十四朗亭の出納帳

アニメの感想、ゲームホビーの感想など 作品のジャンルにこだわらず書いていく予定です,SSとか書いてます

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十四朗

Author:十四朗
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東方の霖之助SSが主流です
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『こんな巫女が居ましたとさ』

ふと思い立って久々にブログ更新用のSSをカタカタ。
最近原稿やらACⅤSSやらTRPGのシナリオやら、
色々あってあんましブログ用のSSに手を付けていなかったのでとりあえずリハビリに。
東方だと丁度春夏秋冬と大きなイベントが有るので、結構原稿が忙しくなりますね。
とはいえ、新刊のコンセプト相談したりなんやらかんやらするのは楽しいものです。



『こんな巫女が居ましたとさ』


先代、華扇、霖之助






博麗の巫女とは何者であるか。
魑魅魍魎と人間が背合わせに暮らす幻想郷において、
両者の狭間に立ち結界を守護する調停者。
人を守りながらも人の味方にあらず、妖怪を狩りながらも妖怪の敵にあらず。

始まりは誰も知らない。誰が『最初の博麗』であるのか。
その人物とは一体何者であったのか。幻想郷の歴史には残っていない。
ただ博麗の巫女なる存在は幻想郷の成立と共に在り、今現在も連綿と受け継がれている。

ここに書き記されるのはそんな博麗の一人。
力を行使し、飽くなき力への渇望を胸に秘めた博麗の巫女。









「幻想郷とか救いたい」

縁側で湯のみを片手に、お茶請けの煎餅を摘みながら巫女がそう言った。
傍らに座った茨木華扇はその言葉を無視して茶を啜る。
何時もの戯言だ。いちいち構っていては埒が明かない。

「幻想郷とか救いたい」

春先に飲む新茶の味は格別だ。
白い湯気をあげる緑色半透明の液体が放つ芳醇は鼻孔をくすぐり、
瞼を閉じればすぐそこに青々とした茶畑の情景が浮かび上がる程に。

「幻想郷とか救いたい」

今後ますます空気は緩み、然程間を置かずとも雨季が到来するだろう。
雨季が終われば夏だ。涼を求め渓流で日がな一日釣りをするのも悪くない。
清涼な水のせせらぎは暑さで緩みきった精神に程よい安らぎを与えてくれる。

「幻想郷とか救いたい」

「よく言った巫女! それでこそ僕の見込んだ博麗だ!」

突如青年の声が巫女の言葉に答え、同時に縁の下から乱入者が姿を表す。
一見すると老人の白髪に見える銀の髪に若く、整った顔立ち。
体の方は一見すると線が細いように見えるが、袖から覗く二の腕は力瘤が認められた。
体を動かす為に鍛えられた痕跡。事実、縁側の下から這い出る動きは驚愕に値する速度であった。

「お、半妖。ねえ、私幻想郷を救いたい」

「僕もそんな頃合いだと思っていたんだ。そう思って君に新しい武器を持ってきた」

「半妖大好き愛してる」

「なに礼はいい。君が三日間も華扇に妖怪退治を止められていると聞いて大急ぎで完成させたんだ」

「そうそう。華扇が私を苛める」

「苛めてません。私は彼女に博麗の巫女として相応しい立ち居振る舞いを教えようとですね」

「博麗の巫女とはすなわち妖怪を退治し、駆逐する存在だと思わない?」

「アナタの場合はその、度が過ぎているのが問題なのです」

背負った風呂敷を巫女に見せつけ、意気揚々と妖怪退治に誘う半妖と、
目を輝かせて新し武器への期待を膨らませる巫女を見比べ、華扇はため息をついた。
さっきまで死んだ魚のような目で「幻想郷を救いたい」と呟いていた巫女の瞳は、一等星のように光り輝いている。

