十四朗亭の出納帳

アニメの感想、ゲームホビーの感想など 作品のジャンルにこだわらず書いていく予定です,SSとか書いてます

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十四朗

Author:十四朗
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魂魄さんの買い食い

あぁ~日付変わってるし~
今回は妖夢さんですよ~私のテンションが夜中のソレですよ。

私は買い食い大好きです、コンビニとかスーパーとか。
一人でも二人でも複数でも楽しいですよね買い食い。


『魂魄さんの買い食い』


魂魄妖夢、森近霖之助








屈託のない笑顔で頭を下げ「まいどあり!」
と言う八百屋の店主を見ていると自分はあまりこういう事をしないな、
なんて事を嫌でも感じてしまう。
自分も店を持つ身なのでお客には精一杯のお持て成しをしているつもりだが
何が足りないのだろうか。

霖之助が魔法の森の入口で営む古道具屋[香霖堂]は店主が無愛想な事で有名だ。

まぁそんな事を此処で考えても仕方ないので、
さっき八百屋で買った新鮮な野菜が入った買物籠を手に帰路につくとする。

今日買った主な野菜は茄子。
この時期の茄子は非常に実の締まりがよく皮が薄い。
七輪で炙った後、生姜醤油をかけ熱々のまま頂くのがいいだろう。

旬だと言う事もあり少々多めに購入してしまったが、
余った分は酒の肴にでもしてしまえば問題ないだろう。

霖之助が人里の出口へと足を向けようと思った時、雑踏の中に一際目立つ少女を発見した。

まず髪の毛が真っ白に近い銀、これは霖之助も同じような物だ。
次にその低い身長。
周囲の人間より極端に低いので大人が行き来する大通りに子供が迷い込んだ様に見える。
最後にその格好。
上下緑色の衣服を着て、背中に極端に長い刀と極端に短い刀が一振りずつ。
そしてその傍らに特大級の人魂と言うオマケ付きだ、目立たない訳がない。

おそらく霖之助と同じくこの人里の者ではないだろう。

霖之助は彼女を知っている。
彼女の名前は魂魄妖夢。
冥界にあるお屋敷[白玉楼]に代々使える[魂魄家]の者だ。
魂魄家の者と言っても今白玉楼に仕えている魂魄家の者は彼女しかいないらしいので、
実質的には彼女が党首と言う事になるのだろうか。

日々の彼女を知っている霖之助にはとてもそんな風には思えないが。

雑踏の中の彼女は何かを探すようにキョロキョロと辺りを見回している様だ。
道にでも迷ったのだるか。

知り合いの好なのでとりあえず声をかけてみることにする。

「道に迷ったのかい?妖夢」

「ひゃぁ!!なんだ店主さんですか~脅かさないでくださいよ」

脅かすつもりなどサラサラない、彼女が勝手に驚いただけだ。

「僕には君が何かを探しているように見えたからね、お店を探しているのかい?」

「まぁ、そうと言えばそうなのですが」

「曖昧だね、人里に来るのは一度や二度じゃないんだろう?
 いい加減地理ぐらい覚えた方がいいと思うけどね、だから君は半分人ま…」

「ち、違います!地理ぐらい私も覚えてますよ!!
 私が探しているのはいつもここであんパンを売っているパン屋さんです!」

自らの半霊と共にムキーっと怒る妖夢を尻目に、
霖之助は彼女の言ったあんパンを売っているパン屋の情報を頭の中で纏める。

元々和食派が圧倒的に多い人里でパン屋など片手で数えるほどしかない。
おそらく彼女が言っているいつもここであんパンを売っているパン屋とは移動式の出店を引いて、
あんパンを売り歩いている売り子の事だろう。

その売り子が務めているパン屋は確か町の中心部に位置するそこそこ大きなパン屋だった筈だ。
最近そのパン屋が焼いた手のパンを移動式の出店に載せ、売り子に轢かせて売る。
っと言う商法を始めたらしい。

霖之助も一度買ってみた事があるが、これが中々美味しい。
ずっしり詰まった餡ともっちりとしたパン生地が癖になる味だ。
なんでもお勧めの組み合わせは牛乳とあんパンらしい。

