十四朗亭の出納帳

アニメの感想、ゲームホビーの感想など 作品のジャンルにこだわらず書いていく予定です,SSとか書いてます

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十四朗

Author:十四朗
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お揃い

名無し妖精さんからのリクエストで、早霖です。
いやー遅くなって申し訳ありません。
ついでに内容も申し訳ありません早+霖ですよ、これでは。

さーて次は映霖ですか。
まずはシュチュから考える!!


『お揃い』

東風谷早苗、森近霖之助







椅子に座った少女、東風谷早苗はキョロキョロと室内を見渡す。
室内にはパソコンやラジカセ、
ブラウン管のテレビやテレビにつないで遊ぶことが出来るテレビゲーム等が混沌と置かれている。

早苗にしてみればどれも型が古く型遅れの物だがそのどれもが懐かしく感じられた。
特にテレビにはよくお世話になったものだ。
夕食の後には必ずテレビを観て翌日自分のクラスの友人と話題を共有し合ったりした。

観ていた番組はバラエティ番組やドラマなどの娯楽番組ばかりだったが、
偶に自然や古い文化を取り上げたドキュメンタリー番組等も観ていた。
早苗はどちらかと言えばそう言ったドキュメンタリー番組の方が好きだったのかもしれない、

話題合わせのために娯楽番組を嫌々観ていたと言った訳ではないが、
幼い頃から奇跡や神と言った超常現象じみた存在に触れて来た早苗にとって
テレビで流される作り物の奇跡よりも身近にある不思議な現象の方がよりリアルに感じられたからだ。

早苗はスゥーっと大きく息を吸い込む、香霖堂の匂いだ。
ハッキリ、何のとは分からないがそんな匂いがする。どちらかと言えば日陰寄りの匂い。

いつ来てもこの店は不思議な感じだ。
外の世界と隔絶され互いの行き来が遮断されたこの幻想郷で
この店だけはその隔絶された外の世界の雰囲気を少しだけ味わえる。
辺鄙な場所と言われる香霖堂だが早苗にとっては何故だか居心地がいい。

だがそんなお気に入りの場所なのに早苗の表情は曇っていた、どことなく退屈そうだ。

「遅いなぁ、霖之助さん。別にお茶なんて必要ないのに。」

パタパタと足をバタつかせて退屈を紛らわそうとするがどうにもつまらない。
ここ香霖堂の店主森近霖之助は早苗が来ると、
歓迎の言葉で出迎えお茶を入れるといって店の奥の方へ行ってしまった。

よって現時点で早苗はとても暇だ。

先ほどの様に店内の商品を見渡してみたが、
前に来た時と日にちが余り空いていない為か新しい商品は見当たらなかった。

それどころか最近は不思議な道具と言った類の物より、
外の世界で使い古された電化製品や家電製品ばかりだ。
これはこれで外に居た頃を思い出せるので懐かしいものだが、
魅力としては早苗のお気に入りの不思議な道具には劣る。

以前香霖堂で早苗が買って行った、
水が出続けるジョウロやいつまでも温かい湯たんぽ等。
この店の店主が作る不思議な道具、もと言いマジックアイテムに早苗は心惹かれていた。

「待たせてしまったね、おまたせ。」

早苗が霖之助のマジックアイテムに思いをはせていると店の奥から、
お茶と饅頭を三つお盆の上に乗せた霖之助が現れた。

「いえ、わざわざありがとうございます。」

そう早苗がお礼を返すと何故か霖之助は感心したように一人うんうんっと頷いた。

「どうしたんですか?霖之助さん」

「いや、お茶をいれた時キチンとお礼を言う連中が余りにも少ないからつい。」

これには流石の早苗も乾いた笑いしか出ない。
そうやら彼はお茶とお茶菓子は勝手に奪われて当然というような生活を送っているようだ、
馴れとは怖い。


「それで、僕がお茶を用意している間に何か気に入ったものは見つけられたかな?」

「いえそれが………」

「ふむ、そうかい。君の気に入ったものは無かったのか。
 どんなものが入用なんだい?
 うちは仕入れがアレだからご期待に添えるかどうか分からないが善処はしてみるよ。」

仕入れがアレとは無縁塚へ拾いに行く事だろう。
定期的(半月に一回程)に彼は幻想郷の外れにある無縁塚と呼ばれる場所へ行き、
そこで外の世界の道具等を拾ってきて、修理等をした後売り物として店に出すそうだ。

もっとも電子機器はどうにもならないので壊れた電子機器は壊れたままなのだが。

「そうですね、何度か私に売ってくださった不思議な道具がまた欲しいです。」

「マジックアイテムの事かい?
 うーむ、あれは一つを作るのに結構時間がかかるからね。」

「やっぱり無理ですか?」

「本格的な物は無理だね、ただ君に売ったような簡単なマジックアイテムなら作れるよ。」

「本当ですか!やったぁ!」

作れると聞いた途端パァっと笑顔になる早苗。

「っで、どんなものを作って欲しいんだい?」

「えーっとですね、切れ味が落ちない包丁なんてどうですか?」

「包丁………ねぇ、なんというか君らしいな。」

「ふふふ、家庭的って意味で納得しておきますね。」

「まぁ出来ない事はないよ、それにしても切れ味が落ちない刃物か。」

「あのぅ、何か変でしたか?」

笑みを含んだままの顔の霖之助の事が気になったので聞いてみる。

「いや、切れ味の落ちない刃物なんて物は百戦錬磨の剣豪が望む代物だと思ってね」

「私ってそんな物騒に見えますか?」

「いいや、まったく。」

「なんだか迫力なしって言われてるみたいで傷付きますね。」

「幻想郷の少女は迫力のある輩が多いからそれぐらいが丁度いいんだよ。」

そうなるのは勘弁してくれ、なんて言いたそうな態度だ。
だがその態度には妙に説得力がある。
それは幻想郷で長い間そういった少女達に関わって来た
先人のありがたいお言葉だからかもしれない。