「半妖さん。アナタまたろくでもないものを作りましたね」

「何を言うか。僕は至極真っ当な仕事をしたつもりだ。
 彼女には常人よりも優れた筋力がある。ならばそれを活かせる武器を作ってやろうと思ったまでだよ」

「鎖じゃらじゃら。鉄球とげとげ。何これ?」

「フレイルという武器とモーニングスターという武器を合体させてみた」

風呂敷の中から現れた武器は拷問器具もかくやと言わんばかりの禍々しいものであった。
まず二尺程の混紡があり、その先端には刺の生えた鉄球が装着されている。
持ち手の末端からは鎖が伸びており、その鎖の先端にも同じように刺の生えた鉄球が装着されていた。

「具体的には鎖に繋がれた鉄球を振り回して使う。力強く振り回せば振り回す程威力は上がる。殺人的にな」

「おー凄い。これはいい、これはいい」

さっそく巫女は豪快に鎖で繋がれた鉄球を振り回した。
風切り音をあげて鉄球と鎖は回転する。
やや興奮した面持ちで巫女が感想を述べた。

「ねえ、こっちの棒は?」

「それは近寄られた時に使う。遠心力を利用して思い切り振りぬくんだ。君の力と相まって威力は上がる。殺人的にな」

「おー凄い。これはいい、これはいい」

鉄球を石畳の上に置き、今度は棍棒を振り回した。
風を切り、威圧的な音とともに刺のついた鉄球を振り下ろす。
おおよそ博麗の巫女らしくはない姿だ。不味い、巫女が与えられた武器を気に入り始めた。
どうにかしなくては。華扇は湯のみを置いて楽しそうに武器の話をしている二人の間に割って入った。

「アナタ達、そこまでです」

「半妖。これ気に入った。凄い気に入った」

「だろう? そう言ってくれると思ったよ」

「いいですか? 博麗の巫女とは妖怪退治が仕事の一環ではありますが――」

「早速人里で妖怪退治の依頼を受けてこよう。半妖、最近人里で妖怪の被害はない?」

「あー確か畑が荒らされているとかなんとか言っていた気がするな。獣害かどうかは分からないけど」

「きっと妖怪の仕業ね」

「間違いない。僕も君の言葉を聞いてそう断言するよ」

「ただ妖怪を狩ればいいという訳ではなく。
 巫女らしい正義と大義のもとに、悪しき妖怪に誅伐を下すのが正しい在り方なのです。
 従ってあなた方のように、腕試しで妖怪に挑むというのは目的と過程が入れ替わっていて――」

「とりあえず人里の近くで見つけた妖怪は片っ端から倒すでいいかしら?」

「いいと思うよ。見敵必殺でいこう」

「そもそも巫女が妖怪を退治するのは、人と妖怪の関係性を体現する為です。
 巫女が人を守る事で、人は自身の身の丈を弁え、妖怪は巫女に退治される事で妖怪としての身の丈を弁えます。
 この二つをしっかりと示し――あれ、居ない?」

気がつけば華扇は一人で誰もいない空間に向けて長々と説法を繰り広げていた。
先程まで嬉しそうに武器を振り回していた巫女も、
それを見て楽しそうに説明を行なっていた半妖も忽然と姿を消していたのだ。

しばしの沈黙。後に全力疾走で華扇は二人を追いかけた。
このままでは無辜の妖怪が二人の被害にあってしまうかもしれない。

巫女から一方的に退治された妖怪達の懇願を聞き入れ、
この数ヶ月巫女との接触、及び教育を行なっていた。
結果は、御覧の有様だ。成果らしい成果はあがっていない。
このように隙を見つけてはすぐに妖怪退治をしようと逃げ出す始末だ。

「待ちなさい!」

「もう追いつかれた。流石に早いな、彼女」

「上半身をまったく動かさずに下半身は残像が見えるほどの動き。いいな、あれ。私も出来るようになりたい」

「特訓だな巫女」

「うん」

「止まれぇ!」

土煙を上げて華扇が疾走する。巫女も半妖も常人に比べれば遥かに足が速いといえるのだが、
純粋な妖怪である華扇には一歩譲る結果となった。
神社から続く石畳の上で、三者は対峙する。

