十四朗亭の出納帳

アニメの感想、ゲームホビーの感想など 作品のジャンルにこだわらず書いていく予定です,SSとか書いてます

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十四朗

Author:十四朗
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閻魔言葉

リクの映霖です。
いや~遅くなって申し訳ありません。
色々寄り道してしまいましたがなんとか完成(?)しました。

でも私ってキャラの個性と設定活かすの苦手だなぁ~
個性クラッシャー?

『閻魔言葉』


四季映姫・ヤマザナドゥ、森近霖之助







リアカーの取っ手から手に伝わってくる重みは随分と軽い。
それもそのはず、荷台にはやや小柄な少女しか乗っていない。
これなら楽な訳だだ。

荷台に腰を掛けている少女は四季映姫・ヤマザナドゥ。
彼岸で死者を裁く仕事、つまり閻魔をやっている。

その映姫が何故霖之助のひくリアカーの荷台に揺られているかと言うと、
少々説明しなければならない。

彼女は昼過ぎに客として香霖堂へやって来たのだが、
丁度霖之助は午後から無縁塚へ出かける予定をしていた。

映姫の買い物自体は短時間で済んだが、
霖之助がどうせ無縁塚へ行くのだし彼岸の近くまで送ると言い出したのだ。
生真面目を絵にかいたような彼女なら普通は断る話だったが、
霖之助が締め出すようにお客を追い返すのも気分が悪いと言うので渋々了承した。
まぁその割には楽しそうではあるが。

リアカーに揺られる彼女の姿勢は荷台の上に凛とした雰囲気で腰掛け、手は膝の上。
リアカーが揺れる度に大きな頭の帽子が落ちそうになったりして大変そうだと思うが、
どういう原理か彼女の帽子は落ちそうになるどころかまったく揺れていない。

どちらかと言えばやや短めの彼女の髪方がそよ風にサラサラと弄ばれている。
道端に彼岸花がちらほらと見受けられるようになって来た。

これが無縁塚まで行くと一面に咲き誇っている。

「風が気持ち良くなってきましたね」

「あぁ、もう秋だからね。
 最近は羊雲なんかが気持ち良さそうに浮かんでるのをよく見かけるよ。
 それにしても彼岸花が咲き始めて来たね、そろそろ夏物をしまわないと。」

「彼岸の方はもっと凄いですよ、何せ一面彼岸花で真っ赤ですから。
 散歩等をしていると思わず足を止めてしまいます」

「君は彼岸花を気味悪がらないんだね」

「彼岸のシンボルみたいなものですから。
 それに彼岸花の花言葉が好きなんですよ」

「ほぅ、泣く子も黙る閻魔様が花言葉が好きとは。
 随分とロマンチックだね」

「む、人の話を笑いましたね?
 貴方の善行はマイナス二十点です」

「それは不味いね、将来的に僕は君にお世話になるだろうし。
 ちなみに今の僕の持ち点はどれくらいだい?」

「四十点です」

「手厳しいな」

「お客が来てもろくに接客もせず、
 自分の読書を優先する用ではこの程度ですよ」

不味い、このままでは彼女お得意の説教が始まってしまう。
霖之助は勿論の事、幻想郷で彼女の説教が好きな輩などそうそういまい。
やたら長く核心をズバズバ突いてくる彼女の説教には反論の余地がなく、
精神的にとても苦痛だ。

楽しい仕入れ前にそんな事は何としても避けたい。

「確か彼岸花の花言葉は[また会う日を楽しみに]だったかな?」

「[悲しい思いで]と言う意味もありますが、私はそちらの方が好きですね」

「しかし彼岸でまた会う日を楽しみに、なんてのは皮肉じゃないかい?」

「どういう意味でですか?」

「死者は生きている者に二度と会えないのと、閻魔とまた会いましょうって意味さ」

「それではまるで閻魔に会いたくないみたいではありませんか」

「そんな事ないよ、普段閻魔なんて話をする機会なんて無いからね。
 偶には話をするのも悪くない」

「………閻魔と話すのが楽しいとは、少し変わってますね」

映姫の説教をする説教への興が冷めたのか静かになる。

説教は回避できたと思う反面、喋る事が無くなったので少し口寂しい。
何か気の利いた話題はないものだろうか。

「向こうに着いたら少し休憩にしませんか?
 人を乗せてリアカーを引くのは大変でしょう?」

「いや、別にどうと言う事はないよ。
 こういう事には馴れてるしね。」

「そうですか、それならいいんです」

沈黙を破ったのは映姫の方だったが、
霖之助が間の悪い事を言うので再び沈黙に逆戻りしてしまった。

気まずい、せっかく彼女が開いてくれた会話の糸口を自ら切ってしまった事を激しく後悔する。
いつも彼女が店に来るときは、
店の品物や自分達の近況等の話をしていれば自然と会話が成立する物だが。
どうにも今日は上手くいかない。