音もなく茶を喉へ通し茶菓子を頬張る。
茶菓子は早苗の握り拳程もある大きな饅頭で、
早苗の口ではとても一口で食べきるのは無理そうだ。
漉し餡の滑らかな舌触りに控えめの甘さが酵母を練りこんだ生地をよく引き立てる。

「美味しいお饅頭ですね。」

「それはどうも。その饅頭は隣人から頂いた物なんだ。
 なんでも人里に行った時に頂いてきたらしい。
 でも和菓子はあまり食べないからお裾分けだそうだ。」

「美味しいのにもったいないですね。」

「人の好みはそれぞれだから仕方ないよ。」

ここで言う隣人とは七色の魔法使いことアリス・マーガトロイドの事だろう。
アリスもこの魔法の森に屋敷を構えて住んでいるらしい。

彼女は月に一度か二度、人里で人形劇の講演をする。
人形が楽器を演奏し、人形が踊り、人形が喜劇や悲劇を演ずる。
そんな不思議な劇には老若男女問わず結構な数のリピーターが居るのだ。

早苗も信仰を集めに人里へ行った時に偶々見かけた事がある。

舞台の脇に立っているのはアリス一人だが、
彼女が指を動かすだけで十を超える人形が動き出し、演技を始める。
クライマックスともなれば数十の人形が空を舞い音楽を奏で踊りを踊る。

幻想郷で起きる[不思議]っと言う物に馴れ始めていた早苗だったが、あの人形劇は衝撃的だった。

「でもあのアリスさんがお裾訳だなんて。ちょっと意外です。
 宴会でも余り誰かと絡まず静かに飲んだりされてる方ですから。」

「それは彼女の幾つもある一面に過ぎないよ。
 彼女だって笑う事はあるし、作ってる人形が上手くいかなくて不機嫌な時もある。
 他人の印象って言うのは連続した表情のほんの一部でしかないものだよ。」

早苗とは対象的に茶を啜る音を僅かに立てて湯呑みを傾ける霖之助。
そして早苗と同じように饅頭を一かじり、早苗より大分大きな一口だ。

「大切なのはそれを連続して見続けられるかって事さ。」

そう言うとむぐむぐと残りの饅頭を口に入れ茶で喉を潤す。
早苗もそれを真似て残りの饅頭を口の中へと放り込んだ。

だが口の中へ頬張った饅頭が喉に閊えた、喉より奥へ進まない。

「んん!?んぐぐぅ!!」

「早苗?まったく、一気に頬張るから。」

尚も苦しそうな声を上げる早苗にお茶を渡し背中をさする霖之助。
口調は呆れた風だがちゃんと立ち上がって早苗の背中を撫でている辺りしっかりしている。

「大丈夫かい?」

「けっほ!けほ!だ、大丈夫です。ありがとうございました。
 恥ずかしい所を見せちゃいましたね。」

「次からはもっとゆっくり食べるんだよ?」

「はい、気をつけます」

恥ずかしい所を見られたのと情けないやらで顔が赤くなる。
出来るだけ余所ではきっちりしようと心がけていたので余計に恥ずかしい。

「ま、こう言うのが人の一面と言うものだね。」

「お饅頭を食べようとして喉に詰まらせるのがですか?」

「君がこの香霖堂へ来て初めてのドジなんじゃないかな。
 今まで僕は君の事を真面目に信仰を集める少女ぐらいにしか思っていなかったけど。
 こんな事があったおかげで、
 僕の真似をして饅頭を喉に詰まらせる茶目っ気をもった少女だって印象が生まれる。」

「うぅ、早く忘れてくださいよそんな印象。」

「残念ながらもう記憶してしまったからね、東風谷早苗さん。」

「もぅ、なら私の中での貴方に対する印象は。
 他人のドジをずっと覚えている意地の悪い道具屋さんです。」

「僕なんてここじゃまだ良心的な方さ。」

どの口がそんな事を言うのだろうか。
不思議な蘊蓄と奇弁しか出てこないその口だろうか。

気を取り直して早苗は残りの饅頭へと手を伸ばす。
今度は味わって食べよう、そう思いながら。

「そう言えばこのお饅頭、中途半端な数しかありませんでしたね。」

「あぁ、霊夢や魔理沙。それから紫なんかが勝手に食べて行くからね。
 最後に余った分しか出せなかったんだ。」

早苗は手に取った何か考えるように饅頭をじっと見つめる。
そして早苗は自分の手の平を殆ど覆い隠すほど大のきさの饅頭をそのまま二つに割った。

綺麗に二つに割れた饅頭の大きさは先ほどの半分くらいだ。

「はい霖之助さん、どうぞ。」

「おいおい、君が全部食べてくれて構わなかったのに。」

「私は女の子ですから、甘い物は控えないと。
 それに霖之助さんは女の子のご好意を無下にするんですか?」

そこまで早苗が言うと霖之助は「まいったなぁ」なんて風に後頭部を掻いた。

「やれやれ、そこまで言われるとね。」

口元に苦笑を含んだ笑顔で早苗の手から饅頭を受け取る霖之助。
早苗の手の上と比べると手の平の半分くらいの大きさだった饅頭も、
霖之助の手と比べると三分の一程度にしか見えない。

「これでおそろいですね。」

早苗は笑顔でそれだけ言って半分になったの饅頭を頬張った。

半分しか大きさはないが、物足りなさなど感じられない。

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