「止めないで華扇。妖怪が私を待ってる」

「待ってるわけないでしょう! はい今すぐ神社に戻る! 半妖さんも帰ってください!」

「断る。僕は僕が作った道具がどのように使われるのか見届けたい」

「またそんな動機で!」

「そんなとは酷い言い方だな! これでも真心と丹精込めて作ったんだぞ! 些か禍々しい外見だけど」

「そこが問題です。もっと巫女らしい武器ならば問題ありませんが、なんですかアレ。拷問道具か!
 何かあるでしょう他に。こう、お祓い棒とかそんなのが」

「嫌だよ面白くない。武器は作る過程で試行錯誤を繰り返すのが楽しいんだ」

「楽しいからあんな禍々しいもの作ってるようなもんだって自分から言いましたね」

「半妖は悪くない。いい仕事をした。私はこの武器気に入ったわ」

「だまらっしゃい! これ以上アナタが暴れると無害な妖怪にも被害が出るのです!」

「敵は妖怪。これは巫女の基本理念じゃないの?」

「ではその心は?」

「巫女の敵とは全て妖怪である。つまり巫女の敵である以上、種族に関わらずみな妖怪である。という事」

「今すぐ神社に戻りなさい。すぐに!」

話すだけ無意味だった。
話をすればする程、屁理屈で丸め込もうとする。
言って駄目なら力で解決する、というのは華扇の良しとする解決手段ではないのだが、この際やむを得ない。
何事も暴力で解決するのは得策とは言えない。しかし、この場合は相手が相手だった。

「華扇。分かった、仕方がない。僕達も君を怒らせる気はないんだ。だから話しあおう」

「急に大人しくなりましたね」

「僕は少なくとも博麗より話の分かる人間だ。痛い、悪かった博麗」

巫女が左手で軽く半妖の後頭部を殴った。

「えーではでは。そうですね。妖怪退治に対する熱意、及び協力しようとする善意じたいは私も認めます。
 妖怪退治は巫女にとって大切な責務ですから。無論、その点は私も認めますよ。
 ですがそれ以外にも巫女は結界の管理、異変解決など様々な責務を抱えています。
 何よりも、です。巫女は妖怪を見かけたら見敵必殺のもとに妖怪を退治するというのは些か早計ではありませんか?
 仕事熱心なのは構いませんが、何も考えずにただ妖怪だからという理由だけで退治して良いのか? 
 今一度妖怪を退治するという行為の意味をアナタ達に考えて――」

「今だ巫女!」

半妖の挨拶と共に巫女の手に握られた石礫が華扇の眉間へと飛来する。
説法に夢中になっていた華扇はそれを躱すどころか、視認する事さえままならず、
直撃を受けて地面に倒れた。すぐさま半妖が持参した鎖で華扇を縛り上げる。
眉間に直撃した石礫は直撃と同時に粉々に砕け散ってしまった。
なんという妖怪強度、コワイ。

「……はっ!?」

「チッ、もう気がついた。半妖、次は鉄球を用意しておいて。うんと重いの」

「任せてくれ」

「アナタ達! この卑怯者! あ、しかも鎖で!」

「ただの縄だと君はすぐに破ってしまうからね。とりあえず、帰ってくるまでは大人しくしていてくれ」

「今すぐ解きなさい!」

「やーだ」

巫女が素っ気なく答える。

「怒りますよ」

「それもやーだ」

「ぐぬぬ、二人とも。
 私がまだ話し合いで解決しようとしている間に素直に謝罪すれば許すと言っているのに、
 分かりました私にも考えがあります」

「言ってみなさい、淫乱桃色」

「だ、誰が淫乱桃色か! わ、私は別にそんな趣味ありません! 男性経験ないし!」

「無いんだ……」

「無かったのね、なんかごめん」

「と、とにかく! 言って駄目ならこうです!」

言うやいなや、華扇は両腕に力を込めた。
鋼鉄で編まれた鎖がぎちぎちと音を立てて変形し、延び、引き千切られる。
一瞬の出来事に、巫女も半妖も反応できずただその様子を眺めているだけであった。
すかさず華扇は二人を捕まえ、両腕で二人を掴みあげた。

