理沙、君は魔法を学ぶ道を選んだ事を後悔していないかい?」

「なんだよいきなり、そんな訳ないだろう。
 毎日楽しいぜ」

「そうかい、それはまぁよかった」

魔理沙と目を合わせずただ月を見つめ独り言を呟くように話した。
その背中はどこか寂しそうだ。
きっと彼女の家の話をしたせいで少し感傷に浸っているのだろう。

「僕はね、魔理沙。
 時々自分がとんでもない事をしちゃったんじゃないかって思う時があるんだ。」

「とんでもない事?」

「そうさ、僕が誰かの………君の生き方を大きく変えてしまったんじゃないかってね」

「そんな事………ないぜ。
 昔香霖は私の家に来ると、よく色んな魔術を見せてくれたよな。
 全部簡単な手品みたいなもんだったけど、あの時の私には輝いて見えたんだぜ?」

「輝い見えた、か」

「それで色々あって私は魔術見る方から使う方になった訳だが、
 魔法使いなんてもんになってみて初めて分かったんだ。
 あんな手品みたいな魔術でも入念な下調べと材料が必要だって」

「あぁそうだ。
 ただ火を起こすだけでも火を起こすための媒体に術式、薬品だっている。
 それだけやってあんな小さな火なんだ、
 僕の才能のせいもあるけど魔法は意外と地味で面倒だ」

「でもよ、私はそんな手間が楽しいぜ?
 取ってきたキノコを、乾燥させて薬品と混ぜて、
 面白い反応が出た時なんかは楽しさで跳びまわちまうしな。
 少なくとも私は魔法に出会った事に後悔はしてないぜ。
 むしろ感謝してるくらいだ」

一呼吸。二人の間が静かになる。
先ほどと同じように霖之助は月を見上げ、
魔理沙は目線を弄んでいるのか、縁側の外にある垣根を見つめていた。

「そう言ってくれると助かるよ。
 長く生きてると、誰かの人生に肩が当たったかさえ分からなくなるからね
 ひょっとしたら気付かない内に誰かを転ばしてるかもしれないし」

不意に霖之助が沈黙を破って口を開いた。
そこに先程までの感傷を含んだ声ではなく、
何時もの魔理沙と話す時の声に戻っていた。

「転んでも起き上がるのが霧雨魔理沙様だぜ。
 だから安心して転ばしてみろ!何度でも起き上がってやる」

「それは頼もしいな、さて話も一段落ついたし、
 そろそろお開きにしよう」

「えーまだ飲み足りないぜ」

「ほらさっさと聞き分けるんだ。
 第一そろそろランプの燃料が切れる、
 明かりが有る内に片付けてしまわないと」

そう霖之助が言った傍からランプの灯が音もなく消えた。
少し長話が過ぎたようだ。
お互い月明かりの下でやれやれと首を傾げる、言わんこっちゃないと。

「仕方ない、片付けは明日にしよう」

「そうだ、それがいい」

「君も手伝うんだ、どうせ泊って行くんだろう?」

「おう!流石香霖分かってるな」

「大体そうだと思ったよ、
 今布団を出してくるからそこで待ってるんだ」

縁側に魔理沙を残して客間の押し入れへと向かう。
これでは布団を出すのをめんどくさがった意味がない。

まぁ流石に布団は杯と違って二人で共有する訳にもいかないだろう。

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