こういう物を必死に買い求めようとする辺り妖夢も見かけの年齢通りと言う事か。

「あのパン屋なら今日は人里の西側でパンを売ってる筈だからここには来ないよ」

「え?じゃぁ向こうまで行かないといけないんですか?」

「そうなるね、いい運動になるからいいじゃないか」

「貴方と違って私は、ただ歩くだけでは運動になんかなりませんよ!
 それに西側なんて言われても詳しい場所が分かりませんし、どうしたらいいんでしょう」

「さぁね、じゃぁ僕は夕飯の支度もあるしこの辺で………」

「待ってくださいよぉ!袖擦り合うのも他生の縁って言うじゃないですか!
 頼みますからお店の場所まで案内してくださいよぉ!」

「こら止めないか、服が乱れる。
 大体君と僕は知り合いなんだから他生の縁でもなんでもないだろうに」

グイグイと霖之助の袖を引っ張って駄々をこねる姿はまるで幼い子供のようだ。
外見こそ魔理沙や霊夢より幼いにしても、
彼女達の数倍以上は生きているはずなのになんだこの精神年齢は。

こういうタイプは首を縦に振るまで離れてくれないだろう。
おまけに二人で騒いでいるので周囲の視線も痛い。
香霖堂の店主は少女をぞんざいに扱うなんて噂がたてば店の名だって傷つく。

変人の店から、少女を泣かす変人の店になってしまうのは避けたい。

「まったく、君もしつこいな。
 大通りで騒がれても困るし……仕方ないついて行ってあげよう」

「本当ですか?ありがとうございます!」

霖之助が了承の意を示した途端に自身の半霊と共にペコペコとお辞儀を始める。
本当に感情の分かりやすい子だ、剣客はまず感情を自分の感情を殺すものだと言うのに。


 


霖之助は先ほどと変わらぬ人里の雑踏を今度は妖夢と歩く。
妖夢の半歩先を霖之助、妖夢の後ろを彼女の半霊が。
それぞれがそれぞれについてゆく形で大通りを進んでゆく。

「しかし君が買い食いとはね、半人前とはいえ真面目そうだったから意外だ」

歩きながら霖之助がそう言うと妖夢はいかにも不思議そうな顔をした。
何を言ってるんだこの人は?なんて顔だ。

「私が食べるんじゃありませんよ。
 私の主の西行寺幽々子様がお使いのついでに、
 今人里で美味しいと評判のあんパンを買ってくるようにと命ぜられたので、
 こうしてお店を探しているんです」

「なるほど、どれでいつも売っている筈の場所をうろうろしていた訳か」

「まさか違う場所で売っている日があるなんて思いませんでした」

「一人でも多くの人に買ってもらうための商法だろうね。
 まぁ君みたいによく知らない者には分かりにくかったかな」

霖之助の本心としては早く帰って夕食の用意をしたいのだが。
ついでだ、自分もあんパンでも買って帰ろう。

「ほら、あのお店だろう?」

妖夢を道案内しながらこれからの事をぼんやりと考えていると、
例のパン屋の移動式店舗が見えて来た。

幸いな事にまだパンは売れ残っているようだ。

「わぁ、ありがとうございます!早速買ってきますね」

パン屋を見つけたとたん勢いよく妖夢が駆けだした。
その後をふよふよと遅れて半霊がついてゆく。

「こらこら、あまり走るんじゃない。
 ぶつかったらどうするんだ」

そんな霖之助の制止も空しく妖夢は一足飛びで店の前までたどりついていた。
そしてやや高めの勘定台へ背伸びをしながら売り子へあんパンを一つと注文した。

「君は食べないのかい?」

「私は結構です、今日の三時のおやつはいただきましたし」

あんパンの入った紙袋を売り子から受け取り。
買い物袋へと入れながら妖夢が答える。

これには驚いた、この子は買い食いの楽しみと言う物を知らないらしい。

霖之助が霧雨店に師事していた頃。
霖之助の直接の師匠にあたる
霧雨の親父さんから里の中での使いを頼まれた帰りによく買い食いをしたものだ。
買い食いと言う物を知るには遅すぎた時期だと思うがこれが結構楽しい。
霧雨の親父さんは使いに向かわせる時にお釣りなどで余ったお金は駄賃としてやるような人間だ。
駄賃と言っても所詮は買物のお釣り、たいして金額は多くない。