「そうだ映姫、さっきの話なんだが」

「っと言いますと?」

「休憩の話だよ。やっぱり休憩しよう、実は結構疲れてるんだ」

「嘘が下手ですね、まぁ閻魔に嘘はつけないものですが」

「僕は嘘が苦手だからね」

「また嘘です」

まいったな、なんて風に霖之助はそんな風に笑う。
常に正面を向いているので映姫には霖之助の表情は伝わらなかったが、
会話の火種は自然と復活していた。

長い道を歩く時は一人よりも誰かが居た方がいい。






あれから半刻もせずに無縁塚へと着いた。
もっともその間の道中は再び会話に花が咲いたので退屈はしなかったが。

二人は今無縁塚にでリアカーに腰を下ろし休憩を取っている。
無縁塚は予想していた通り彼岸花で一面真っ赤だ。

「どうぞ」

「ありがとうございます」

麦茶のはいった水筒を映姫へと手渡す。

この水筒は冷たい水や麦茶を長時間いれておいても温度が余り変わらないという優れ物だ。
夏場は井戸で冷やした飲み物を中にいれて持ち運ぶのに重宝している。

「よく冷えていますね、美味しいです」

「中の物がずっと冷たいままでいる不思議な水筒さ。
 僕が重宝しているから非売品だけどね。」

「こういうシンプルな使い方で便利なものほど売るべきでしょう?」

「道具は一番使いたいと思う者が使うべきだ。
 そして今これを一番使いたいのは僕だ」

飲み終えた映姫から水筒を受け取ると、
水筒のコップへよく冷えた麦茶を注ぐ。

そしてコップの中の麦茶を一気に口の中へ流し込む。
冷たい麦茶の刺激が食道を通り水分が体へ浸みこんで行く様な感じだ。

秋が近いとはいえ野外で体を使えば汗をかく、映姫の提案は正解だった。

「肉体労働の後にはこれだね」

「使えるものほど非売品にするのですから、困ったものです」

「早い者勝ちさ、見つけたのは僕だしね」

呆れたように口元を緩ませ眼を細める映姫。
普段厳しい彼女からは想像できない程、穏やかなな表情だ。

先ほど彼女は彼岸花の花言葉が好きだと言ったが、案外彼女らしいのかもしれない。
[また会う日を楽しみに]と[悲しい思いで]
一見相反するこの二つの言葉も人の生と死を表しているようで実に彼女らしい。

人が死ねば誰かが悲しむ、それはその人の伴侶だったり子供だったり友人だったり。
よっぽどの大悪党でもない限りその死を悲しまれない人物などいないだろう。

かくいう霖之助も身近な者の死と言う物には多く立ち会ってきた。
人間は自分より早く老いて行き、自分より早く居なくなる。

こっちが長距離走を走っている間に向こうは短距離走を走り終える様なものだ。
そもそも走っている道が違う、いや自分は走ってすらいない。
歩いているだけだ、ただひたすらに長い道を。

そんな中で、もしかしたら輪廻の流れで知り合いが生まれ変わる事があるかもしれない。
少し前までヨボヨボの老人だった人物が、
今度は生まれたての赤子として自分の目の前に現れる。
勿論その赤子は自分の事を忘れているだろうが、
そんな場面にめぐり逢えたら堪らなく嬉しいだろう。

だから生と死の狭間を司る彼岸花の花言葉はこの二つの花言葉がよく似合う。
それは勿論その彼岸で死人を裁く映姫にも。

「どうかしましたか?じっと私の顔を見て」

「いいや、何でもないよ。
 ちょっとさっきの話を思い出してね」

「さっきの話?彼岸花の花言葉の事ですか?」

「あぁ、やっぱり君によく似合うと思って」

「どっちがですか?」

「両方だよ、どっちも君らしい」

今度は霖之助だけがカラカラと笑う。
置いてけぼりを食らったようでキョトンとしている映姫をよそに霖之助は思う。

そう言えば彼岸花の花言葉はもう一つ有った気がする。
たしかそれは…………

[想うはあなた一人]だっただろうか。
ここまで考えてまた笑いだす、一体彼女は誰を想っていると言うのだ。

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