『バトルシップ』
今回は映画『バトルシップ』の感想を書きたいと思います。
原稿とか原稿とか原稿が終わったんでなんか頭をほぐせるお口ポカーン映画を探していたら適任が居ましたよ。
栄えあるラジー賞ノミネート作品!
『バトルシップ』!!!
タイトルは日本語に訳すと、戦艦の意味。
その割には最後まで出番はないけど、気にしてはいけない。
この映画、酷評も多いようですが私はすこぶる気に入りました。
やっぱ宇宙人との交渉はお話よりも殴りあいだよね。侵略者に慈悲なんていらないよ。
レビューの詳細は続きを読む、から。
陸と空にはそれぞれ王者が存在している。
陸には戦車が。空には戦闘機が。海には――残念ながら、海の王者はもう居ない。
高性能レーダーとデータリンクシステムを搭載し、
対空兵器、対空ミサイルを満載したイージス艦やミサイル艦は王者だろうか?
最低限の自衛装置のみを装備し、そのペイロードの大半を艦載能力に費やしている空母は海の王者か?
何れも否、断じて否である。
海の王者とは、硬く、強く、大きい――戦艦《バトルシップ》のことを言うのだ。
現在、海上戦力として戦艦を運用している国は存在しない。
着弾地点は核の爆心地に匹敵する破壊力を生む主砲を装備し。
多少の攻撃ではびくともしない強固な装甲を有する戦艦。
それらは進化した航空機、対艦兵器にコストや戦略面で取って代わられてしまい、陳腐化した。
大和も武蔵もビスマルクも、今やその骸を海底に横たえ、醒めることのない眠りについている。
今や完璧な形で保存されている希少な戦艦となったミズーリも、
パールハーバーで観光客を持て成し時折式典の会場として使用されるだけとなってしまった。
彼女達は歴史から消えた。
現実の歴史で再び彼女達の主砲が唸る日は来ないのかもしれない。
現実の歴史では――だがフィクションは違う。
フィクションの中で戦艦《バトルシップ》はいまだ現役なのだ。
という訳で映画『バトルシップ』のレビューに移りましょう。
この映画は実に単純明快。
ぶっちゃけ空軍を海軍に置き換えたインディペンデンス・デイです。
個人的にエメリッヒ監督には五寸釘を藁人形に突き立てても足りない程の憎悪(主に粗悪な怪獣映画に対して)を抱いていますが、彼にたった一つの功績があるとすればインディペンデンス・デイを制作したことでしょうか。
どうでもいいけど、エメリッヒ監督の新作『ホワイトハウスダウン』(2013年6月公開予定)と、
アントワーン・フークア監督の『エンド・オブ・ホワイトハウス』(2013年3月公開)のあらすじがそっくりなんだけど。なんか面白そうだから是非見比べてレビューしてみたい。
さてさて、このバトルシップ。何から何までお約束です。
主人公は頭が良いけど、無鉄砲な男だし、ヒロインはおっぱい大きいパツキンチャンネー。
主人公の兄貴は真面目で有能な主人公と正反対の性格。
ヒロインの父親は堅物クソ真面目系の海軍提督。
極めつけには主人公と反りが合わない海上自衛隊一佐が準主役。
すげぇ……21世紀の映画にあるまじきキャラ設定。
ここで気弱なおもしろハッカーでもいたらロイヤル・ストレート・フラッシュだな。
まあ、居るんですけどね。はい、ロイヤル・ストレート・フラッシュ完成でいいですもう。
キャラクターがお約束なら、ストーリーは?音楽は?
安心しろ!ストーリーも音楽もお約束だ!それどころかSEも宇宙人の武器もお約束まみれだ!
この圧倒的お約束地獄から生まれるのは何だろうか?
心地良い安心感だ。見ていて不安にならない。ある種実績のあるものばかりだから。
真新しさを極力廃して、お約束という安心感にふんわりと抱きしめられる感覚。
そんな中で軍艦がエイリアンの船とドンパチやるんです。
飛んだり跳ねたりするエイリアンの船に苦戦しながら、主人公達は団結し、協力して戦っていく。
人間の手で宇宙人から地球を護るという、何時の時代の映画だそれという目的の為に。
この映画を観るにあたって、何も身構える必要なんてない。
コーラとポップコーンでも用意して、寝っ転がりながら楽な気持ちで観ればいい。
一人で観るよりも気の合う友人と集まって酒でも飲みながらわいわい観るといいかもしれない。
映画が始まると、そこには懐かしの80年台ハリウッドが今の技術と設定で飛び込んでくる。
ああ、娯楽映画ってこういうものなんだという感傷を味わいつつ、何処か懐かしい気持ちになれるだろう。
海外の批評家はバトルシップについて冷淡な評価を下したそうだが、それも仕方ない。
繰り返すが、真新しい要素は何処にもないし、シナリオは平々凡々。
キャラクターもテンプレート的で、如何にもな連中ばかり。
でもそれが、間違っている理由になるだろうか?
王道を楽しめなければ邪道を楽しむことはできない。
王道があるからこそ、王道から逸れた作品が受ける。
そしてそんな作品に疲れた時、背中を預けて何も考えずに観られる作品が存在すると、私は嬉しい気分になる。
バトルシップは自分にとってそんな映画だった。
こういうド直球王道大作B級映画が無くならず、時折思い出したように生み出されるのは救いだ。
時々無性に食べたくなるジャンクフードの魔力を持っている。
多分、こういった映画が一切存在しなくなったら、映画って物凄くつまらなくなるんだろうなと思う。
だからハリウッドにマッチョな主人公とブロンドボインヒロイン映画がある限り、私は映画が好きだ。
こんなところでバトルシップのレビューを終えたいと思う。
毎度のことではあるが、自分はレビューの際に極力ネタバレを控えて書いている。
レビューした作品を、読んだ人が観てほしい、読んで欲しいという気持ちからそうしている。
なので今回も物語の核心には触れない。
触れたところでどうにかなる作品でもないけれど、そういうルールということで一つ。
以上、映画『バトルシップ』のレビューでした。
今、自分の中でエイリアン熱が高いので次は『世界侵略: ロサンゼルス決戦』でも観てみようかな。
Comment
上映期間中に友人と観に行きました。
ホラーとかミステリーとかも好きですけど、やっぱり大画面で観るならこういった迫力のあるものが一番と再確認させてくれました。
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