「捕まえましたよ。これで逃げられませんね」

「うぐぐ、苦しい。華扇、苦しい」

「ふん、縄が駄目なら鎖で、とは。私も甘く見られましたね。
 この程度の鎖ならば大した苦もなく抜け出せるのです」

「脳筋ー」

「脳筋ー」

「お黙りなさい!」

二人を掴む腕に力を込め、引き寄せる。
丁度両脇に巫女と半妖を抱え込む形となった。

「やわこい」

「ああ、確かに。巫女も中々のものだが、君もそれなりに良いものを持っているな」

「ど、どこを触ってるんですかー!」

「やわこい。うむ、やわこい」

「やわこいな」

「ぐ、ぐぅ! はい戻りますよ! たっぷりこってり絞りますからね!」

二人を引きずりながら華扇は石段を登った。
力なく「はーい」という返事が重なる。
今のところは、一応妖怪達も枕を高くして眠れそうだ。
今のところは、だが。









「まずアナタ達は柔をもって剛を制すという言葉を覚えなさい」

「柔をもって剛に叩き潰される?」

「ちーがーう。柔をもって剛を制すです。柔能く剛を制すとも言いますね。
 まず柔を学びなさい。その上で柔軟な対応をですね」

「剛毅なる力をもって柔を叩き潰せば無問題」

「そうだ博麗よく言った。その通り」

「はい不正解。まだまだ続きますよ。そもさん、妖怪退治は人の為、世の為に行われるものであり――」

鳥居に縄で括りつけられた巫女と半妖に対して、華扇は長々と説法を続ける。
勿論、両者の顔は不服そのものであり、溢れた不満を遠慮する事なく視線に載せてくる。
構わずに華扇は説法を続け、太陽も沈もうとしていた。

「ねえ、華扇。この抑圧された生活は何時まで続くの?」

「アナタが態度を改めない限り何時まででも続きます」

「地獄ね。半妖、次はこの石頭をどうにか出来る武器を作って」

「任せろ。こう、もっと派手な武器を用意しよう」

「アナタ達は……今日は一晩そのままですからね!」

「やーだーやーだー」

「やーだーやーだー」

「駄々っ子ですか。とにかく、反省するまではそのままですからね。以上」

「華扇、お茶とお煎餅持ってきて。だったら反省する」

「僕もお願いしたい。あと、首筋が痒いので掻いてくれないか」

「それが反省する態度ですか。確かに、飲み物ぐらいは用意しますかけど。
 くれぐれも逃げようなんて思わないでくださいね」

「はーい」

気のない返事を背に受けながら、巫女から押収した物騒な武器を片手に縁側へと向かう。
縁側から台所に上がり、武器を置くと組んである水を桶に移し、鳥居まで戻った。
既に鳥居に括りつけられていた二人の姿はなく、代わりに切り取られた縄が所在無さげに転がっていた。
暫しの間、華扇は無言で佇む。

半妖あたりが隠し持っていた刃物で縄を切断したようだ。
二人で申し合わせた上で、華扇の監視が緩んだところ逃走を計ったらしい。

水の入った桶を放り投げ、華扇は再び石段の上を疾走した。
内心で「子供か! いい年してまったく!」と怒りに震えながらも、巫女と半妖を追う。

世話のかかる大きな子供を二人抱えているような気分だ。
とはいえ、あの二人の悪戯は冗談にならない程度に厄介極まりない。
やはり一度本気で折檻した方がいいのだろうか。

悩みながら、華扇は夕闇に染まり始めた幻想郷で二人を探すのだった。

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欲望に忠実なアホの子二人可愛い
振り回される華扇も可愛い
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  •  | 2013/01/27/15:45:49
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