そこでこのパン屋の様な屋台風の店で一品だけ何かを注文し食べるのである。

それは一人だったり誰かと一緒だったり、
ただ何かを買って食べるだけなのだが何故か楽しいのだ。
特に誰かといると会話が弾む、稗田の子や寺子屋の半獣なんかが相手の時が多かっただろうか。

「あんパン二つと牛乳二本で頼むよ」

「はい、まいどありがとうございます」

景気よく笑顔を振りまく売り子に品物分の代金を渡す。

「へぇ店主さんって結構食べるんですねぇ」

「馬鹿言うんじゃない君の分だよ」

「へ?君って誰ですか?」

「君って言ったら君しかいないじゃないか、ほら」

キョトンとしたままの妖夢に瓶牛乳と買ったばかりのあんパンを渡す。
二つとも彼女の手の中に突っ込んだ形になるが別にかまわないだろう。

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!
 私の分ってどういう事ですか?なんか今日の店主さんは優しすぎて怖いですよ!」

「なんだいその言いぐさは?まるで僕が普段から優しくないみたいじゃないか」

「初めて会った人に、雪掻きさせるような人を優しいと言う程、
 私の神経は擦り切れていません!」

「とにかく立ち食いは行儀が悪いからどこかへ座ろう」

「私の話は無視ですか!?」

「あのベンチがよさそうだ」

「だから話の受け答えをしてくださいってば!」




ベンチに座ってあんパンを食べるまではブスっとした顔をしていたが、
あんパンを一口口に入れてしてからはその顔もたちまち笑顔になっていた。
こう言う表情を見ていると霖之助も悪い気持ではない。
彼もまた妖夢と同じようにあんパンを頬張る。

「幽々子様が食べたいっていう気持ちも何となくわかります」

「本当に食べた事がないんだね、買うのは初めてじゃないんだろう?」

「はい、二、三度幽々子様に頼まれたことがありますから」

「ついでに自分の分でも買えばよかっただろうに」

「それは出来ません、私がお使い用に貰ったお金は幽々子様の物。
 引いては西行寺家の物です。
 それを勝手に使うようなまねはできません」

「そうかい、なら僕のお金でならあんパンを食べられるんだね」

「うぅ、それは店主さんが勝手にぃ。
 でもありがとうございます、御馳走してくれて」

最後の人かけらを口の中へ放り込む、妖夢はまだ半分近く残っているようだ。

「御馳走なんて程じゃないよ、
 まぁ買い食いの味を知らない子供に買い食いの味を教えてあげただけかな。」

「むぅ!子供扱いしないでください!
 私は代々西行寺家に仕える半人半霊の一族、魂魄家の者です。
 こんな姿でも結構長く生きてるんですからね!」

「生きた年数だけで大人だと言い張るのが子供だって事さ。
 それに君は師匠から免許皆伝されてないだろう?」

「な、なんでその事を!」

「………おどろいた、本当に半人前だったとは」

「あ!今私を試しましたね!私を測りましたね!!」

「さぁてね」

霖之助は牛乳瓶の中に残っていた残り少ない牛乳を喉へ流し込む。
誰が考えたか知らないがあんパンと牛乳は中々良い。

一方の妖夢はプンスカとへそを曲げ霖之助と同じように牛乳を口元へ運ぶ。
だが瓶牛乳に慣れていないのか瓶を離した口元は牛乳で白いひげが出来ている。

「ほら妖夢白髭になっている、かしてみなさい」

「あぁもう!一人で出来ますって、またそうやって私を子供扱いして!」

やれやれと懐から取り出したハンカチで妖夢の口元を拭こうとする霖之助だが、
妖夢がバタバタと首を左右に振るので思うようにいかない。

「こら、女の子がはしたない。いいからじっとして居るんだ」

「う~またそうやって好き勝手して」

「好き勝手とはなんだい、せっかく世話を焼いてやっていると言うのに」

「誰も頼んでませんよそな事」

妖夢の口周りをハンカチで拭きながらそんなやり取りを行う。
思えば最近こんな風に世話を焼いた事がなかった。
いつの間にか自分の妹分であった魔理沙も、
こういう風に手を焼く事が少なくなっていたと実感する。

どうやら霖之助は真性の世話焼きのようだ。

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